東京日本橋高島屋6階美術画廊で、千家十職17代永楽善五郎展をやっている。見事な作品ばかりでため息であった。3月21日(火)まで。茶道をご存知ない方も、華やかで春と日本を感じられる展覧会です。東京の後、大阪でも開催されるようなので、高島屋HP添付します。
東京http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/event3/index.html (3/15-21)
大阪http://www.takashimaya.co.jp/osaka/gallery/index.html (4/5-11)
会場には表・裏・武者小路千家の宗匠・大宗匠の掛物をかけた3つの床が設えてあり、季節の花と永楽作の香合が飾られていました。
表千家は家元筆、めでたい内容とわかりながら読めない字あり、画廊の方にも伺いましたがはっきりしませんでした。添えられた亀の香合は永楽さんの焼物にこれまた千家十職の一人一閑さんが白檀塗りを施した見事な作品、開けると身と蓋それぞれに松と鶴の絵が描かれているめでたいもの尽くしの趣向。お二人のコラボ作品、重厚で品のある香合でした。
裏千家は大宗匠筆“今日是無事”に鶴の香合、座った姿の鶴香合は大きく圧巻だった。生けられた椿は異なった種類の紅白で、紅色の方は珍しい葉の形をしていた。
武者小路千家は家元筆“華”。還暦祝に自ら書かれた掛物で、真っ赤な地の紙に力強い華という字が書かれており一際目を引く。還暦の赤を使い、還暦の別名“華甲”の一文字を書いたものと思われる。添えられたのは丸型の交趾香合。
展示品は茶碗が多いが、それ以外に八寸皿、花入、水指、香合、蓋置、食籠、皆具など。
永楽というと華やかな色絵のイメージだが、染付の茶碗や織部・伊羅保の花入など渋いものあり、意外だった。画廊の方に伺うと、昔ながらの作風を大切にされながらも芸術家として様々な取り組みをなさっているとの話だった。染付など、白地にきれいな紺色で新鮮だった。
茶碗の高台をよく見ると、土の色に二種類あることに気づく。赤い土と白い土。これまた画廊の方に伺うと、赤土の作品は乾山写、白は仁清写と呼ばれる種類だそう。赤の乾山写はいわゆる素朴で渋い、力強い感じの茶碗で、口の部分が黒く縁取られているものが多い。白の仁清写は彩りも華やかで豪華な、どちらかというと女性を思わせる茶碗。また、茶碗の地色(釉薬)は黒、金、赤など様々で、金は高温だと色が飛んでしまうので難しいのだとか。
作品も見事だが、お値段も見事だった。蓋置で30万円、茶碗は全て100万円以上、中には500万近い品もあり、庶民の私にはびっくりする額でした。表千家家元の箱書のある水指も飾られていました。箱書も一緒に。一閑さんの塗り蓋で、随分斬新な竹の水指でした。
永楽家は当代17代善五郎(紘一)。初代宗禅・2代宗善・3代宗全・4代宗雲・5代宗筌・6代宗貞・7代宗順・8代宗円・9代宗巖・10代了全・11代保全・12代和全・13代回全&曲全・14代得全・15代正全・16代即全、 と室町時代末期より千家十職の土風炉師として続いてきた。10代了全の時に土風炉だけでなく茶陶も始めた。11代保全は幕末京焼名工の一人に数えられ、永楽焼の祖とも言われる。華やかなデザインで、紀州徳川治宝より永楽の印を賜ったそうで、初代~11代までは西村姓で、12代の途中から永楽姓を名乗るようになった。
そういえば会場には歌舞伎役者 市川団十郎・海老蔵、片岡仁左衛門のお祝いの花も飾られていました。
日本橋高島屋の美術画廊は、以前、千家十職竹細工師の黒田正玄作品展の際も伺いましたが、品よくゆったりと見られる配置でさすがです。16:30までは呈茶席も設けてあり、週末土日にお出かけになってみてはいかがでしょうか。入場無料でこんなにすばらしいものを一気に拝見できる機会はなかなかありません。
最後に、画廊の方にこういったものを拝見する際に注意事項ありますか、と聞いたところ、ヒョイと簡単に高いところに持ち上げたり、カンカンと指で叩いたりするお客様を見るとハラハラします、と。茶道をなさっている方はそういうことはないと思いますが、大事なものを拝見する時は十分な配慮を。あと、新しい茶碗を拝見する際は直接土が出ている高台には触らないよう気をつけましょう。手垢・手油がつくので嫌がられます。私は怖くて触れずにいたのですが、画廊の方と話していたら、こういう機会でないと触れないので宜しければどうぞと言って下さったので、最後にいくつか持たせて頂きました。染付の茶碗は、いわゆる一般的な華やかな永楽さんの茶碗より、厚めに作ってあり重みもありました。
茶碗には確かにその窯で焼かれたものということを証明する窯の印が高台の脇についています。永楽さんご本人が作った作品にはまん丸の永楽印、永楽窯で働く弟子が作った作品は楕円形の永楽印と聞いていた。印がまん丸か、楕円形かで値段の桁が全く違ってくるとか。当然今回の印は全部まん丸だった。茶碗を拝見する機会に恵まれたら是非ごらん下さい。
ついでに帰りがけ同じ画廊にある茶道具売り場もごらんになるといいですよ。季節の道具が飾られていてお勉強になります。釣窯の鎖や蔓も置かれていました。
大阪会場ではまた違った飾られ方をするかもしれませんね。いらした方はどんな感じだったか是非教えて下さい。
東京http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/event3/index.html (3/15-21)
大阪http://www.takashimaya.co.jp/osaka/gallery/index.html (4/5-11)
会場には表・裏・武者小路千家の宗匠・大宗匠の掛物をかけた3つの床が設えてあり、季節の花と永楽作の香合が飾られていました。
表千家は家元筆、めでたい内容とわかりながら読めない字あり、画廊の方にも伺いましたがはっきりしませんでした。添えられた亀の香合は永楽さんの焼物にこれまた千家十職の一人一閑さんが白檀塗りを施した見事な作品、開けると身と蓋それぞれに松と鶴の絵が描かれているめでたいもの尽くしの趣向。お二人のコラボ作品、重厚で品のある香合でした。
裏千家は大宗匠筆“今日是無事”に鶴の香合、座った姿の鶴香合は大きく圧巻だった。生けられた椿は異なった種類の紅白で、紅色の方は珍しい葉の形をしていた。
武者小路千家は家元筆“華”。還暦祝に自ら書かれた掛物で、真っ赤な地の紙に力強い華という字が書かれており一際目を引く。還暦の赤を使い、還暦の別名“華甲”の一文字を書いたものと思われる。添えられたのは丸型の交趾香合。
展示品は茶碗が多いが、それ以外に八寸皿、花入、水指、香合、蓋置、食籠、皆具など。
永楽というと華やかな色絵のイメージだが、染付の茶碗や織部・伊羅保の花入など渋いものあり、意外だった。画廊の方に伺うと、昔ながらの作風を大切にされながらも芸術家として様々な取り組みをなさっているとの話だった。染付など、白地にきれいな紺色で新鮮だった。
茶碗の高台をよく見ると、土の色に二種類あることに気づく。赤い土と白い土。これまた画廊の方に伺うと、赤土の作品は乾山写、白は仁清写と呼ばれる種類だそう。赤の乾山写はいわゆる素朴で渋い、力強い感じの茶碗で、口の部分が黒く縁取られているものが多い。白の仁清写は彩りも華やかで豪華な、どちらかというと女性を思わせる茶碗。また、茶碗の地色(釉薬)は黒、金、赤など様々で、金は高温だと色が飛んでしまうので難しいのだとか。
作品も見事だが、お値段も見事だった。蓋置で30万円、茶碗は全て100万円以上、中には500万近い品もあり、庶民の私にはびっくりする額でした。表千家家元の箱書のある水指も飾られていました。箱書も一緒に。一閑さんの塗り蓋で、随分斬新な竹の水指でした。
永楽家は当代17代善五郎(紘一)。初代宗禅・2代宗善・3代宗全・4代宗雲・5代宗筌・6代宗貞・7代宗順・8代宗円・9代宗巖・10代了全・11代保全・12代和全・13代回全&曲全・14代得全・15代正全・16代即全、 と室町時代末期より千家十職の土風炉師として続いてきた。10代了全の時に土風炉だけでなく茶陶も始めた。11代保全は幕末京焼名工の一人に数えられ、永楽焼の祖とも言われる。華やかなデザインで、紀州徳川治宝より永楽の印を賜ったそうで、初代~11代までは西村姓で、12代の途中から永楽姓を名乗るようになった。
そういえば会場には歌舞伎役者 市川団十郎・海老蔵、片岡仁左衛門のお祝いの花も飾られていました。
日本橋高島屋の美術画廊は、以前、千家十職竹細工師の黒田正玄作品展の際も伺いましたが、品よくゆったりと見られる配置でさすがです。16:30までは呈茶席も設けてあり、週末土日にお出かけになってみてはいかがでしょうか。入場無料でこんなにすばらしいものを一気に拝見できる機会はなかなかありません。
最後に、画廊の方にこういったものを拝見する際に注意事項ありますか、と聞いたところ、ヒョイと簡単に高いところに持ち上げたり、カンカンと指で叩いたりするお客様を見るとハラハラします、と。茶道をなさっている方はそういうことはないと思いますが、大事なものを拝見する時は十分な配慮を。あと、新しい茶碗を拝見する際は直接土が出ている高台には触らないよう気をつけましょう。手垢・手油がつくので嫌がられます。私は怖くて触れずにいたのですが、画廊の方と話していたら、こういう機会でないと触れないので宜しければどうぞと言って下さったので、最後にいくつか持たせて頂きました。染付の茶碗は、いわゆる一般的な華やかな永楽さんの茶碗より、厚めに作ってあり重みもありました。
茶碗には確かにその窯で焼かれたものということを証明する窯の印が高台の脇についています。永楽さんご本人が作った作品にはまん丸の永楽印、永楽窯で働く弟子が作った作品は楕円形の永楽印と聞いていた。印がまん丸か、楕円形かで値段の桁が全く違ってくるとか。当然今回の印は全部まん丸だった。茶碗を拝見する機会に恵まれたら是非ごらん下さい。
ついでに帰りがけ同じ画廊にある茶道具売り場もごらんになるといいですよ。季節の道具が飾られていてお勉強になります。釣窯の鎖や蔓も置かれていました。
大阪会場ではまた違った飾られ方をするかもしれませんね。いらした方はどんな感じだったか是非教えて下さい。
2,3個買って帰るかってくらい言ってみたいです(^_^;)
間近で見てみたいものです。
500万近いのはさすがに茶碗ではなくて、水指や皆具(いくつかの道具がセットになったもの)など大きなものです。茶道具って破格なんですよね。。。。。
いいなーと思う茶碗もありましたが、私には買えません。。。。2,3個、夢のようです!
自然も美しいですが、自然を描き取った茶碗というのも味わい深いです。
田舎では十職方の品物などは、道具屋が催す
茶道具展に並ぶ1~2点しか拝見できません
数年前黒田正玄さんと当代楽さんの催事が
ありましたがそれ以後は聞きません。
都会では毎年のように十職展があるようで
羨ましい限りです。何しろ目の前にガラスが
ありませんものね ヒョットして手で触れられる
チャンスがあるかもしれないし・・・
勉強の良い機会ですが私には
購入とまでにわ!!参りません
そうですね、なかなかあれだけの数を拝見できることはないので感動でした。三井記念美術館でも永楽展が4月にあるようなので折角当代を拝見したので、続いて見に行こうと思っています。
私も目の保養、勉強に留まっています。購入できる機会は、、、、、はてさて訪れるのか訪れないのか?!
見てみたいですね、本物を。
お茶道具の相場をキープしてくれているのが、楽家と聞いています。
これらがお高いので、他の物の相場も高く出来ると。
だって気違いじみた価格ですもね。お茶をやらない方にとっては
(やる人の多くも)雲の上の出来事。
楽茶碗が茶道具相場のベースですか。。。。
茶道具の値段は本当に習っていない人にとっては驚きの金額ですよね。。。私だって、モノによってはこれが?って疑問に思うものもありますし。ある種ブランド品のような。
必ずしも高い道具を集めればすばらしい茶会ができるというわけでもなく、そこが茶道の難しいところでもあり、いいところでもあると言えるでしょうか。