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音盤日誌「一日一枚」#168 サム&デイヴ「THE BEST OF SAM & DAVE」(ATLANTIC 7 81279-2)

2022-05-01 05:16:00 | Weblog

2003年6月9日(月)



#168 サム&デイヴ「THE BEST OF SAM & DAVE」(ATLANTIC 7 81279-2)

「ダブル・ダイナマイト」の異名をとった男性ソウル・デュオ、サム&デイヴのベスト盤。69年リリース。

サム・ムーア(高音パート)とデイヴ・プラター(低音パート、正しい発音はプレイター、かな?)、このコンビはそれぞれがソロ・シンガーとしても十分やっていけるだけの高い実力をもっており、ハーモニーももちろん素晴らしいが、とりわけ「掛け合い」の迫力は天下一品であった。

そんな彼らのベスト3は、あまりに当たり前の曲しか選べそうにないので(「ソウル・マン」「ホールド・オン」「アイ・サンキュー」といったところ)、ここは「裏ベスト3」を選んでみよう。

<筆者の私的"裏"ベスト3>

3位「WHEN SOMETHING IS WRONG WITH MY BABY」

彼らのプロデュースを担当していたアイザック・ヘイズとデイヴィッド・ポーターの作品。スローテンポのラヴ・バラード。

僕のベイビーに何かあるときには、それは僕の身にも何かが起きるということ。男と女、一心同体の愛を切々と歌い上げたナンバーだ。

筆者はこの曲をホール&オーツの、アポロ・シアターでのライヴ盤ヴァージョンで初めて聴いたという記憶がある。

オーツのリードで始まり、ホールが歌い継ぐ。ふたりのハーモニーが最高に決まっていた。

で、ご本家版だが、これはホール&オーツをさらにしのぐディープな出来ばえだ。

こちらもデイヴが歌い始め、サムがその後を引き継ぐ。これがなんとも、極上のソウル。これ以上、心にしみいる歌はそうない。

歌うたいとなったからには、一度、こんなバラードを決めてみたい。そんな名曲中の名曲である。

2位「PLACE NOBODY CAN FIND」

ミディアム・テンポのソウル・ナンバー。ポーターの作品。

サムとデイヴの掛け合い、そして切れのいいハーモニーがバッチリ決まった一品だ。

ロック感覚も十分に感じられる曲で、そのビートやリフが、後代のアーティストの作品、たとえばバッド・カンパニーの「CAN'T GET ENOUGH」あたりに大いに影響を与えたふしがありますな。

実際、彼らの蒔いた種は、その後70年代、80年代、90年代と、スリー・ドッグ・ナイト、ブルース・ブラザーズをはじめとするさまざまアーティストに引き継がれて花を咲かせていく。その影響力たるや、ハンパではない。

それから、この曲に限ったことではないが、バックのMG'S、メンフィス・ホーンの演奏が、実にごキゲン。

スティーヴ・クロッパーの弾く、テレキャスターのリフが、シンプルながら実にカッコいい。これぞ、サザン・ソウル也。

1位「SOOTHE ME」

彼らにももちろん、多大な影響を与えたソウルの先達、サム・クックの作品。

64年に33歳の若さで亡くなったクックをトリビュートして彼らが歌うのは、アルバム「TWISTIN' THE NIGHT AWAY」にも収められていたヒット・ナンバーだ。

クックのヴァージョンも以前「ザ・マン・アンド・ヒズ・ミュージック」というベスト盤で聴いたことがあるが(2001.1.8の項)、例の陽性にして、ソウルフルそのものの「クック節」が全開であった。

サム&デイヴ版は、それにまさるとも劣らぬ仕上がり。さすがの実力だ。

サムの、例の頭のてっぺんから抜けるような高音ヴォーカルを前面に押し出して、ひたすら楽しく、ウキウキするようなサウンドを聴かせてくれる。

ディープでブルーな歌よし、とことんネアカなナンバーよし。やっぱり、サム&デイヴは最強だ。

最高にアッパーなソウル・コーラス、堪能しておくれやす。

<独断評価>★★★★☆


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