NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#248 BEAT CLUB ALL STARS「BEAT CLUB ALL STARS」(Yotsuba Records BCS-OM001)

2022-07-20 05:00:00 | Weblog

2004年11月7日(日)



#248 BEAT CLUB ALL STARS「BEAT CLUB ALL STARS」(Yotsuba Records BCS-OM001)

栃木県宇都宮市にある、ライブハウスを兼ねたスタジオ、「BEAT CLUB STUDIO」。そこに集うミュージシャンたちの集団「BEAT CLUB ALL STARS」がリリースしたオムニバス・アルバム。インディーズレーベル「Yotsuba Records」より本年リリース。

実はこの一枚、知人のhisaeさんからありがたくも頂戴したのだが、一度聴いてみて、そのクォリティの高さにビックリしてしまった。

もう、この中からすぐにメジャー・シーンに躍り出てもおかしくないレベルのアーティストが何組もいるのだよ。

いずれのアーティストも、基本的にはアコースティックギターをフィーチャーしたサウンドなのだが、フォーク、ボサノバ、フュージョン、ブルースなど極めてバラエティに富んでいてあきさせない。

ショート・ジングル「BEAT CLUB STUDIO」で登場するのはトリオ編成のJamsbee

2曲目の「Cafe Deja Vu」は英語詞による、フォーキーなバラード。

リードヴォーカル・上原誠のせつない歌声、廉慎介のハモりが、いい雰囲気を出してる。ギター2本、べースによるアンサンブルも綺麗にまとまっている。

どこか往年のグループ、BREADを想起させる音。筆者のふだん聴いている音楽とはまるきり方向性が違うが、その高い音楽性には素直に賞賛の辞を寄せたい。

続くはソロシンガー・屋代篤司による「エッセンス」。

ふだんはアコギでの弾き語りスタイルのようだが、本盤ではドラムスも加えたメリハリある演奏をバックに、ハイトーンでのヴォーカルを聴かせる。

本人の多重録音によるハーモニーも、なかなか素晴らしい。

2曲目の「熱風」は、ファンク風味のナンバー。ハードにドライヴするアコギ・サウンドを聴かせる。

この曲も、屋代の張りのある硬質な歌声がなんともいい。

ただ、比較的複雑なコード進行にもかかわらず、アレンジがコードカッティング一辺倒なので、いささか違和感がある。編曲にもうひとつ工夫があればさらに良し。

次に登場するのは、ギター、あるいはピアノで弾き語りというスタイルの小川健。曲は「リーフ」と「君に届けたいフレーズ」。かな~り甘口の声なので、筆者的にはちと苦手(笑)。

でも、声質といい、純愛路線の歌詞といい、ポップな曲調といい、いかにも女性にはウケそうだな。守備範囲外なので(笑)、コメントはこのへんで勘弁。

四番手はCliche ♭5(クリシェ・フラット・ファイブ)という、女性シンガーnaomi.kをフィーチャーした2人組のユニット。

サウンド指向の強い、いかにも都会的で洗練された音を聴かせる。お洒落系といいますか。

ヴォーカルが中島美嘉風、ボサノバ調の「影」はことにカッコいい。でもバラードナンバー、「星を数えてる」はちょっとありきたりな曲調かな。何となく今井美樹みたいだし。

筆者的には、彼らに正統派バラード路線よりは、カッとんだお洒落系を歩んで行ってほしいと思うとります。

さて、お次に登場するのはひでぼうず。もちろん、当サイトでもおなじみの、ひであきさんとBoseさん、あのお二人である。

本盤ではべースを加えた編成で、ハードでファンキーな演奏を聴かせてくれる。

インストゥルメンタル・ナンバー、「コブラツイスト(Thousand earthworms feel so good)」は、インプロヴィゼーション炸裂、いかにもフュージョンな一曲。

副題からわかるように、かなりエロティックな含みをもった曲で、なんと、あのhisaeさんやみぎねじさんの色っぽいヴォイスも聴けます。要チェキ!ですぞ。

もう一曲は「Breath」。こちらはヴァイオリンを加え、リラックスした雰囲気のバラード。ヴァイオリンに合わせた歌が聴けますが、このヴォーカルはみぎねじさん。

アコースティック・ギターの美しい響きを最大限に生かした演奏。テクニックには定評のあるこのデュオ、さすがに安心して聴けますな。

続くはえだ たかし。彼もふだんはギターで弾き語りというスタイルのひと。

一曲目の「One Night Blues」は、彼がソロと並行してやっているユニット「みじぇっと」の相方、いしかわ☆さちよとデュエットしたアコギ・ブルース。

この、いしかわ嬢の声が、筆者的にはツボにハマってしまった。ちょっぴりハスキーな泣き節。一度聴いたら忘れられない。

彼女のCDだったら、絶対買って聴くんじゃないかな。ライブでもぜひ一度観てみたい人です。

えだ たかしでもう一曲。こちらはバンド編成での「Fly High!」。清涼感のあるアップテンポのナンバー。

ハイトーンでの歌唱にちょっと不安定なところがあるので、そんへんが彼の今後の課題かな。

そして、超個性派シンガー登場。Mint. 1/2(ミントにぶんのいち)である。アコギとカズーでカントリー調の「電車にゆられて」のようなトッポい曲を歌ったかと思えば、竪琴を達者に弾きながらメロディアスなバラード「感謝のテーマ」をキメたりもする。

ステージでのパフォーマンス、MCも抜群に面白いそうで、ローカルでは既に有名人的存在。

そのうち、メジャーシーンでいつのまにやら活躍してた、なんてなことになりそうな人だね。

最後はふたたびJamsbeeがスタジオライブで登場。歌うは「餃子ブルース」。

この曲はNESTの公開セッション、寿家さんのオフ会でも、ひであきさんらが披露していたので、すでにご存じのかたも多いだろう。

オリジナルはこのJamsbee。とはいえ、もうこの「BEAT CLUB STUDIO」に集う人々にとっては共有財産みたいな愛唱歌になっている。

実際、このテイクでも、オーディエンスとの大合唱になり、盛り上がりまくる。

歌詞は毎回アドリブでいろいろと変わるそうで、そのへんがいかにもブルースっぽくていい。

Jamsbeeの、フォーク路線とはまた違った別の、ブルーズィでファンキーな魅力があふれた一曲である。

以上、さまざまなスタイルのオリジナル・ナンバーがテンコ盛り、約60分、フルに楽しめるので、興味をお持ちになった方は、ぜひ、上記のサイトにアクセスして欲しい。

筆者的には「ひでぼうず」と「えだ たかし&いしかわ☆さちよ」が今もパワープレイ中。

実にナイスな音盤。hisaeさんには、感謝しかない。

<独断評価>★★★★


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