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Mak_Sagami の≪デジカメ閑話≫

デジタルカメラとその周辺に関する“たわごと”

デジカメ閑話 10 ≪ニッケル水素電池のメモリー効果≫

2005年04月24日 | Digital Camera
 最近のデジタルカメラの電源としては、殆どのカメラでリチュウムイオン電池が使われています。
 以前はニッケル水素電池や、アルカリ電池も多く使われていました。単3型のニッケル水素電池の場合は単3アルカリ電池と同一形状ですから、カメラによっては、万一旅先でバッテリーが上がっても電池が容易に手に入る安心感がありました。(最も安価で普及しているマンガン電池は使えない場合があるようです) 新しいデジカメの電池は圧倒的にリチュウムイオンが多くなっていますが、現在使われているデジカメの電池としてはニッケル水素も多いと思われますので、ニッケル水素電池を使う場合の注意点を取り上げます。

1.メモリー効果
 電池の容量を使い切る前に充電する使い方を繰返すと、次第に撮影可能枚数が減ってくる現象を「メモリー効果」と言います。充電する時点の電池容量が記憶されてしまうのでメモリー効果と言うわけです。例えば、フル充電した電池を1/3使ってまたフル充電するという使い方をすると、その電池は1/3使ったところでカメラに電池切れ警告マークが現れるようになってしまいます。各地の消費生活センターなどに、新品の電池なのに撮影枚数が極端に少ない、不良品ではないか、という問い合わせが結構あるそうです。
 電池を使い切ってから充電すればメモリー効果は出ないと言われています。また既にメモリー効果を持ってしまった電池は、完全に使い切ってから充電することを繰返せば、次第にメモリー効果は解消するとも言われています。旅行などに出かける際はどうしてもフル充電したくなりますが、それがかえって撮影枚数を減らす原因になりかねません。現実的な対応策としては、予備の電池を用意し、カメラに入っている電池は使い切るしかないと思います。
 メモリー効果を回復するために、即ち、完全に電池を放電させるために、電池を懐中電灯などに入れてランプが消えるのを待つ、という方法を紹介した記事を見たことがありますが、これは電池を過放電することになり、回復不能になる危険が極めて大ですから、絶対にやってはいけません。残り少なくなった電池を使い切る(正確には、規定の電圧に下がるまで使う)には、カメラを画像表示モードにして消えるのを待つのが一番簡単です。(但し、スライドショーなど、オートパワーオフが働かないモードにする必要があります) また、“リフレッシュ機能”などと称する、放電させてから充電する充電器を使うのも良い方法だと思います。
 なお、リチュウムイオン電池にはメモリー効果はないという説と、多少はあるという説がありますが、私は予備の電池を持ち歩いて、使い切ってから充電するようにしています。(携帯電話の電池はリチュウムイオンなのですが、私の携帯にはメモリー効果を疑う現象があります)

2.自然放電
 予備電池を持つことは望ましいのですが、充電した電池は自然に放電します。ニッケル水素電池は特に高温下では自然放電が多いと言われています。従って、大量に撮影する予定がないにもかかわらず、フル充電した予備電池を用意しておくことは良い方法ではありません。自然放電分を取り戻す目的で使用前に充電すればメモリー効果を誘発することにもなります。カメラを使う頻度が高ければ常に充電しておいた方が良いと思いますが、そうでない場合は旅行などに出かける前に充電するようにした方が良いと思います。
 長期間使わない電池を保管するときは、使い切った状態で保管する方が良いという説と、1/3程度残した状態で保管する方が良いという説があるのですが、試したことがありませんので、どちらが正しいか分かりません。
 電池は単体で保管するより、カメラに入っているときの方が多く自然放電しますから、過放電を避けるためにも、カメラを長期間使わないときは電池をカメラから取り出しておくのが無難です。

3.端子の汚れ
 写真の左の電池はニッケル水素ですが、この電池を使うカメラには電池容量がある筈なのに、電池残量マークが残り僅かを表示する現象が時々起こります。そのときは電池を取り出して+-の端子を乾いた布でよく拭いてカメラに戻すと大抵は正しく表示されるようになります。本当はカメラ側の端子も綺麗にしたいのですが、蓋の端子は拭けてもカメラ内部の端子は拭けませんので諦めています。ニッケル水素電池の端子の材質は分かりませんが、多分表面が酸化しやすいのだと思います。
 写真の中央と右の電池はリチュウムイオンですが、こちらの端子は金メッキが施されています。金は腐食しませんし、接触抵抗が小さいので、このような問題は起き難いのだと思います。

デジカメ閑話 9 ≪ヒストグラム≫

2005年04月16日 | Digital Camera
 多くのデジカメには、撮影の前後にヒストグラムを確認する機能が付いています。写真は2台のカメラのヒストグラムを示す画面を写したものです。赤い丸で囲った部分がヒストグラムです。

 ヒストグラムは、イメージセンサーの中で、どの明るさの画素がどれだけ存在するかを示しています。グラフの横軸は明るさを表し、左端は素子の信号レベルが0、即ち真黒を意味し、右端は素子の信号レベルが飽和、即ち真白を意味します。真黒も真白も有効な信号(色情報)が存在しませんから、後の画像処理で明るさや色調を補正しようとしても、補正できない部分が存在することになります。グラフの縦軸は素子の数(多くは0~255)を示しています。従って、ヒストグラムは、どの明るさの素子がどれだけ、どのように分布しいるかを表しています。分布が左に偏っている写真は全体に暗め、右に偏っている写真は全体に明るめの写真になります。

 両端の軸に存在する素子は有効な信号を持っていませんから、撮影するときはなるべくこの部分に素子が存在しないように注意する必要があります。露出をマニュアルで設定する場合はヒストグラムを見ながら、絞りやシャッタースピードを選択できますが、露出をオートに設定している場合はカメラ任せになります。その場合もヒストグラムを見て、写真の明るさの状態を予測し、必要があれば露出をプラスまたはマイナスに補正して写せば、より良い写真になる可能性が高くなります。デジカメはフィルムカメラに比べると、対応できる明るさの範囲(ラチチュード)が狭いと言われています。つまり、被写体を丁度良い明るさにすると、真黒になったり、真白になったりする部分が生じやすいのです。これを「黒潰れ」、「白飛び」と言います。どうしてもヒストグラムが左右どちらかの軸にかかってしまう場合は、白飛びを避けるために、分布を左側に寄せた方が後の画像処理で救える可能性は高くなります。

 撮影のときはなかなかヒストグラムの分布にまでは注意が届かないものですが、撮影の前後にヒストグラムを見る習慣をつければ、露出の失敗は減ると思われます。但し、ヒストグラムがどちらかに偏った写真の方が、良い写真になる場合も多くありますから、ヒストグラムだけに頼ることはできません。

デジカメ閑話 8 ≪ホワイトバランスについて≫

2005年04月07日 | Digital Camera
 デジカメには必ず「ホワイトバランス」を設定する機能があります。
 被写体の色は光源の種類によって違って見えます。特に白いものは、光源によって青っぽく見えたり、黄色っぽく見えたりします。白いものが白く見えるように、光源に合わせてデジカメの色感度特性を選択するのが、ホワイトバランスの設定です。ホワイトバランスを適正に設定することは良い写真を撮る基本的要件の一つですし、間違えると悲惨な結果になることもあります。


 
上の写真は、室内の蛍光灯の下で、ホワイトバランスの設定を変えて撮ったものです。(“日陰”“曇り”“白熱灯”は省略)

 “カスタム”は、予めその光源の下で白い紙を写し、白く再現されるようにホワイトバランスを自動的に調整する機能です。従って、これが最も自然な色を再現します。実際、被写体の人形と見比べると、“カスタム”が最も自然な色調で写っています。“カスタム(機種によっては言い方は異なると思います)”機能は多くのカメラが持っていますから、余裕を持って撮影できる場合は、積極的に活用すべきです。
 普通のスナップ撮影では、ホワイトバランスを“オート(AUTO or AWB)”にしておく場合も多いと思います。大抵は“オート”で自然な色調が得られますし、多少違った色になっても、後でレタッチソフトで補正できる場合も多いと思います。ただ、白熱電灯や蛍光灯の下での撮影の場合は、試し撮りをして、色調が不自然でないか確かめる方が良いと思います。例えば上の写真でも、“オート”で撮った写真は、“カスタム”で撮ったものとは明らかに色調が違います。カメラがどういう判断でこの色調にしたのかは分かりませんが、“オート”が100%は信頼できないことが分かります。
 “太陽光”は明らかにホワイトバランスの設定を間違えているわけですから、不自然な色調になるのは当然です。
 “蛍光灯”は、この撮影条件に合っているわけですから、ホワイトバランスを正しく設定したことになります。所が、“カスタム”とは違った色になっています。“オート”には比較的近いのですが、少し違います。実は、私のカメラの取扱説明書によれば、蛍光灯にも色々な種類があるので、“蛍光灯”の中で、更に選択できるようになっていました。この辺りは、機種によって違いがあると思いますが、蛍光灯にも「電球色」とか「昼光色」とか「暖色」などがありますから、単にホワイトバランスを蛍光灯マークに合わせるだけでは、正しい色調にならないことは納得できることと思います。因みに、今回撮影した部屋の蛍光灯は、昼光色と言われるものですが、外の曇天の光も若干加わっていますから、その辺の影響もあるかもしれません。

 ホワイトバランスの設定は、カラーフィルターの選択と似ていますから、意図的に「合わない」設定をして、変わった雰囲気の写真を撮ることもできます。

 繰返しますが、カメラにホワイトバランスを“カスタム”設定できる機能があるならば、是非活用することをお奨めします。
 但し、ホワイトバランスを初めとして、カメラの持っている機能を撮影条件に合わせて設定することは、次の撮影の際に不適当な設定のままで撮影してしまう危険が大きくなることでもありますから、その点にはくれぐれも注意が必要です。

デジカメ閑話 7 ≪ISO感度と暗ノイズ≫

2005年03月31日 | Digital Camera

デジカメは、画像の大きさや画質などと共に、撮影感度を設定することが出来ます。
フィルムカメラ用の標準的なフィルムの感度はISO100ですが、暗い所で撮影するために、高感度用としてISO400などのフィルムを使う場合があります。デジカメでフィルムに相当するものは撮像素子ですが、暗い所で撮影するために、撮像素子を高感度用に交換するということはありません。

デジカメで設定するISO感度の違いとは、撮像素子の信号出力の増幅度の違いです。ISO100のフィルムと同等の感度が得られる増幅度をISO100とし、その2倍の増幅度をISO200としています。
つまり、増幅度を大きくすれば、ISO感度は高くなり、暗い所(即ち、撮像素子への入射光量の少ない所)でも撮影できるようになるのです。
所が、撮像素子のような電気的な素子は必ずノイズを発生します。撮像素子への入射光量が少なければ出力信号が小さいですから、後の電気回路で信号を大きく増幅しなければなりませんが、同時にノイズも大きくなってしまいます。デジカメのISO感度を大きく設定することは、予め光量の少ない場所で撮影する場合などに備えて、回路の増幅度を高めておくことなのです。従って、ISO感度の値を大きく設定する場合は、ノイズが大きくなることを覚悟しなければなりません。

写真はKONIKA MINOLTA DiMAGE A2のISO感度をISO64からISO800まで変えて、レンズキャップを付けたまま、0.5秒間撮影(?)したものです。理想的には真っ黒くなって欲しいのですが、ノイズが現れています。但し、そのままで比較できるほどノイズが大きいわけではありませんので、Photoshop Elements 3.0の“レベル補正”の入力レベルの値を2.01(初期値1.0)にしてあります。この値は、露出の設定に失敗した相当に暗い画像を補正する場合などに稀に使うレベルです。従ってこの写真は、ノイズの絶対レベルを表すものではなく、ISO感度別のノイズの相対比較を目的としています。ISO400,800はノイズがかなり大きいことが分かりますが、ISO64,100でもよく見ると、何やらブロック状のパターンが見えます。これはここで述べたノイズとは違う現象だと思いますが、今の所私にはその正体は分かりません。
なお、シャッター速度は通常の撮影ではこの程度が最長と思われますし、このカメラは1秒未満ではカメラ内部のNoise Reduction機能は働きませんので、0.5秒に設定しました。

ノイズの点からは、デジカメのISO感度はなるべく小さくした方がノイズの少ない写真が撮れることは間違いありません。一方、感度を下げるとシャッター速度を遅くする必要がありますから、手ブレの危険が確実に増えます。手ブレを恐れて、常にISO感度を高くしておくことも、逆に、ノイズの少ない写真を撮るために、常にISO感度を低くしておくことも、どちらも決して良い方法とは言えません。通常の戸外撮影ではISO感度を低く設定しておき、手ブレの恐れがある場合だけ高くするのが望ましい方法と言えます。
フィルムカメラでは、周囲の状況に応じて、ショット毎に感度の違うフィルムを使い分けることなど、普通は出来ません。しかし、デジカメではそれが出来るわけですから、積極的にISO感度の設定を変えて、良い条件での撮影を心がけたいと思います。

デジカメにはAUTOモードがありますから、多くの場合、ISO感度も含めてAUTOのまま撮影する場合が多いと思います。大抵はそれで良いのですが、カメラによっては、光量が不足気味の場合に、シャッター速度を遅くしたり絞りを開いて光量を増やすよりも、安易にISO感度を高める機種があるようです。その場合、手ブレの危険は増えないので、一見良い写真が撮れるのですが、何となくざらついた写真になりかねません。撮影時にカメラの設定まで考慮する余裕がある場合は、マニュアルモードでISO感度を使い分けると良いと思います。

デジカメ閑話 (番外) ≪万華鏡 ≫

2005年03月28日 | Digital Camera
デジタル万華鏡(?)を作ってみました。
Photoshop Elements 3.0 を使い、正三角形または頂角45度の2等辺三角形に切り抜いた画像から、回転したり反転したりして6枚または8枚の画像を作り、それらを合成したものです。
完全な正三角形や頂角45度の2等辺三角形を作るのが難しいため、細部をよく見ると、完璧な鏡像にはなっていない部分があります。
素材は全て花です。
いずれ、もう少し面白いものに挑戦してみますが、結構根気が必要です。 
 

デジカメ閑話 6 ≪JPEGの画質≫

2005年03月22日 | Digital Camera

 デジカメ画像の保存形式は、事実上JPEG形式が標準になっています。大部分のデジカメでは、撮影した画像をJPEGで保存しています。JPEG以外に、TIFFやRAW形式もありますが、特に高画質を目的とする場合以外は使われません。

 カメラ内の記憶メディアにある画像を、そのままパソコンにコピーするだけなら、画質は劣化しません。しかし、画像の回転・リサイズ・色調の修整などの画像処理を行った後でパソコンに保存するときは、JPEGの保存設定には十分な注意が必要です。JPEGで圧縮保存すれば、画質は必ず劣化しますし、圧縮保存した画像を元に戻すことはできません(不可逆圧縮)。

 画像処理ソフトはJPEGの圧縮率を設定できるようになっています。圧縮率が小さいほど画質は劣化しませんが、ファイルサイズも小さくなりません。そして、圧縮率の設定と画質やファイルサイズの関係は一様ではなく、風景や人物といった被写体の状況によっても異なります。従って、許容される画像のサイズやファイルサイズと、保存後の画質を確認しながら、JPEGの設定を慎重に行う必要があります。

 左の写真は、大きな画像の一部を切り取り、JPEG保存による画質の変化が分かり易いように色調を極端にした上で、JPEGの画質レベル100(最高画質)で保存したものです。中央の写真は、左の画像を、画質レベル80で保存し、更にその画像をまたレベル80で上書保存することを4回繰返したものです。4回上書保存したにしては、画質の劣化は比較的小さいのですが、画像の輪郭付近にモスキートノイズと呼ばれるモヤモヤしたノイズが見られます。
 右の写真は、左の画像を90回転した後、画質レベル80で保存、その画像を更に90度回転して、レベル80で上書保存することを4回繰返したものです。モスキートノイズが大きく、画質は明らかに中央の写真より劣化しています。画像を4回も回転することは、普通はありませんが、90度回転することはよくあることです。小さな写真では分かりにくいので、掲載していませんが、1回回転して保存するだけでも、画質の劣化は明らかですし、保存を繰返すたびに劣化の度合いが大きくなっています。
 
 ある画質レベルで保存した画像を、そのまま同じレベルで上書保存を繰返しても、画質がどんどん劣化することはありませんが、何らかの画像処理を行って保存する場合は、必ず画質は劣化するものと考えなければなりません。従って、リサイズや色調修整、フィルター処理などの画像処理を行う場合は、必要な処理をまとめて行い、なるべく高画質レベルで、かつ1回で保存することを心がけるべきです。
 なお、保存レベル80は通常の画像の保存に私がよく使うレベルですが、今回の結果を見て、今後はもう少しレベルを上げようと思っています。


デジカメ閑話 5 ≪画像サイズと画質≫

2005年03月15日 | Digital Camera

 デジカメは、撮影前に画像サイズ(画素数)と撮影画質を設定しますが、どちらもファイルサイズと画質に影響があります。画質に与える影響はどちらが大きいか? 例えば記憶メディアの容量が小さく、ファイルサイズを小さくせざるを得ない場合、画質の点からはどちらの設定を落とすのが無難か、これが今回のテーマです。

 左の写真は、新一万円札の左側の一部分を写したものです。中央の写真は、30万画素・画質STANDARD(最低)で、また右の写真は、800万画素・画質EXTRA FINE(最高)で、それぞれ撮影した元の写真から、左の写真の赤丸付近を切り抜いて拡大したものです。これは、私のカメラでJPEGで保存する画像としては、最低と最高の画質の画像を並べたことになります。(この他にTIFF画像がありますが、省略します) 中央の写真の元画像のファイルサイズは、270KB、右の写真の元画像のファイルサイズは5.81MBです。即ち、中央は右の1/20以下のファイルサイズです。最近では100万画素以下で撮影することは少ないと思いますが、小さな写真でも特徴が分かるように、敢えて極端な比較をしたものです。写真が小さくて分かり難いのですが、30万画素・STDの写真には被写体の周辺にモヤモヤしたノイズ(モスキートノイズ、ブロックノイズ)と、“偽色”が発生しているのが分かります。

 普通のスナップ撮影では、通常 2~500万画素程度で撮影されることが多いと思われますが、このくらいの画素数であれば、撮影画質がSTANDARDであっても、L判程度のプリントでは差異は殆ど分かりません。しかし、当然ながら、詳細に比較すればやはり差はあります。そこで、画素数が小さくて撮影画質が高い場合と、画素数が大きくて撮影画質が低い場合について、出来た画像の画質を比較してみました。小さな写真では差異を明確に提示できませんので、結果だけを述べます。
 左の一万円札を、190万画素・画質EXTRA FINEで撮影した場合のファイルサイズは 1.83MB、320万画素・画質STANDARD で撮影した場合のファイルサイズは 1.13MBでした。後者のファイルサイズは、前者の約62%です。両者を拡大して画質を比較したところ、ファイルサイズが小さいにもかかわらず、後者の方が高画質でした。同様のことを320万画素・STANDARD・2.68MBと、800万画素・EXTRA FINE・2.26MBでも比較してみました。後者のファイルサイズは、前者の約84%です。この場合は、画質の差は殆どなく、強いて言えばやはり後者の方がやや高画質か?、という程度の違いでした。
 
 画像のファイルサイズが大きい程、撮影可能枚数が減りますから、記憶メディアの容量に余裕がない場合は、画像サイズ(画素数)を小さくするか、撮影画質を落とすかの選択を迫られます。その場合、画像サイズを小さくするより、撮影画質を落とす方が良い、というのが今日の結論です。この結論は、あくまでも私のカメラによって、やや特殊な被写体を写したテストの結果ですが、手許にある本にも、あるカメラによるテストの結果として同じ結論が載っています。
 撮影画質は、撮影後に記憶メディアに保存する際のJPEGの圧縮率の差によるものです。カメラで設定するJPEGの“最低”と“最高”の画質の差はさ程大きくないようです。それに対し、画素数は直接画像の解像度に関係しますから、画素数の方が画質に与える影響が大きい、という結論は妥当なものだと思っています。また、後で行うトリミングのことを考えても、画像サイズの大きい方が有利と言うことが出来ます。

 今回とは別のテストですが、同じ画像サイズで保存する場合、初めからそのサイズで撮影する場合と、大きく撮影してから小さくリサイズした画像を比較すると、やはり大きいサイズで撮影した画像の方が高画質という結果が得られました。この場合も、画質の差もさることながら、後で行うトリミングの自由度が大きいことの方が、大画像サイズによる撮影のメリット、と言えると思います。
 但し、撮影時のファイルサイズが大きいので、撮影枚数が減る、という問題はあります。

デジカメ閑話 4 ≪デジカメは紫色が苦手≫

2005年03月10日 | Digital Camera
 デジカメで紫色の花を撮影したとき、実物との色の違いに戸惑ったことはありませんか?
 デジカメの撮影では、カメラのホワイトバランス(WB)の設定が重要です。WBの設定がAUTOで自然な色が撮影できれば良いのですが、AUTOでは全体が赤みを帯びたり、青っぽくなったりして、不自然さを感じることがあります。その場合は、撮影のときにカメラのWBの設定を変えて正しい色に近づけるのが理想ですが、カメラのモニター画面は小さいですし、周囲が明るい場合などは、色の具合まで注意を払うのはなかなか難しいのが現実です。実際は撮影後にパソコンのモニターを見ながら、「カラーバランス」などで色の不自然さを修整するのが普通のやり方だと思います。これで全体が自然な色に修整できれば良いのですが、紫色の被写体だけが不自然になったり、逆に紫色の被写体に合わせて修整すると、他の色が不自然になる、ということがあります。その理由を考えてみようというのが今日の趣旨です。

 前回書きましたように、デジカメは、色を赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色に分解して記憶します。(補色による方法もありますが省略します) 人間は被写体から反射される光で色を感じています。色は光の波長によって変わり、赤色は波長の長い光、青色は波長の短い光、緑色は中間の波長の光です。このように、色は光の波長によって決まります。しかし、人間は波長の異なる2つ以上の光が目に入った場合も、その割合に応じた色を感じます。デジカメのセンサーも同様です。例えば黄色の光がセンサーに入射した場合、RとGのフィルターが付いている素子が反応し、色を記憶します。黄緑色の場合はGの方が強く、橙色の場合はRの方が強く反応します。黄色の波長は580nm前後ですが、例え単波長の黄色であっても、カメラのセンサーはRとGの2色の光として黄色を記憶します。人間の目は、単波長の黄色と複数の光が混じった黄色の区別は出来ません。

 青色に赤色を混ぜると紫色になることはよく知られています。印刷物などの紫色はこうして作られているそうです。しかし、単波長の紫色の光の波長は400nm前後ですから、青色光の波長480nm前後より波長が短いのです。そのため、400nmの紫色光が入射すると、Bの素子はある程度反応しますが、GやRの素子は反応域を外れるため殆ど反応しません。従って、弱い青色なのか、紫色なのかの区別ができないことになります。ですから、被写体の紫色が青色と赤色が混じった紫色であればデジカメも正しく認識できるのですが、もしそれが波長400nm前後の単色光による紫色であると、デジカメでは弱い青色としか認識しませんから、その紫色は再現できないことになるのです。
 自然界の花などに、どの程度単波長の紫色が含まれているのか知りませんが、理論上はデジカメでは再現できない紫色があることになります。デジカメが紫色を苦手にしていることは確かなようで、紫色の被写体を撮影し、機種による発色の違いを比較・評価したカメラ雑誌の記事を見たことがあります。勿論、カメラメーカーは色々と工夫を凝らして自然な紫色を再現すべく努力していると思います。ソニーは、RGBの他にメラルド(E)フィルターを備えたデジカメを販売していますが、これも紫色対策かもしれません。

 カメラを購入するときに、紫色の比較をすることもできなくはありませんが、現実にはほぼ不可能でしょう。買った後にできることは、撮影時にホワイトバランスの設定を注意深く行い、後の画像処理におけるカラー調整の必要度をなるべく少なくすることくらいしかないように思います。でも、これは紫色に限ったことではありません。

デジカメ閑話 3 ≪カラーイメージセンサーの原理≫

2005年03月02日 | Digital Camera
 デジカメに使われるイメージセンサーの多くはCCDまたはCMOSですが、これらの素子自体は光の強さに応じた電気信号を発生するだけで、色の区別は出来ません。即ち、このセンサーからはモノクロの画像しか得られません。

 色はR(赤),G(緑),B(青)の3つの要素に分解することが出来ます。そこで素子アレイ(素子の集合体)の前に写真左上のようなRGBフィルターアレイを配置すれば、それぞれの素子から、各色フィルターを通る光の強さに応じた信号が得られます。
 しかし、これでは、例えば赤色のフィルターが配置された素子からは赤色の信号は得られますが、緑と青の信号は得られません。従ってこのままでは、解像度の著しく悪い画像しか得られません。これを解決する方法としては、3分割した光線に、それぞれRGBを受け持つ3個の素子アレイを配置し、各アレイから位置毎のRGB信号を得、これを合成してカラー画像を作る「3板式」という方法がありますが、高価かつ大型になりますから、民生用のデジカメには使われません。

 これに対し、デジカメに使われる「単板式」と言われる方法は、1個のセンサーアレイからカラー画像を得る方法です。単板式では、写真左上のようなRGBフィルターアレイがセンサーの前に配置されています。前述のように、これでは各素子からはRGBの内、何れか1つの信号しか得られません。例えば、拡大図の中心にあるGの素子からは緑の信号しか得られません。しかし、この素子にはRとBの光成分も入射しており、RGBの比率に応じた色を作っています。そこで、この素子の周辺にある複数のR部分の信号を用いて、このG部分に本来ある筈のRの信号量を演算します。同様に、この素子の周辺にある複数のB部分の信号を用いて、このG部分に本来ある筈のBの信号量を演算します。こうして得られた2つの演算信号と、この素子から直接得られたGの信号とを合成すれば、この部分の正しい色を得ることができます。全ての素子において、自身の信号量と、周辺の素子から算出した他の2成分の信号量を合成すれば、全ての素子部分の色を作り出すことが出来、カラー画像を得ることができます。これを「補間処理」と言い、画像処理の基本ですが、実際の演算方法は、カメラメーカーのノウハウに属する部分だと思われます。

 この方法は、民生用のデジカメにおいては、十分に実用的な方法ですが、例えば、被写体の色の変化が極端な部分においては、色変化の境界付近に、本来は無い色を作り出してしまうことがあります。これを「偽色」と言い、撮影条件によってはかなり気になる場合があります。また、素子が規則的に配置されているため、被写体によっては「モアレ」という縞模様を生じる場合があります。偽色やモアレは、撮影画素数が少ないほど生じ易くなりますが、写真を拡大しなければ分からない場合が殆どです。特に画質を気にする場合は、一応これらも考慮して画像サイズを決めると良いと思います。但し、偽色はJPEG処理においても発生しますので、これについては後日取り上げるつもりです。

 昨年春ころから、米国のFOVEON社が開発した新方式のイメージセンサーを用いたデジカメが現れてきました。これは、写真の2に示すように、3層の素子に光が入射したとき、光の波長、即ちRGBによってシリコン内部への到達距離が異なることを利用するもので、理論上は個々の素子からRGBの信号を得ることが出来ます。つまり、3板式と同様に、補間処理によらずに色を得ることが出来るわけです。
 この方法の実力については、まだ情報を持っておりません。ただ、原理的には、銀塩フィルムの発色原理と同じという話もありますので、ひょっとする革命的なことなのかも知れません。既にこの方式のセンサーを搭載したカメラが日本のシグマ社から販売されていますし、ポラロイド社も3月末に発売するようですから、いずれ色々な情報が得られると思います。

デジカメ閑話 2 ≪イメージセンサーに注目≫

2005年02月27日 | Digital Camera
 フィルムカメラの場合は、特殊な例を除けば、高級な一眼レフでもコンパクトなカメラでも、普通は同じフィルムが使われます。デジカメにはフィルムはなく、それに相当するのは「イメージセンサー」ですが、実はセンサーの性能はカメラによって異なるのです。
 フィルムカメラの写真の出来映えは、大部分がレンズの性能と、カメラマンの「腕」によって決まります。デジカメの場合は、それに加えて、イメージセンサーの性能にもよるとしたら、センサーに注目する必要があるのではないか、というのが今日のテーマです。

 デジタルカメラに使われるイメージセンサーの多くは、CCDかCMOSの何れかです。これまではCCDが多く使われてきましたが、最新のニコンやキヤノンの最高級一眼レフデジカメにはCMOSが使われています。CCDは電荷をバケツリレー式に運んで電気信号を外部に取り出すのですが、CMOSは受光素子1個1個にトランジスタが付いていて、直接信号を取り出します。小型化は難しいものの、低電圧で動作し、高速という特長があります。
 使う立場としては、センサーの種類はどちらでも良いのですが、画素数と個々の素子の受光面積の大きさは、画質に影響しますので注目しないわけにはいきません。

 最近は携帯電話のカメラでも300万画素だそうですし、かなり小型のデジカメでも3~500万画素が普通になっています。キヤノンの最高級デジカメには 1670万画素のイメージセンサーが使われています。画素数の多い方が良い写真が撮れるか? 「良い」=「高解像度」という意味ならば、答えはイエスです。しかし、写真の出来映えは画素数に比例するか?、また我々アマチュアカメラマンにとっても画素数は多ければ多いほど良いか?、と問われれば、答えは単純にイエスではありません。

 個々の素子の受光面積が同じで素子の数が多いならば、画素数の多い方が良い写真が撮れる可能性は高まります。例えば、200万画素のセンサーと、400万画素のセンサーを比較した場合、個々の受光素子の大きさが同じで、そのため2倍の面積を持つ400万画素のセンサーならば、それで写した写真の方が高画質である可能性は高いと言えます。所が、イメージセンサーの寸法は同じで、個々の素子を縮小して400万画素を実現したセンサーの場合は、必ずしも200万画素の写真より高画質とは言えません。理屈上の解像度は間違いなく高くなりますが、写真を余程大きく拡大しなければ分かりません。むしろ個々の受光素子が小さくなったことによる出力低下を補うために、信号を増幅する度合を大きくしなければならず、そのためにノイズが増えるとか、適正露出を得られる明るさの範囲が狭まるなどの問題が起こります。

 デジカメのカタログにはイメージセンサーの大きさとして、“1/2.5型”とか、“2/3型”とか書いてあります。これはセンサーの受光部分の対角線の違いを表しているのですが、インチではありません。1/2.5型は対角線長さ約6.6mm、2/3型は約11mmです。イメージセンサーの表面には、信号線など光を感じない部分もありますが、それを無視して単純に受光素子の大きさとして計算しますと、1/2.5型で300万画素のセンサーの素子の大きさは、一片が約2.6μm (1μmは1/1000mm)、2/3型で800万画素のセンサーの素子は約2.7μmになります。所謂コンパクトカメラのセンサーには、多くの機種でこのクラスのイメージセンサーが使われていますが、中には小型化するために、もっと小さなイメージセンサーを使いながら、3~500万画素を謳っているカメラもあります。

 これに対し、一眼レフタイプのデジカメのセンサーの素子の大きさは、一片が5~8μm程度はあります。面積で言えば、コンパクトタイプの4~10倍の大きさの素子から成るイメージセンサーが使われているのです。大きな素子からは大きな電気信号を取り出せます。これはノイズの大きさとか、表現できる明暗や色彩の範囲(ラチチュード)の違いとなって現れます。その違いを,アマチュアである我々が実感できるかどうか、という問題はありますが、例えばノイズの少ない夜景写真が撮れるとか、陽射しの強い屋外でも“白とび”しにくい写真が撮れるなどの差になって現れてくるものと思われます。
 ですから、写真の画質に拘るならば、なるべく大きなイメージセンサーを持つデジカメを選んだ方が良い、ということは言えると思います。ただ、実際の画像は、カメラ内部の画像処理技術にも左右されますから、同じイメージセンサーを使っていても、カメラによって写真の出来が違うことはあるようです。

 受光素子自体は、光量を電気量に変換するだけです。これをどのように“カラー画像”に変えるか、については次回以降に取り上げます。