2022年11月29日(火)
#380 ROBBEN FORD「トーク・トゥ・ユア・ドーター」(ワーナーパイオニア 25P2-2126)
米国のギタリスト、ロベン・フォード88年リリースのソロ・アルバム。
アルバムのコンセプトとしては、過去の有名なブルース・ナンバーを現代のセンスでカバーする企画、といったところか。
すなわちブルースをこよなく愛好する、フォードの原点回帰的作品と言えるだろう。
オープニングのアルバム・タイトル・チューンは、黒人ブルースマン、J・B・ルノアーの代表曲「トーク・トゥ・ユア・ドーター」。
軽快なテンポで繰り出されるギター・ソロ、そしていかにも気持ち良さげなフォードのボーカルで、いい感じにスタート。
次の「ワイルド・アバウト・ユー」はちょっと聴いただけではとても昔のブルースには思えないが、リトル・ウォルターの曲だ。
猛スピードで疾走する、聴いてアドレナリンが溢れまくるナンバー。
3曲目はチャールズ・シングルトン作の社会派ブルース・ナンバー「ヘルプ・ザ・プアー」、というよりはB・B・キングの歌声で有名な曲といったほうが早いか。
歌にせよギターにせよ、フォードにとって実の父親のごとく深く影響を受けた存在なのだろうな、BBは。大いなるリスペクトに満ちたカバーである。
「ナッシン・バット・ザ・ブルース」は、デューク・エリントン楽団のナンバー。1937年に書かれており、おそらく本アルバムの収録曲では一番古い曲だが、ジャズとブルースとの交差点的な味わいを持っている。
そのふたつの音楽ジャンルをともに得意とするフォードには、相応しいナンバーと言えるだろう。
「悪い星の下に」はご存知、アルバート・キングの代表的ヒット。フォードは、モダンでファンクなセンスも合わせ持つアルバート・キングに、BB同様、大きな影響を受けたのだろうな。
オーバードライブ・ギターのハードな音に、アルバートへの憧れを垣間見ることが出来る。
「ガット・オーヴァー・イット」はアイク・ターナーの作品。ノリのいいジャンプ・ナンバー。
ここで達者なブルース・ハープを聴かせるのは、フォードの3歳下の弟、マーク。アンプリファイドされた音が、実にスリリングだ。
「リヴェレーション」は本アルバム唯一のインストゥルメンタル。フォードがかつて在籍していたフュージョン・バンド、イエロージャケッツのキーボード、ラッセル・フェランテの作品。
ブルースとはいえないものの、どこかしらゴスペルの匂いを嗅ぎ取ることが出来るナンバー。タイトルも邦訳すれば「啓示」だしね。
フォードの伸びやかなプレイが、存分に楽しめる一曲。
「ゲッタウェイ」はフォードのオリジナル。スロー・テンポのブルースライクなバラード。
ギターだけでなく、フォードの「歌」を聴かせることがこのアルバムの面目なわけだが、歌うギタリストの多くが歌を「二の次」「余技」「副業」的に捉えているのに対して、フォードの場合は結構「本気(マジ)」で取り組んでいるの。
この自作ナンバーを歌うさまを聴けば、それは十分に感じられるはずだ。
もちろん、フォードの歌のスタイルは、多くの黒人ブルースマンのそれとは相当違う。あくまでも、彼流であり、コアなブルースファンにはあまり支持されるとは思えない。
とはいえ、別にそれでいい気がする。
ブルースとは、個性で勝負出来る音楽。
歌い手の数だけ、スタイルがあっていいのではないだろうか。
ロベン・フォードは、いわゆるブルースマンとは呼べないかもしれないが、彼の生み出す音楽、歌い弾く音楽もまた、間違いなく「ブルース」なのだと思う。
ラストはもう一曲、フォードのオリジナル「キャント・レット・ハー・ゴー」。
スタイルはブルースとは違うが、ブルースの「心」をそこに強く感じさせる、ハードでドラマティックなロック・ナンバー。再びマークもハープで兄を盛り立てている。
このアルバムをリリースした後も常にブルースを忘れることなく、プレイし続けているフォード。
特に「トーク・トゥ・ユア・ドーター」はライブでの十八番になっている。
ブルースこそは音楽のAであり、かつZ。
ロベン・フォードの、ブルースへの愛が満ち溢れた一枚である。
米国のギタリスト、ロベン・フォード88年リリースのソロ・アルバム。
アルバムのコンセプトとしては、過去の有名なブルース・ナンバーを現代のセンスでカバーする企画、といったところか。
すなわちブルースをこよなく愛好する、フォードの原点回帰的作品と言えるだろう。
オープニングのアルバム・タイトル・チューンは、黒人ブルースマン、J・B・ルノアーの代表曲「トーク・トゥ・ユア・ドーター」。
軽快なテンポで繰り出されるギター・ソロ、そしていかにも気持ち良さげなフォードのボーカルで、いい感じにスタート。
次の「ワイルド・アバウト・ユー」はちょっと聴いただけではとても昔のブルースには思えないが、リトル・ウォルターの曲だ。
猛スピードで疾走する、聴いてアドレナリンが溢れまくるナンバー。
3曲目はチャールズ・シングルトン作の社会派ブルース・ナンバー「ヘルプ・ザ・プアー」、というよりはB・B・キングの歌声で有名な曲といったほうが早いか。
歌にせよギターにせよ、フォードにとって実の父親のごとく深く影響を受けた存在なのだろうな、BBは。大いなるリスペクトに満ちたカバーである。
「ナッシン・バット・ザ・ブルース」は、デューク・エリントン楽団のナンバー。1937年に書かれており、おそらく本アルバムの収録曲では一番古い曲だが、ジャズとブルースとの交差点的な味わいを持っている。
そのふたつの音楽ジャンルをともに得意とするフォードには、相応しいナンバーと言えるだろう。
「悪い星の下に」はご存知、アルバート・キングの代表的ヒット。フォードは、モダンでファンクなセンスも合わせ持つアルバート・キングに、BB同様、大きな影響を受けたのだろうな。
オーバードライブ・ギターのハードな音に、アルバートへの憧れを垣間見ることが出来る。
「ガット・オーヴァー・イット」はアイク・ターナーの作品。ノリのいいジャンプ・ナンバー。
ここで達者なブルース・ハープを聴かせるのは、フォードの3歳下の弟、マーク。アンプリファイドされた音が、実にスリリングだ。
「リヴェレーション」は本アルバム唯一のインストゥルメンタル。フォードがかつて在籍していたフュージョン・バンド、イエロージャケッツのキーボード、ラッセル・フェランテの作品。
ブルースとはいえないものの、どこかしらゴスペルの匂いを嗅ぎ取ることが出来るナンバー。タイトルも邦訳すれば「啓示」だしね。
フォードの伸びやかなプレイが、存分に楽しめる一曲。
「ゲッタウェイ」はフォードのオリジナル。スロー・テンポのブルースライクなバラード。
ギターだけでなく、フォードの「歌」を聴かせることがこのアルバムの面目なわけだが、歌うギタリストの多くが歌を「二の次」「余技」「副業」的に捉えているのに対して、フォードの場合は結構「本気(マジ)」で取り組んでいるの。
この自作ナンバーを歌うさまを聴けば、それは十分に感じられるはずだ。
もちろん、フォードの歌のスタイルは、多くの黒人ブルースマンのそれとは相当違う。あくまでも、彼流であり、コアなブルースファンにはあまり支持されるとは思えない。
とはいえ、別にそれでいい気がする。
ブルースとは、個性で勝負出来る音楽。
歌い手の数だけ、スタイルがあっていいのではないだろうか。
ロベン・フォードは、いわゆるブルースマンとは呼べないかもしれないが、彼の生み出す音楽、歌い弾く音楽もまた、間違いなく「ブルース」なのだと思う。
ラストはもう一曲、フォードのオリジナル「キャント・レット・ハー・ゴー」。
スタイルはブルースとは違うが、ブルースの「心」をそこに強く感じさせる、ハードでドラマティックなロック・ナンバー。再びマークもハープで兄を盛り立てている。
このアルバムをリリースした後も常にブルースを忘れることなく、プレイし続けているフォード。
特に「トーク・トゥ・ユア・ドーター」はライブでの十八番になっている。
ブルースこそは音楽のAであり、かつZ。
ロベン・フォードの、ブルースへの愛が満ち溢れた一枚である。
<独断評価>★★★★