「・・・まこと」
「うわあっ!?レイ!?なんでここに!?」
「えっ・・・!?そ、そんなにびっくりすることないでしょ」
「えっ、だって・・・約束夜からじゃ・・・今何時だ!?」
「まだ夕方よ」
「ああ・・・だよなー。あたしそんなにスーパーいたっけってびっくりしちゃって。それよりレイ、遅くまで仕事じゃなかったっけ?」
「お祓いしに遠方まで行ってたんだけど、依頼者が帰り車出してくれたから思ったより早く帰れたのよ。大した霊じゃなかったから手こずらなかったし」
「巫女さんて大変だなぁ・・・」
「で、あなたの家行く時間まで早かったから、スーパーでお土産でも買っていこうかと思ったらあなたがいたから」
「そうだったのかー。まあでも、早く会えてうれしいよ。あたし夕飯の買い物してたんだけどさ、ちょっと迷っちゃっててね。悩みすぎて一瞬もう夜になったかと思ったよ」
「なに迷ってるの?」
「今日土用だから、うなぎ買おうかと思ったんだけど・・・覚悟はしてたけどやっぱり現物見たら高くてちょっとびっくりして」
「うなぎって高いの?」
「・・・この世間知らずめ。今値段高騰してるんだよ」
「高いなら買わなきゃいいじゃない」
「そうは言ってもさ、土用だし、栄養つくから夏バテにもいいしさ」
「べつに、栄養つくなら、うなぎでなくてもいいんじゃない?うなぎだけが効くってわけじゃなし」
「ニンニクとかにらとかなら精がつくし夏バテにもいいし一応予算内なんだけど、あれはにおいがちょっとねぇ」
「あれ、嫌いなの?」
「きらいじゃないけど・・・レイがいるってわかってるときは・・・ほら・・・・・・いつキスするとかわかんないし」
「ぶっ・・・」
「・・・普段の生活とかでも、あたしだって結構気を遣ってるんだぞ」
「・・・よけいなお世話よ」
「素直じゃないなぁ」
「・・・それでも、うなぎって高いんでしょ?そもそも、あなたは食べたいわけ?」
「ああ、好きだよ。それでも普段はあんまり手を出せないから、こういうときくらいと思って・・・」
「・・・・・・・・・」
「でも、やっぱり高いなぁ。同じ値段出すならもっと量が作れるし、やっぱりやめようかな。精つけなくてもレイ結構元気そうだし」
「好きなら食べたらいいでしょ。高いなら私が二人分出すから」
「えっ・・・そ、そんな、だめだよ!」
「言っとくけど、私、これでも働いてきた帰りだから。それくらい出せるわよ」
「そ、そんな、あたしの家に来てもらうのに、お客さんにお金出してもらうなんてできないよ」
「・・・いつまで」
「え?」
「いつまで私はあなたの『お客さん』なの?」
「えっ・・・」
「迷ってるってことは、あなた一人分なら買えるけど私の分入れて値段が倍になるから高いんでしょ。あなたがあくまでお客さん扱いするならそれでもいいけど、だったら手土産くらい持ってこさせなさい」
「え、え、でも」
「ほんっと素直じゃないんだから。ともかく、私はうなぎの会計してくるから。あなたは自分の欲しいの買いなさい」
「ちょ、レイ・・・!ああもう・・・」
「いただきまーす」
「・・・・・・・・・」
「うわー、うなぎ、やっぱり久しぶりだとおいしい!夏って感じするあぁ」
「・・・・・・・・・」
「レイありがとうーすごいおいしいよー」
「(ああ・・・私がバカだった・・・)」
「レイ?自分の分食べないのか?いらないならもらうぞ」
「・・・食べるわよ!」
「お?そう?よしよし、食欲ないのかと思って心配したよ」
「もらうとか言ってたくせに・・・」
「冗談だよー。でもそれくらいおいしいってことで。仕事帰りだしいっぱい食べて精つけな」
「・・・・・・・・・」
「せっかく買ってくれたんだから、あたしもしっかり精つけとかなきゃだなー。ああおいしいああおいしい」
「あたし『も』って・・・」
「うなぎ代は、ちゃんと体で返させてもらうつもりだからなー。うんこりゃうまい」
「(精つけても明日起きられる気がしない・・・)」
*************************
夏バテ(意味深)注意!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます