2022年11月28日(月)
#379 STEVE WINWOOD「バック・イン・ザ・ハイ・ライフ」(Island P35D-20022)
英国のシンガー、スティーブ・ウィンウッドの4枚目のソロ・アルバム。86年リリース。ウィンウッド、ラス・タイトルマンの共同プロデュース。
ウィンウッドといえば洋楽リスナーならば知らぬ者はいないだろうが、あまり日本では固定ファンは多くないという気がする。
特にブラインド・フェイス以来彼と組むことが多い、古くからの友人エリック・クラプトンと比較してしまうと、その感が強まる。
ウィンウッドの音楽的実力、特にその歌のうまさから考えると、不当に低評価じゃなかろうかという気がしてしまうのだ。
でも、彼にもレコードが売れまくった、いわゆる「モテキ」のような時期はあった。
それがこのアルバムから始まる80年代後半の一時期である。
なにせこのアルバム、それまでの3作に比べると、段違いにセールスが伸びた。
本国英国で8位、42週連続チャート・インとなっただけでなく、アメリカでは3位、ゴールド・ディスク、トリプル・プラチナ・ディスクまで獲得したぐらいだ。
また、シングルされた4曲もすべてチャート入りするなど、もの凄いブレイクぶりだった。
それまで、実力のわりには地味なセールスしか記録して来なかったウィンウッドが、何ゆえに86年にブレイクしたのか?
はっきりした原因は分からないが、このアルバム以降、それまでよりは流行寄り、ポップで万人受けしやすい音作りを目指したこと、そしてリスナー側の感性もようやくウィンウッドの音楽性を理解出来るだけの成熟を見せてきた、その両面があるのではなかろうか。
4枚のシングル中の最大のヒットは「ハイヤー・ラブ」である。なんと全米1位に輝き、そのヒットによってグラミー賞でも2部門で最優秀賞の栄冠を勝ち得た。
ダンサブルなエレクトリック・ビート、繰り返しの多い覚えやすいメロディ・ライン、そしてソウルフルだが適度にクールな美声。
こういった要素が当時のパリピな人々に「オッシャレー」と捉えられたんだろうな。
この「ハイヤー・ラブ」路線のダンス向きの曲は他にも何曲かあり、2曲がシングルカットされてヒットしている。「フリーダム・オーヴァースピル」「ファイナー・シングス」がそれである。
もう1枚のシングル曲は「バック・イン・ザ・ハイ・ライフ・アゲイン」だが、これはちょっと趣きを異にしていて、バグパイプをフィーチャーした英国トラディショナル風の曲調である。
いわゆるダンス・ナンバーではないのだが、当時の破竹の勢いで、これもまたしっかりとヒット(全米13位)してしまった。
ウケてる時は、何をやってもウケる。そういうものかもしれないね(笑)。
でも、アルバムの他のナンバーを聴き込むと、以前からやって来たR&B路線の、シブめの曲もちゃんと入っていたりする。
スペンサー・デイヴィス・グループとかトラフィックあたりでやっていてもおかしくないのが「スプリット・ディシジョン」だ。スティーブ・ウィンウッドが何十年キャリアを重ねても忘れることのない原点の音が、そこにある。
ラストの「マイ・ラヴズ・リーヴィン 」もしっとりしみじみとした佳曲だ。80年代らしいアレンジにはなって るが、彼の音楽の根本にある「ソウル」は変わらない。
「流行」と「不易」。どちらも兼ね備えているからこそ、この「バック・イン・ザ・ハイ・ライフ」は多くのリスナーに支持されたのだ。そう思う。
<独断評価>★★★★
英国のシンガー、スティーブ・ウィンウッドの4枚目のソロ・アルバム。86年リリース。ウィンウッド、ラス・タイトルマンの共同プロデュース。
ウィンウッドといえば洋楽リスナーならば知らぬ者はいないだろうが、あまり日本では固定ファンは多くないという気がする。
特にブラインド・フェイス以来彼と組むことが多い、古くからの友人エリック・クラプトンと比較してしまうと、その感が強まる。
ウィンウッドの音楽的実力、特にその歌のうまさから考えると、不当に低評価じゃなかろうかという気がしてしまうのだ。
でも、彼にもレコードが売れまくった、いわゆる「モテキ」のような時期はあった。
それがこのアルバムから始まる80年代後半の一時期である。
なにせこのアルバム、それまでの3作に比べると、段違いにセールスが伸びた。
本国英国で8位、42週連続チャート・インとなっただけでなく、アメリカでは3位、ゴールド・ディスク、トリプル・プラチナ・ディスクまで獲得したぐらいだ。
また、シングルされた4曲もすべてチャート入りするなど、もの凄いブレイクぶりだった。
それまで、実力のわりには地味なセールスしか記録して来なかったウィンウッドが、何ゆえに86年にブレイクしたのか?
はっきりした原因は分からないが、このアルバム以降、それまでよりは流行寄り、ポップで万人受けしやすい音作りを目指したこと、そしてリスナー側の感性もようやくウィンウッドの音楽性を理解出来るだけの成熟を見せてきた、その両面があるのではなかろうか。
4枚のシングル中の最大のヒットは「ハイヤー・ラブ」である。なんと全米1位に輝き、そのヒットによってグラミー賞でも2部門で最優秀賞の栄冠を勝ち得た。
ダンサブルなエレクトリック・ビート、繰り返しの多い覚えやすいメロディ・ライン、そしてソウルフルだが適度にクールな美声。
こういった要素が当時のパリピな人々に「オッシャレー」と捉えられたんだろうな。
この「ハイヤー・ラブ」路線のダンス向きの曲は他にも何曲かあり、2曲がシングルカットされてヒットしている。「フリーダム・オーヴァースピル」「ファイナー・シングス」がそれである。
もう1枚のシングル曲は「バック・イン・ザ・ハイ・ライフ・アゲイン」だが、これはちょっと趣きを異にしていて、バグパイプをフィーチャーした英国トラディショナル風の曲調である。
いわゆるダンス・ナンバーではないのだが、当時の破竹の勢いで、これもまたしっかりとヒット(全米13位)してしまった。
ウケてる時は、何をやってもウケる。そういうものかもしれないね(笑)。
でも、アルバムの他のナンバーを聴き込むと、以前からやって来たR&B路線の、シブめの曲もちゃんと入っていたりする。
スペンサー・デイヴィス・グループとかトラフィックあたりでやっていてもおかしくないのが「スプリット・ディシジョン」だ。スティーブ・ウィンウッドが何十年キャリアを重ねても忘れることのない原点の音が、そこにある。
ラストの「マイ・ラヴズ・リーヴィン 」もしっとりしみじみとした佳曲だ。80年代らしいアレンジにはなって るが、彼の音楽の根本にある「ソウル」は変わらない。
「流行」と「不易」。どちらも兼ね備えているからこそ、この「バック・イン・ザ・ハイ・ライフ」は多くのリスナーに支持されたのだ。そう思う。
<独断評価>★★★★