2013年10月20日(日)
#290 ネーネーズ「黄金の花」(コザdabasa/Ki/oon Sony)
#290 ネーネーズ「黄金の花」(コザdabasa/Ki/oon Sony)
筆者は先日、沖縄旅行にいってきたのだが、那覇市内のライブハウス「島唄」に寄る機会があり、そこでこの懐かしい「ネーネーズ」の曲(1994年リリース)を聴いたのだった。
ネーネーズといえば、1990年代に活躍していた沖縄出身の女性ボーカルグループだ。90年に、沖縄民謡界の重鎮、知名定男のプロデュースにより世に送り出された。インディーズ盤のアルバム「IKAWU」で注目され、キューン・ソニーよりメジャーデビューして、「黄金の花」ほかいくつかのヒットを出した。
「23年前にデビューしたネーネーズが、そのまま今も活動を続けているの?」と思ったが、実はそうではなく、完全にメンバーを入れ替えて、現在も活動を続けているとのことだった。
結成当初のメンバーは、99年11月で解散。新たに集められた第二期のネーネーズも、2003年で解散しており、現在は2003年のオーディションで採用された4人から、さらに交代を繰り返して、以下のメンバーとなっている。
上原渚(2004年1月~)、比嘉真優子(2009年4月~)、保良光美(やすらてるみ、2010年1月~)、本村理恵(2012年6月~)。いずれも沖縄本島や、石垣島出身の20代(推定)女性である。
初代のネーネーズは、見た目も歌いぶりも落ち着いたオトナの女性というイメージがあったが、「島唄」のステージに登場した4人は、ギャルっぽい格好をしても似合いそうな、若さあふれるネーネーという感じだった。
ライブでは、沖縄民謡や他のアーティストのカバー、そして初代以降引き継いだオリジナル・ナンバーを、ときには三線、太鼓などを演奏しながら、力強く歌い上げてくれた。
もちろん、声の質などは初代とはだいぶん違っていて、いかにも「若い」「青い」印象であった。過去のネーネーズのファンにしてみれば、「全然違うグループになった」といわれてもいたしかたないだろう。
と、ここまで書いてきて「ん?」と既視感をおぼえた。こういうケースが他にもあったような。そう、ほかならぬ「モーニング娘。」である。
グループデビューとしてはネーネーズのほうがうんと先輩であるが、いずれもメジャーなガールズグループ。この手のグループはかつて(おニャン子クラブなどのように)しばらく活動しているうちにメンバーの年齢が上がってきて、頃合いを見て解散するのが常だったのだが、ネーネーズも、モーニング娘。も、それをやらなかった。ネーネーズのほうは正確にいえば、解散はしたが次のメンバーを準備しており、ブランド名はそのまま残した。モーニング娘。のほうはご存知の通り、スタート時のメンバーはもはや誰もいないが、曲はすべて引き継いで、年若い新メンバーで活動している。
こういう、たとえメンバーが総入れ替えになっても「継続」していくというやり方は、おそらく宝塚歌劇団に範を求めたのだろうが、筆者的にはいいことなんじゃないかと思う。
過去ヒットした名曲を、オリジナルで聴くのもいいが、いま現在活躍しているひとによるバージョンで聴くのも、悪くない。いまならではの新しい個性が、そこにはあると思うのだ。
いまのネーネーズは完全にインディーズに戻っているが、プロデューサー知名定男氏としては、むしろワールドワイドなアーティストを目指しているという。それこそモーニング娘。のように。
その特徴ある髪型、コスチューム、そして沖縄サウンドは、まぎれもなくオリジナルな世界である。借り物の西洋音楽モドキではない。インターネットの時代、youtubeに載るなどちょっとしたことが切っ掛けで大ブレイクすることもありうるだろう。
今後は、しばらくメジャーリリースがされていないシングル曲を、いかに生み出してヒットさせていくかが、ポイントだろうね。
もちろん、現在の観光名物的なネーネーズ、「会えるアイドル」的なネーネーズでも、十分すばらしいとは思う。国際通りの半ばにある「島唄」に行けば、週に4、5日は、彼女たちの生歌が聴けるのだ。
沖縄旅行の折りには、ぜひ、彼女たちのライブを観に行ってほしい。ステージの合間には観客席に挨拶に来てくれたり、記念撮影に応じてくれたり、とてもサービス精神満点なネーネーたちなのである。
きょうの一曲は、いまのネーネーズ版ではないのだが、第一期バージョンの「黄金(こがね)の花」。その息のそろった、それでいて各メンバーの微妙な声質の違いが、響きに深みを与えている、見事なユニゾン・コーラスを味わってほしい。そして、今のメンバー版の若々しい個性は、直接ステージで聴いて、確かめてほしいのである。
ネーネーズ、ちょうど今月28日には埼玉・大宮の「うさぎや」、30日・31日には東京・小岩「居酒や こだま」でも上京ライブをするという。沖縄まで足を運ばなくても彼女たちを観られる絶好のチャンスだ。興味のあるかたは、ぜひ。