毎日暑い日が続いていますね。
『茶遊庵』のお稽古も8月は月初と月末によせているので、中旬は長いお休みが入ります。
この期間に秋の親子さんお点前デビュー茶会や来年から開始するお稽古のことをつめていきたいなあと思っています。
6月からご入会されたご夫婦がいらっしゃいます。
奥様がまた茶道を習いたいと『茶遊庵』を探しあてて下さり、
日本文化がお好きなご主人様も一緒にやってみようと入会して下さった素敵なご夫婦です。
男性の入会は初めてなので、帛紗の付け方や扱いなど、少し男女で異なる部分を私も勉強しなおしました。
奥様は茶道経験者でいらっしゃるので、忘れてしまったとおっしゃいながらも、手を動かし始めるとすいすいとお点前が進みます。長い間休んだとしても、一定期間習ったことのある方は動き始めればあっという間にブランクを取り戻していきます。
何歳からでも始められて、一度休んだとしても、また何歳からでもやり始められるのが茶道のいいところだなあと改めて感じます。
先日は、盆略点前で、奥様とご主人様がそれぞれ主客となってのお稽古をしました。
亭主が「お菓子をどうぞ」
お客様が「お点前頂戴致します」
お客様が「どうぞおしまい下さい」
亭主が「おしまいにさせて頂きます」などなど主客のやりとり。
すると、ご主人が面白い感想を口にされました。
「茶道って間合いが独特ですね。三拍子みたいな感じ。日常は四拍子だと思うけれど。」
茶道が三拍子?とは私も初めて聞く感想だったので、どういうことか思わず聞き返してしまいました。
「茶道のやりとりを見ているとすぐに言葉で返さなかったり、
主客でやりとりのずれがあるというか、
割り切れない、偶数ではなくて、奇数の間合いだなと思いまして・・・・」とのことでした。
お菓子をどうぞの次は、普通は頂きますと返して食べるような気がするけれど?
お茶を出した時に亭主からどうぞはなくて、お客の方から、頂戴しますと声をかける?
その間合いを独特に感じたようです。
私にとっては長年当たり前のこととしてやってきましたが、言われてみれば確かにそうかなと思いました。
茶道では言葉にだしてしっかり伝える時と、会釈や礼によって気持ちを伝える時とあって、
そのやりとりのタイミングは決まり事としてあり、習ったようにやってきました。
でも、言われてみれば、うるさすぎない、最小限の言葉のやりとりで主客は心を通わせあっているのかもな~と今回思いました。
考えてみれば茶道は奇数の文化。
お菓子を盛る時も奇数で盛る、お道具を取り合わせる時も奇数にする、
割り切れない数字を好みます。
和食器だって、5つで1セット=奇数です。
一方洋食器は、2つで1セット=偶数です。
御祝儀も割り切れない奇数で包みます。
日本文化自体が、合理的で割り切れる偶数より、割り切れない、あいまいな奇数をよしとする文化かもしれません。
茶道の奇数の間合い、三拍子の間合い、初心者ならではの視点で、
私にとっては新しい気づきでした。
あたり前のようにやっている茶道のやり取りや問答も、実は日本らしいリズムで整えられているのかもしれませんね。
日常生活は四拍子、
察することも大事ですが、社会ではきちんとやりとりをすることが
円滑にコミュニケーションをとることに繋がり大切ですね。
四拍子と三拍子、この間合いの違いが、茶道を非日常と感じる要因の一つとなっているとも考えられるかな。
こういう疑問や感想を投げかけて下さるのは、本当に楽しく、有り難い。
私自身も茶道を改めて考え、振り返るきっかけになります。
生徒と共に成長していきたいと思う瞬間であります。