以前、修練の為に裏千家八世又玄斎一燈と、表千家七世如心斎天然らが七事式(花月・且座・廻り炭・廻り花・茶カブキ・一二三・員茶)を制定したことはご紹介しました。詳しくはカテゴリー“七事式”をご覧下さい。
裏千家では、これらから考案された形のものがあります。花寄之式、仙遊之式、雪月花之式、法磨之式、三友之式、唱和式。
今年最後のお稽古は、唱和式で締めくくられました。本で読んだことはありましたが、私にとって初めての唱和式。優雅でゆったりとして、年末の忙しさを忘れ優しい気持ちになった一時でした。
唱和式は、十四代淡々斎により創案され、内々で行われていたものを、淡々斎の没後三年法要のあと公開されました。
全員で花を生け、香をきき、濃茶を頂き、花月で薄茶を頂き、最後に最初に生けた花にちなんで和歌を詠みます。
簡単に順を追ってみます。
席に入ると床の間に置花入、掛花入など、様々な形の花入が用意されています。先生や社中の皆さんのもちよりで、照り葉、椿、ワビスケ、水仙、寒菊など様々な花が花台に用意されました。私は三客。白い椿を選びました。
香はなんとも芳しい香りが致しました。亭主が香を本聞きして、香盆に香炉を置くと、正客より“お香はそのままで”と声がかかり、亭主は床に香盆を荘ります。亭主が立ち上がると同時に連客は四畳半に詰めます。
亭主が濃茶を点て、皆で頂いた後、“お薄は花月で”と声をかけると、連客はふくさを腰につけます。
亭主は汚れた建水を持って水屋にさがり、折据の乗った干菓子器を正客に持ち出し、清めた建水を踏込畳の敷き合わせに置き、末席仮座について“折据のお回しを”と声をかけ、花月が始まります。“月”札の人は茶を飲み、“花”札の人は茶を点てます。
最後の仕舞“花”が諸道具を拝見にだし、連客の拝見が済むと、最初の亭主が道具を水屋に下げます。この時、連客も八畳に広がります。
この後、亭主が正客に重硯箱を運び出し、干菓子器を水屋に引いて、末席に座ります。
重硯箱を回し、連客それぞれ墨をすり、懐中した短冊を出して、自分が最初に生けた花にちなんで和歌をしたためます。
和歌を書き終わると右膝脇に短冊をおき、重硯箱を正客から末客まで回し戻すと、末席の亭主が水屋に下げ、文台を正客の前に持ち出します。
正客から順に短冊を2度詠じて、文台にのせ、次に送るという具合に、連客は順順に和歌を唱和します。末席の亭主には連客の短冊が並んだ文台が届き、もって水屋に下がり、送り礼に出て総礼となります。
亭主は使用される道具を持ち出しては下げ、忙しく、てきぱきと動くことが必要となります。次に使用する道具を持ち出して、返された道具を水屋にひく、機能的にできているなと思いました。いつか亭主も経験してみたいものです。
さて、私の選んだ花は椿でしたが、実は皆さん、最後のお稽古は唱和式をするからと和歌を家で考えていらしたそう。そんな訳で亭主が水仙を生けたのですが、次客も水仙でないとだめです!と言って水仙を生けて笑いを誘っていました。和歌を詠じ慣れていないので、和歌先行の唱和式です。いやはや。私は皆さんが考えていることを準備の水屋で知り、慌てて式の間中考えていました。それで思い浮かんだ和歌はこの通り。お粗末ですが、書き留めておきます。蕾でなく開いた白い椿は清々しく、笑っているかのように感じました。
ひだまりに 笑う椿を 返りみて 過ぎゆく年を 静かに想ふ
短冊には、一番上(短冊の長さの四分の一)に花名を書き、その下に二行で和歌を書きます。頭はそろえて。そして、二行目の一番最後に宗名(もしくは実名)を書くのがお約束。
他の皆様は見事な和歌で、自分の語彙のなさに悲しくなったのでした。文台にならんだ短冊はなかなか見応えがありました。記念にコピーして皆でとっておくことにしました。それにしても、墨をすることも久しぶり、細筆を手にすることも、短冊に文字を書き付けることも何十年ぶりか?上手にできないよ~書けないよ~とドキドキしながら新鮮な気分を味わいました。
祖母は和歌を詠む人でした。遺してくれた短歌集をもう一度読み返してみようと思います。生きていたら色々と聞きたいことがありました。一緒に和歌を詠むこともできたかもしれません。
年の最後に唱和式を経験して、和歌、習字と茶道とは本当に日本の総合文化だなあとまたもや思ったのでした。これから花や美しい風景を見たら、五七五七七で詠むよう心してみよう、来年の目標がまたひとつ増えました。
今年は私の茶道歴の中でも忘れられない思い出深い年となりました。年明けの初釜では、今年茶名を頂いた社中の5名を中心に水屋側を受け持つことになり、ベテランの先輩のご指導の元、私は初炭をさせて頂くことになりました。年の最初に、清々しい気持ちで炭をつぎたいと思います。
皆さんも今年はそろそろお稽古も終わりを迎えていることと思います。来年もお互い楽しみつつ精進できたらいいですね。
裏千家では、これらから考案された形のものがあります。花寄之式、仙遊之式、雪月花之式、法磨之式、三友之式、唱和式。
今年最後のお稽古は、唱和式で締めくくられました。本で読んだことはありましたが、私にとって初めての唱和式。優雅でゆったりとして、年末の忙しさを忘れ優しい気持ちになった一時でした。
唱和式は、十四代淡々斎により創案され、内々で行われていたものを、淡々斎の没後三年法要のあと公開されました。
全員で花を生け、香をきき、濃茶を頂き、花月で薄茶を頂き、最後に最初に生けた花にちなんで和歌を詠みます。
簡単に順を追ってみます。
席に入ると床の間に置花入、掛花入など、様々な形の花入が用意されています。先生や社中の皆さんのもちよりで、照り葉、椿、ワビスケ、水仙、寒菊など様々な花が花台に用意されました。私は三客。白い椿を選びました。
香はなんとも芳しい香りが致しました。亭主が香を本聞きして、香盆に香炉を置くと、正客より“お香はそのままで”と声がかかり、亭主は床に香盆を荘ります。亭主が立ち上がると同時に連客は四畳半に詰めます。
亭主が濃茶を点て、皆で頂いた後、“お薄は花月で”と声をかけると、連客はふくさを腰につけます。
亭主は汚れた建水を持って水屋にさがり、折据の乗った干菓子器を正客に持ち出し、清めた建水を踏込畳の敷き合わせに置き、末席仮座について“折据のお回しを”と声をかけ、花月が始まります。“月”札の人は茶を飲み、“花”札の人は茶を点てます。
最後の仕舞“花”が諸道具を拝見にだし、連客の拝見が済むと、最初の亭主が道具を水屋に下げます。この時、連客も八畳に広がります。
この後、亭主が正客に重硯箱を運び出し、干菓子器を水屋に引いて、末席に座ります。
重硯箱を回し、連客それぞれ墨をすり、懐中した短冊を出して、自分が最初に生けた花にちなんで和歌をしたためます。
和歌を書き終わると右膝脇に短冊をおき、重硯箱を正客から末客まで回し戻すと、末席の亭主が水屋に下げ、文台を正客の前に持ち出します。
正客から順に短冊を2度詠じて、文台にのせ、次に送るという具合に、連客は順順に和歌を唱和します。末席の亭主には連客の短冊が並んだ文台が届き、もって水屋に下がり、送り礼に出て総礼となります。
亭主は使用される道具を持ち出しては下げ、忙しく、てきぱきと動くことが必要となります。次に使用する道具を持ち出して、返された道具を水屋にひく、機能的にできているなと思いました。いつか亭主も経験してみたいものです。
さて、私の選んだ花は椿でしたが、実は皆さん、最後のお稽古は唱和式をするからと和歌を家で考えていらしたそう。そんな訳で亭主が水仙を生けたのですが、次客も水仙でないとだめです!と言って水仙を生けて笑いを誘っていました。和歌を詠じ慣れていないので、和歌先行の唱和式です。いやはや。私は皆さんが考えていることを準備の水屋で知り、慌てて式の間中考えていました。それで思い浮かんだ和歌はこの通り。お粗末ですが、書き留めておきます。蕾でなく開いた白い椿は清々しく、笑っているかのように感じました。
ひだまりに 笑う椿を 返りみて 過ぎゆく年を 静かに想ふ
短冊には、一番上(短冊の長さの四分の一)に花名を書き、その下に二行で和歌を書きます。頭はそろえて。そして、二行目の一番最後に宗名(もしくは実名)を書くのがお約束。
他の皆様は見事な和歌で、自分の語彙のなさに悲しくなったのでした。文台にならんだ短冊はなかなか見応えがありました。記念にコピーして皆でとっておくことにしました。それにしても、墨をすることも久しぶり、細筆を手にすることも、短冊に文字を書き付けることも何十年ぶりか?上手にできないよ~書けないよ~とドキドキしながら新鮮な気分を味わいました。
祖母は和歌を詠む人でした。遺してくれた短歌集をもう一度読み返してみようと思います。生きていたら色々と聞きたいことがありました。一緒に和歌を詠むこともできたかもしれません。
年の最後に唱和式を経験して、和歌、習字と茶道とは本当に日本の総合文化だなあとまたもや思ったのでした。これから花や美しい風景を見たら、五七五七七で詠むよう心してみよう、来年の目標がまたひとつ増えました。
今年は私の茶道歴の中でも忘れられない思い出深い年となりました。年明けの初釜では、今年茶名を頂いた社中の5名を中心に水屋側を受け持つことになり、ベテランの先輩のご指導の元、私は初炭をさせて頂くことになりました。年の最初に、清々しい気持ちで炭をつぎたいと思います。
皆さんも今年はそろそろお稽古も終わりを迎えていることと思います。来年もお互い楽しみつつ精進できたらいいですね。
お香の方でも師走は「当座香」など和歌を詠む組香が多いです。 お香の場合はあらかじめ考えておくことができません。出たお香の頭文字を頭にして詠みこむからです。
あの業平の「か・き・つ・ば・た」のお歌のようなわけです。
「つ・ば・き・た・か」と出たら「つれずれに~」などとなるわけで楽しくも、お苦しみの時となります。
この時はお香の当りよりお歌の出来のよい方にご褒美の記録紙が頂けます。今年はどんなお題になりますやら~
探題香などは当てたお香のお名前を詠み込んだりします。
お茶もお香もふるきよきものを尊びながら静かな時を過せるのがなによりの贅沢で、暮れのひと時の楽しみです。
またSAKURAにもお遊びにお越し下さいませ。
http://purple.ap.teacup.com/yaya/
花と料理だけでなく、今度は習字に歌ですか。
毎回銘を考えるだけで大変なのに・・・
短歌って好きですが、私は作った事ないです。
語彙もですが、センスが必要ですよね。
今度からはたまごさんの和歌が時折ブログで拝見できるのでしょうか。楽しみです。
先日初めて初炭の稽古をしましたが、炭をつぐのに一苦労、お香を練るのに一苦労、道具の扱いにもいちいち一苦労・・・えらく時間がかかってしまいました。
>花寄之式、仙遊之式、雪月花之式、法磨之式、三友之式、唱和式。
たまごさんすみません、大体こうかな?とわかるのもあるのですが、一応読み方教えてもらえますか?
基本は同じなので、何とはなしに流れが解ってきました。*^^*
それにしても、表より思えることが多い上に、和歌まで詠まれる。。。
大きな違いの一つでしょうね。私も短歌は好きですが、自分で詠むのは。。^^;
でもこうやって、必要に迫れれば、そういう訓練が出来るので、素敵な事ですよね。
また、たまごさんの和歌教えて下さいね。
唱和式、素敵ですね。いつかやってみたいです!あこがれです。
詳細に書いていただいたので、おぼろげな記憶を手繰り寄せようとしていますが、種類が多すぎて、頭がぐちゃぐちゃです。でも、和歌を詠んだことは、覚えています。今の時代 墨汁使いですが、ここでは、小さな水滴から水をたらし、本当に炭をすりながら、考えるのも、又よいものですね。
唱和をすると、わかっているときが多いので、そのときは、自分から題にしたい花を持参します。(ずる~い)
みんなのお稽古や、お茶事の記事を読むと、刺激されてやってみたくなります。今も重硯がないので、田楽箱を利用してなんて、できもしないのに、あれこれ考えてしまいます。
いつも、良い刺激 ありがとう。
お香の席を一度体験してみたいと思っているのですが。どんな世界が広がっているのでしょう。
出たお香の頭文字で和歌を詠む、これまた雅ですね。
>お茶もお香もふるきよきものを尊びながら静かな時を過せるのがなによりの贅沢で、暮れのひと時の楽しみです。
本当にそうですね。私も先生や社中の皆様とのんびりと贅沢な時間を過ごしました。
SAKURAにももちろんまた寄らせて頂きます。お香のことも教えて頂けるとうれしいです。
本当に花、料理、習字、歌、一日してならずなものばかりです。根気よく徐々に勉強してまいります。
>今度からはたまごさんの和歌が時折ブログで拝見できるのでしょうか。楽しみです。
いえいえ、今回特別です。
和歌、学生の頃、俵万智のサラダ記念日を読んだことを懐かしく思い出しました。まずは五七五七七で自分なりに言葉にしてみるということから始めようと思います。
初めての初炭、私もなつかしく思い出しました。
炭をつぐ、灰をまく、お香を練る、道具の扱い、普段やらないことばかりなので、最初は難しいですよね。でも繰り返していると自然に手が動くようになるのが不思議です。
>花寄之式、仙遊之式、雪月花之式、法磨之式、三友之式、唱和式。
読み方は、はなよせのしき、せんゆうのしき、せつげっかのしき、ほうまのしき、さんゆうのしき、しょうわしきです。淡交社刊 裏千家茶道教科 七事式 下 に点前が書かれていますので宜しければご参考になさって下さい。
和歌は難しいです。
表にも和歌を詠む花月がありますか?香付とか??
>こうやって、必要に迫れれば、そういう訓練が出来るので、素敵な事ですよね。
ハイ、何事も前向きに考えます。いい機会だと思います。今は社中でのお稽古だからいいけれど、気の張る席だったら困ってしまいますが。
>また、たまごさんの和歌教えて下さいね。
どうしようかな~。自分で納得のものができましたら。。。。(=永久にアップされない(><))
>私のお稽古納めは、仙遊之式と貴人清次付花月でした。
お稽古納め、同じように花月でしたか。
仙遊もいいですね~。
>唱和式、素敵ですね。いつかやってみたいです!あこがれです。
私も今回始めてで、いい経験をしました。
重硯箱には感動しました。コンパクトに硯と筆と墨、水滴が入っているんです。
いつかのお楽しみに!!
>今の時代 墨汁使いですが、ここでは、小さな水滴から水をたらし、本当に炭をすりながら、考えるのも、又よいものですね。
思いがけず、墨をする時間がなかなかよかったです。
昔習字の時も無心に墨を磨っていたなあと思い出しました。
>唱和をすると、わかっているときが多いので、そのときは、自分から題にしたい花を持参します。(ずる~い)
そうらしいです。社中の方もワビスケを持ってきて,私のだから使わないでねと皆さんにおっしゃっていました。
>いつも、良い刺激 ありがとう。
こちらこそ、刺激頂いています。ありがとうございます。
色々な方が色々なお稽古なさっているのを知ると勉強になりますね。
そういえば、先日質問されていた、口切で使われる小刀は花台に添えられた小刀と同じものだそうです。今回花台に小刀が出ていたので先生に伺ってみました。