「･･･もしもし、レイ、学校終わった？今だいじょうぶ？」
『･･･もう戻ってるからだいじょうぶよ。どうしたの？まこと、なにか用？』
「んー、レイ、急だけどさ、この週末、どうしてる？」
『週末？いつもどおり神社にいるけど』
「そう」
『特にどうしても外せない用事はないから、なにかあるなら』
「あー･･･なあ、レイあたしになにか用事ない？」
『･･･そっちからかけてきたのになんなの。まことが私に用があるんじゃないの』
「いや、この土日はなにがあっても会えないから、もし用があるなら先に済ましてほしいなって思って」
『･･････』
「だから、会うなら今日のうちだぞ」
『急ぐ用事はないけど･･･』
「そう。ならよかった。じゃあ、また来週」
『なに、会えないって。遠いところに行くの？』
「あたしもいろいろ忙しくてねえ」
『･･･あっそ』
「だから急に会いたくなったとか、急にいっしょにどこか行きたくなったとか、急にお腹空いてごはん食べたいとか言ってもこの週末はだめなんだぞ」
『会いたくなったとかはともかく、食事くらいあなたに頼らなくてもなんとかするわよ』
「会いたい気持ちは自分じゃ抑えられないだろ」
『･････････』
「･･･ほんとに、今日、会わなくていいのか？さみしいって泣かれたって会えないんだぞ」
『だから、用事なんてないわよ。さみしくもないし、泣くのはもっとないわ』
「･･･それを言われるとあたしがさみしくなるなぁ」
『･･････なんなの』
「･･･さっきまで、しばらく会わなくても平気だと思ってたのになぁ。ああ」
『まったく、そっちからかけてきたくせに、喧嘩売られてるのかと思ったわ。そもそも、どうしても会えない用事ってなに？どこ行くのよ』
「どこも行かないんだ。むしろ、引きこもるつもりでね。チャイム鳴らされても出ない気でいるから」
『引きこもり･･･？結界張って除霊でもする気？』
「そんな、レイじゃあるまいし、そんなことできないよ。単に、趣味に走って人に会えない状態になるだけ」
『趣味って･･･』
「亜美ちゃんが外国の珍しいレシピ本見つけたって教えてくれてね。で、いろいろ作ってみたいんだけど、よく見たら結構においのきつい料理らしくて。でも夏にぴったりの精がつく料理らしいから、どうしてもやってみたいんだ」
『つまり、においがするから会えないと？』
「そういうこと。だから、後片づけとかお掃除の時間も考えたらやっぱり週末はつぶれちゃうから、なにがあっても会えないなって。だから会うなら今だけだけど」
『べつに、さみしくなんかならないわよ。料理したいならすればいいじゃない』
「そういうこと言われちゃうとなあ･･･まあ、だいじょうぶならいいけどさ･･･」
『･･････ただ』
「お？」
『私、今、部活帰りでお腹空いてるんだけど』
「･･･んー？」
『自分でなんとかできるけど、別に急でなけれないいんでしょ？』
「うーん、困ったねえ･･･それはいいけどさ、今から会うのはいいけど晩ごはんまでいっしょってなるような遅い時間だと、さすがに帰せないなあ」
『･････････』
「でも、泊めちゃうと今晩下ごしらえしようと思ってたあたしのお料理計画がなあ･･･レイにくさいって言われたら立ち直れないかも」
『･･･いっしょに食べれば気にならないんじゃない？あなたがいやじゃないなら、だけど』
「あ、そうだねえ」
『･････････』
「･････････」
『･････････』
「よかったら週末ずっといっしょにいる？あくまでレイがいやじゃなければ、だけど」
『べつにいいんじゃない。外国の珍しいレシピは食べてみたい』
「･･･うん、待ってる」
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週末婚的な。
