NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音曲日誌「一日一曲」#258 T・レックス「Get It On (Bang The Gong)」(Electroc Warrior/Rhino)

2023-12-15 05:29:00 | Weblog
2013年3月10日(日)

#258 T・レックス「Get It On (Bang The Gong)」(Electroc Warrior/Rhino)





T・レックス、71年リリースのセカンド・アルバムより。マーク・ボランの作品。

T・レックスは67年結成、68年レコード・デビュー。当初はマーク・ボランとスティーブ・トゥック(Perc.)のコンビで「Tyrannosaurus Rex」と名乗っており、アコースティック色が強かったが、70年にトゥックからミッキー・フィンに交代、エレクトリック・ギターを導入、バンド名もT・レックスと改めた。

このリニューアルが見事成功、彼らは一躍トップ・バンドへの道を歩み始める。

で、71年に放ったこの「Get It On」のヒットで、その人気を不動のものとした。

そして、同時期にブレイクしたデイヴィッド・ボウイ、モット・ザ・フープルなどとともに、グラム・ロックと呼ばれる新しいカテゴリーのロックを創り出したのである。

当時筆者は、中学2年になったあたり。まだ自分ではギターを弾いたり、歌ったりはしていなかったが、ロックにはすでにハマっており、FMの番組をエアチェックするのが習慣になっていた。

DJ神太郎さんの音楽番組(東芝EMIのロックを専らかけていた)でこの曲を初めて聴いたときは、彼らの以前のヒット(「Ride A White Swan」「Hot Love」など)にはない、ハードでヘビーなグルーヴを感じ、さっそく熱烈なファンとなったものだ。邦題「電気の武者」というアルバムはこの曲同様、日本でも大ヒットとなった。

まずは、彼らが英国のTV番組に出演したときの映像で、この曲を観賞していただこう。

すぐに気がつくと思うが、エルトン・ジョン(すでにブレイクしていた)をピアノに迎えての5人編成のライブ(まあ、口パク、あてぶりってヤツだが)である。

当時の日本では、洋楽の情報はなかなか伝わってこず、アルバムのクレジットになかったこともあって、このピアノが誰であるかはずっと知られずにいた。

で、後年わかったことだが、実はイエスのリック・ウェイクマンが弾いていたそうなんである。

プログレの雄であるウェイクマンが、こんなオーソドックスなR&Bっぽい演奏をしていたなんて、ちょっと意外だよね。

むしろ、エルトンが弾いていたというほうが、しっくり来ると思うのは、筆者だけじゃないだろう。エルトンはニール・セダカやジョン・レノンなどともコラボするなど、非常にフットワークの軽いひとであったしね。

でも、事実はウェイクマンが正解のようなのだ。な~んか、不思議な感じ。

したがって、今回の映像中のピアノの音は、エルトンの演奏ではないのだ。ご注意を。

さて、この曲のカッコよさは、なんといってもノリがよく、踊りやすいところだろう。演奏スタイルはごくごくオーソドックスなブギで、特に変わったこと、難しいことをしているわけじゃないのだが、抜群にノリがいいのである。特にベースラインが。

弾いているのは71年に正式メンバーとなるスティーヴ・カーリー。ホント、聴いていると自然と体が動いてくるのだ。

あとは、テナーサックスのイアン・マクドナルド(元キング・クリムゾンのひとね)やバック・コーラスが、ファンキーな雰囲気を盛り上げていることも大きいかな。

この曲はのちに、パワー・ステーションが85年にカバーし、ヒットさせている。そのブラックでファンキーなグルーヴが、ロバート・パーマーらの心をつかんだのであろうね。

ブルース、R&Bをベースに、マーク・ボランならではのセンスを加味して作られた、新しいダンス・ミュージック。泥臭いけど、斬新。それがT・レックス・サウンドだと思う。40年以上経っても、ちっとも古びないカッコよさを、この曲に感じ取ってくれ。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 音曲日誌「一日一曲」#257 リ... | トップ | 音曲日誌「一日一曲」#259 ア... »
最新の画像もっと見る