注文の多い料理店 (雑記帳by山猫)

やる気が出た時に更新します。

ピンポンダッシュ

2005年09月19日 | 中年ドラマシリーズ

子供の頃に誰でも一度は経験するイタズラだ。

小学生の時、誘拐事件があった。確か「吉伸ちゃん事件」だったと思う。
そんなことがあったので、学校は児童の登下校の際、危なくないようにと地域によってグループ分けをして児童の安全をはかった。
 
私が所属していた班は5人、どう見ても身代金など取れそうにもない家の子ばかりだった。
それが、毎朝一緒になって学校に行く。帰りもおなじことだった・・・と言いたいが、帰りだけは違ってた。 
今では学習塾など小学生でも当たり前の光景だが、昭和40年代は塾に行く子は、
有名私立校を狙ってるか、学校の勉強について来れないおバカな子のどちらかに決まってた。

だから、学校が終わって暇を持て余している小学生が学校からまっすぐ帰ってくるはずがないのだった。

私たち5人は帰る道々通りかかった家中の呼び鈴を押しては逃げるのだが、その家の
人が玄関まで出てくるのを確認してから逃げるのが、私たちのルールだった。

 
ある土曜日、お昼前に下校した5人がいつものように同じ道をふざけながら歩いてた。
交番を通りすぎたところあたりから、いつもの遊びが始まった。

そこの家は農家で、門が大きくて玄関からは一直線に歩いていけた。そしてグループ
の中のリーダー格の司くんが呼び鈴を押した時、信じられないことが起こった。
門のかげからものすごい形相のパジャマを着た男がバットを振り回しながら追いかけ
てきたのだ。
私たちは一斉に逃げた。頭の中はパニックだ。

パジャママンは下駄をはいているにもかかわらず速かった。
5人がそれぞれ違う方向へ逃げていれば良かったのだが、同じ方向に走っていた。

ピラニアのいる河を草食動物が渡る時、1頭が犠牲になってその隙に他の集団が
河を渡る光景をテレビで見たことがある。
それと同じことが起きた。 

5人のうちのひとり、斎藤くんがパジャママンに捕まった。
その隙に他の4人は無事に逃げることが出来た。
斎藤くんがどうなったか話し合った結果、もう一度、あの家に行ってみることにした。

家の門は閉まっていて、中は覗えなかった。 その夜は寝られなかった。
「もしかして殺されてるんじゃないかな」そんな気がした。

月曜日、斎藤くんは集団登校の集合場所にあらわれなかった。

私たちの恐怖心と罪悪感がピークに達したのはまさにこの時だ。
遅刻するのもかまわず、4人で斎藤くんの家に行ってみた。 

彼の家は材木屋で、家のまわりは材木だらけで、どこが玄関だかわからないような家だった。 

出てきたお母さんの話しでは、土曜の夜中に寝ぼけてトイレに落ち、上腕骨を骨折
して入院しているという・・・便器の中にスリッパが落ちそうになったのを止めようとして
足を滑らせ転落し、その瞬間便器に腕を打ちつけたのだそうだが・・・・
どこまでも運のない子だった。

パジャママンはすぐに解放してくれたそうだ。
私たちが呼び鈴を押す前に、他の誰かに2回やられてたので、今度こそ捕まえて
やろうと思って待ち構えていたらしい。 3回目に私たちが来たわけだ。
実際に捕まえて見ると、要領の悪い、トロい子だったので拍子抜けしたに違いない。

斎藤くんの家はその後、商売がうまくいかず夜逃げ同然に引っ越していった。
3年生になると同時に、私は転校したので他の3人とも会っていない

(もう35年以上も昔の出来事です。本当にトンデモないガキでしたわ・・・)

(なお登場人物は当時は未成年であったため仮名です・・・意味無いと思うけど)
コメント
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