鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

分解された男

2008年11月29日 21時27分25秒 | ゲーム・コミック・SF
今日は掃除と洗濯と買い物を済ませた後、ずっとこれを読んでおりました。
いやー、久しぶりに「ページを繰る手が止まらない」体験をしましたね。おかげで夕飯の準備がすっかり遅くなってしまいました(^_^;

「分解された男」アルフレッド・ベスター(創元SF文庫)


今年の春に買って以来「そのうち読もう」と放ったらかしにしてましたが、今日は時間があるし気の向くところまで読んでみるかな、と手に取ったのが運のツキ。夕飯の準備も忘れてハマりまくりですよ。しかもワイン飲みながらベスター読むと回るんだこれが(笑)実に気持ちのよい酩酊感を味わえましたヽ( ´ー`)ノ今はもぅちゃんと夕飯作って食べた後ですよヽ( ´ー`)ノ

アルフレッド・ベスターと言えば、SF史上に燦然と輝くワン・アンド・オンリーな(いろんな意味での)傑作「虎よ、虎よ!」が代表作ですが、この「分解された男」を最高傑作にあげるSF者も多いです。ベスターの処女長編にして、第1回ヒューゴー賞受賞作。初の長編作でこのパワー、恐るべしベスター。ストーリーは実に単純で、いわゆる「犯罪小説」です。大衆文芸としてあまりにもありふれたこのジャンルを、「一般人の犯罪者(ただし恐ろしく有能)」vs.「超能力者の刑事(ただし超能力者ならではの法規制にがんじがらめに縛られている)」の虚々実々の攻防戦として描いたところが、この作品を傑作たらしめている理由です。ベスター最大の特徴である、ジェットコースターの如き疾走感溢れる絢爛華麗な文体が既に確立されていて、超能力者(この作品では「超感覚者」と訳されていて、この言葉の響きがまたcool)同士の発音無き意思疎通の表現が面白いです。後の「虎よ、虎よ!」に通じる視覚性を感じさせますね。
何分にも邦訳初版が1965年(!)の作品なので、翻訳が古臭いのは致し方ないです。が、その時代がかった訳文がまたベスターの世界観に合うんですね。筆が走り過ぎて、主役の犯罪者&刑事がどちらも異様にチンピラくさい喋り方をするのはまぁご愛嬌ヽ( ´ー`)ノ重要なファクターとなる「もっとひっぱる、いわくテンソル」は名訳ですね。一度耳にすると脳裏にこびりついて離れない迷曲として登場するんですが、元の英文を読むとホントに離れなくなります(笑)鴨的には、こちらのブログで評している「エイドリアン・ブリューが書きそうな詞」ってのがむちゃくちゃツボなんですがヽ( ´ー`)ノ 鴨注*エイドリアン・ブリューとは:KING CRIMSONの現ヴォーカリスト兼ギタリスト。満面の笑みで楽しそうに飛び跳ねながら「Red」を弾きまくる謎の男ヽ( ´ー`)ノ
これ、映画にしたら面白くなると思うんだけど。ベスターの作品は版権の関係で映像化が困難らしいですが、ものすごく「絵になる」テキストですからね。宇宙ランドの自然公園で野生動物の潜在意識にモーションを仕掛ける場面とか、最後にパウエルが敵に仕掛ける一世一代の大仕掛けとか、鮮烈なビジュアルがてんこ盛りですから、映画にするならどんな映像表現で攻められるのか、想像するだけでも楽しいですよ。「絵になる」というのは、SFにおいては最大級の賛辞ですからね(-_☆
こういう傑作がゴロゴロしているから、SF読みは止められません!(-_☆

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