2003年12月30日(火)
#199 ブルース・ブラザーズ・バンド「ライヴ・イン・モントルー」(WEA MUSIC/WMC5-104)
ブルース・ブラザーズ・バンドのライヴ盤。89年6月、スイスのモントルー・カジノにて収録。
このCDは何回か再発売になっているようで、最新版は昨年リリースされているが、オリジナル・イッシューは90年であります。
<筆者の私的ベスト4>
4位「THE THRILL IS GONE」
当公開セッションでもおなじみの、B・B・キングのナンバー。アップテンポの曲が多いブルブラ・バンドとしては非常に珍しく、まったりとしたテンポでディープなサウンドを聴かせてくれる。
ここでの聴きものは新メンバー、ラリー・サーストンの、ワンフレーズ、ワンフレーズをかみしめるような歌いぶりもさることながら、なんといってもマット”ギター”マーフィのソロだろう。
現在は病床にあると伝えられる彼の、クリアでソリッドな音には、思わず聴き入ってしまう。
BBのかなりウェットなプレイとはまたひと味違った、乾いた泣きのギターと申しましょうか。
マイナー調で感傷過多になりがちなこの曲を、絶妙なバランスでまとめ上げた手腕には、脱帽であります。
3位「IN THE MIDNIGHT HOUR」
これはウィルスン・ピケット、代表的ヒット(65)というだけでなく、60年代ソウルを象徴する名曲のひとつといえよう。
ブルース・ブラザーズ・バンドは、もちろん映画「ブルース・ブラザーズ」(80)でおなじみの、ブルブラのバックバンドが79年に再結成されたもの。もちろん、一部メンバーの入れ替わりはあるが、ギターのスティーヴ・クロッパー、マット・マーフィー、ベースのドナルド・ダック・ダンといった中心メンバーはそのままである。
で、この曲はそのクロッパーとピケットほかの共作。
当然、クロッパーのあのシャキシャキした、テレキャスターでのプレイが聴ける。
オリジナル・ブルブラ以来の付き合いのホーン・セクション、トム・マローン、ルー・マリー二、アラン・ルービンの一糸乱れぬアンサンブルもグー。
日本ではほとんど無名の若手シンガー、サーストンも、張り切ってイキのいい歌声を聴かせてくれる。
ベルーシやエイクロイドがいないのはちと淋しいが、音楽的には彼らの抜けた穴を十分カヴァーしているといえそう。
2位「KNOCK ON WOOD」
とはいえ、サーストンひとりでは、いまひとつ迫力不足なのは否めない。
そこで、強力な切り札として、超ベテラン・シンガーがゲストで登場。エディ・フロイドである。
彼もまた、ピケット同様、60年代のソウル・ミュージックの代表選手。これは彼の最大級のヒット、十八番というわけだ。
サーストンもなかなかいいシンガーではあるが、いかんせんまだ若くて、威勢がいいだけという印象もある。フロイドが歌い始めると、客席のウケが違う。やっぱり真打ち登場!って感じだ。
66年以来、23年にわたって歌い続けてきただけに、その歌声の深み、熟成ぶりはさすがのもの。「貫禄」の一語です。
フロイドは自作曲としてこの「KNOCK ON WOOD」のほか、同じくヒットした「RAISE YOUR HAND」も披露している。
彼の歌って、決してリキまず、さらりと歌い流しているようで、あとでジワジワと効いてくる。まるで、チャンピオン・ボクサーのボディ・ブローのようだ。
1位「EVERYBODEY NEEDS SOMEBODY TO LOVE」
邦題「恋人天国」で、わが国でもおなじみのソウル・ナンバー。オリジナルはソロモン・バーグ、その後ピケットもカヴァーでヒットを放っている。
このアップテンポのナンバーを、フロイドとサーストンのふたりが、サム&デイヴよろしくシャウト。これがド迫力で、実にカッコいい。
ふたりのアジテーションにヨーロッパのオーディエンスも手拍子で応え、ノリも最高潮。
やっぱ、ソウルはこうでなくっちゃ、という見本のようなライヴ。
ゴキゲンな歌声に、ゴキゲンな演奏。これさえありゃ、他には何もいらない。寒~い冬を吹っ飛ばすには、格好のホットな一枚でっせ!
<独断評価>★★★