茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

線香と香水

2005-11-30 21:33:17 | 日本マメ知識
 再びお香のお話を少々。我々の生活で一番身近なお線香と香水について。

 線香が登場するのは安土桃山時代の天正年間(1573-92)。中国の帰化人が宗教儀礼の用途として堺に製法を伝えて京都で定着したと言われる。数種の香料に、タブの木をつなぎに使って作る。線香は着火するだけで長時間使用できる簡便さから一気に広まったものの、江戸時代の鎖国による上質香料不足から国内の杉の葉を粉末にしたものにつなぎを入れて作った杉線香という粗悪品が出回ったせいで、線香の香りはよくない、仏事で使用するという悪いイメージに繋がってしまいました。現在は、香は和製アロマとして注目を浴びており、色々な場所で様々な香炉や線香が見られるようになりました。銀座には松栄堂、鳩居堂という有名なお香屋さんがあり、見るだけでも楽しめます。
 また、各地の寺院に行くと必ずお線香が売られています。我が家には仏壇があるので、購入すること多いのですが、そのお寺独特の調合のものや、たくとその後に文字が残る(般若心経や梵語などの)ものなど、バラエティ豊かです。
 
 17世紀になるとヨーロッパで揮発性のアルコールが登場し、香水が作られるようになった。アーモンドやピーナツ、オリーブなどに数種のハーブを入れて香りを抽出し、オイルマッサージとして使用、上流貴族だけが高級な香油を塗布してリラクゼーションや権威の象徴としての匂い付けに使用していた。
 日本で同様なものとしては、江戸時代に“鬢づけ油”として使われた椿油に香料を入れたもの。今もお相撲さんの髪は椿油で整えて髷結いされていますね。江戸時代の商標をみると椿油は“伽羅油”と書いてある。これは伽羅を使用しているわけではなく、伽羅は香木として最高級の為、その名前にあやかっているのです。

 女性が今一番使用するのは香水ではないでしょうか。私も以前は全く興味がなかったのですが、最近、美しい形、色の瓶に入った香水を見るだけでも華やいだ気分になり、また好きな香りを身につけることでふわっといい香りがするとリラックスでき、幸せな気分になるので、その時の気分で身に付けて楽しむようになりました。自分の好きな香りというのをいくつか持っていてもいいかもしれません。
 アロマの講座で、アルコールに好きな香りのハーブの香油を入れて自分だけの香水を作ったことがあります。その時はサンダルウッド、ラベンダー、イランイラン、ゼラニウム、ベルガモットをいれました。それ以外にも色々な香りがあり、混ぜることで変化し、楽しいひとときでした。ハーブの香油には様々な効用があるようで(血流をよくするなど)、和洋とも香の世界は深いようです。

 日本の香の世界ですごいのは、1つの香木が脈々と残っており、足利義政や織田信長がかいだのと全く同じ香りに出会える可能性があるということかもしれません。香りを通じて昔の人と同じ瞬間を共有できるとでもいうか。茶道もそうですが、ある意味、非日常の世界ですね。
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2 コメント

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初めてコメントさせていただきます。 (ukiki01)
2005-12-01 00:32:50
m-tamagoさま、こんばんは。

遅きに失しているような気もしますが、ようやく全部の記事を(じっくりではありませんが)拝読しました。

お茶に関してはまったくの部外者ではありますが、楽しませていただきました。



ところで、「週刊モーニング」という雑誌をご存じでしょうか?

これに、古田織部を主人公にした「へうげもの」という漫画(シリアスではなく、かなり笑えもする)が連載されています。

もちろん千利休も出てきます。

私は毎週楽しみに読んでいるのですが、なんとなくですけれど、お茶をやっておられる方にもおもしろいのではないかなあと思っています。

ではまた寄らせていただきますね。

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はじめまして (m-tamago)
2005-12-01 20:27:59
ukiki01さん、コメントありがとうございました。

お茶に関して部外者でも楽しんで頂けましたか。うれしいことです。



週刊モーニングは名前は知っていますが、読みませんね。。古田織部を主人公にした漫画があるとは驚きです。文庫でも出ているんでしょうか。今度本屋さんで見てみます。



茶道を習って長いので当たり前になっていることも多いはず、また気づいた点がありましたらコメント下さいね。

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