暑い日

　夏の部活帰り。




「むむっ・・・レイちゃん！？」
「あ、美奈？」
「ぐーぜんねー。ってレイちゃん制服？もう随分遅いのに。どっか寄り道してたの？」
「いや、今部活終わったとこで」
「そーなの。あたしもさっきやっと部活練習終わって。やーもー夏は練習きついし日が落ちるの遅いから長引くし」
「体育会系の宿命ね」
「もーいくら体育会系ったって、夏だと室内はほんと蒸し暑くて・・・たまらないわ」
「確かにバレーボールはきつそうね」
「そーなのよ。でもレイちゃんもそーでしょ？あ、でも部活帰りって・・・レイちゃん帰り道こっちじゃないわよね？」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もーしーやー、そのまままこちゃんちに直行？」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、図星でしょ！？そうなんでしょ！？」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・美奈」
「・・・え？えええええレイちゃん、何で急に抱きついたりなんかっ！うさぎじゃあるまいしどーしちゃったの！？」
「いいから動かないで」
「あ、はい・・・って・・・レイちゃーん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・その、ほら、いくらあたしが魅力的だからって公共の場で熱烈に抱きしめられても・・・しかもあたしにはいちおー亜美ちゃんというお人が・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そ、そりゃ亜美ちゃんだって朴念仁だし何気に女たらしだし色々あれだけど？それでもあたし浮気はちょっと・・・それにまこちゃんも傷ついちゃうし・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・しかもレイちゃん、暑いんですけど・・・」
「・・・帰るわ」
「えっ！？何、急に」
「じゃあね、美奈」
「ええっ・・・レイちゃん！？何！？」
「あなたも早く帰りなさいよ」
「い、一体何なのよぉ・・・？もしやレイちゃん、わざわざ帰り道にここまで来たのって・・・まこちゃんの家に行くんじゃなくて、あ、あたしに会うため・・・？・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、電話っ・・・・・・・・・・・もしもし？」
『・・・はい、水野です』
「あっ、亜美ちゃん！？よかった出てくれて！」
『美奈？ちょっと悪いんだけど今塾で・・・もうすぐ授業始まるから、急用じゃなければまたかけ直して・・・』
「あたし浮気とかしてないからねっ！ほんとしてないから！」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんですって？』
「レイちゃんに不意打ちで抱っこされたりとかしてないからー！うわぁぁぁぁん」
『(・・・・・・・・レイちゃん・・・・・・・・・・・・・・・乱心したのかしら・・・？まさかこの暑さで・・・)』
「でもあたしみたいな美貌の持ち主だとレイちゃんさえ魅了してしまうんだからっ！だからあんまり放っとくと危険だからね！ちゃんと守ってくれないと駄目なんだから！」
『確かに・・・心配だわ、レイちゃん・・・後で診てあげた方がいいかしら・・・』
「ちょっとあたしの心配じゃないの！？傷心のあたしの心はどこに持っていけばっ」
『・・・・・・・・・・・あ、ごめんなさい、先生が来たからもう切るわ』
「ああっちょ・・・ほ、ほんとに切った！？ああもう本気で浮気してやる！レイちゃん、待ってー！！」










「(まことの家に行こうと思ったけど・・・自分じゃ分からないけど、部活帰りの子って抱きしめるとあんなに匂うのね・・・身長的に頭皮の匂いまでばれる・・・やっぱり一回帰ってシャワー浴びてからにするか・・・)」










　　　　　　　　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


　夏場の室内競技系部活人の汗クサ度は半端無いですねーって話です。レイちゃんなりの乙女心(笑)そして水野が妬かないのはレイちゃんがまこちゃん大好きなの知ってるが故の余裕だと思ってください(自分に自信があるわけではない)。