茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

笑い その1

2006-06-03 17:39:28 | m-tamagoの物想い
 最近脳を活性化するゲームや脳に関する番組が多く見られる。1-3月、教育テレビ趣味悠々“お茶をたしなむ 表千家”を楽しみに見ていたが、その後、脳についての番組をやっていて、ついつい続けて見入ってしまった。理論を聞いて人間の脳ってすごい!と感動したので、ご紹介したいと思います。

 番組では東北大学の脳学者川島隆太氏が人間の心は脳にあるという仮説のもと様々な実験検証をしていました。

まず、人間の脳は2つの部分から成り立っている。
①脳の中心にあり、原始的な脳と呼ばれる辺縁系
②人間の進化と共に発達したと言われる、辺縁系を取り囲む新皮質系

 人間には喜怒哀楽に代表されるように様々な感情があるが、“怒り”と“恐れ”の感情は辺縁系、原始的な脳から発生する。これは、その昔人間が弱肉強食の世界で生きた頃の記憶が残っているもので、“怒り”は敵に会った時に攻撃するため、“恐れ”は逃げるため、いずれも生き残る為に必要な感情だという。
 一方、喜びや楽しさから発生する“笑い”という表情・感情は高度に発達した人間に特有なもので、動物でみられるのは、チンパンジーの赤ちゃんだけ、それも成長と共に消えてしまうという。この笑いは脳の新しい部分、新皮質系の前頭前野(おでこの辺り)から発生する。人間は赤ちゃんでも既に微笑み(ベビースマイル)を持っているが、これは言葉をもたない赤ちゃんが生き残る為に持っている非言語コミュニケーションなのだそう。確かに赤ちゃんの笑みを見ると誰しもかわいいと頬がゆるんでしまいますね。
 この前頭前野と呼ばれる部分は右と左で機能を分担しており、左側は言語コミュニケーション、右側は非言語コミュニケーションを司っている。

 番組では二つの実験が紹介されていた。
 小さな子供がお母さんと話す時と他人と話す時の脳の反応の差を見る。お母さんと話す時は前頭前野の右側が強く使われている。これは親の気持ちを汲み取ろうとして言語以外に、非言語コミュニケーションを司る右側を強く使う為だそう。
 もう一つ、大人が携帯電話で他者と話す場合と、実際に目の前で話す場合の脳の反応の差を見る。前頭前野の右側は実際に人に会って話している方が活発に反応した。携帯で話す(相手の顔が見えない)とその部分は全く働かない。顔を合わせる、実際に会うということは、他者の気持ちを読み取ることであって、非言語コミュニケーションもまた他者との関係では大切な要素であることが実証された。
 やっぱり携帯やメールって便利だけれど、人との本当の意味でのコミュニケーションはとれていない、危ういものでもあるんだな、と実感しました。

 また、前頭前野はリラックスする時と緊張する時に働きが下がる。よく言われる頭が真っ白になるという現象は前頭前野が機能停止に陥る時だとか。考えてみれば、リラックスしている時は確かに頭は真っ白だ(何も考えていない)し、緊張状態の時も言葉も表情も出てきませんね。
 実験では、音楽を聴く時やペットと触れ合う時は前頭前野は右左両方ともが活発に働くことがわかっている。音楽は右で抑揚やリズムを感じ、左で歌詞(言葉)を感じている。ペットをさわる時はリラックスしている一方で非言語コミュニケーションをとろうとするので右左ともが働く。前頭前野の右側が働くことは人間の癒しにも繋がるということだろう。
 前頭前野はコミュニケーション、創造、思考、行動や感情の抑制といった役割を持っていて、記憶や学習、創造性を司り、結果、人間の自発性、意欲、考えるといった行動を引き出す。左右両方を使う方がバランスのとれた豊かな人間になるということか。

 人間の脳は0-4歳で大きく発達するそうで、0歳では380グラム(全体重の約10%)の脳が4-5歳には1250グラムにもなる。成人は1350グラムなのを考えると如何に0-3歳の間に脳が大きく発達するかが分かる。だからこそ0-3歳の教育と言うのはとても大切なものとなる。今学校で話題のADHD,LDは、この前頭前野の働きが低下している為におきるのだそうだ。

 我々の様々な感情、表情、行動、全ては脳の働きに通じる。やっぱり日頃から色々な人に会ったり、いい音楽を聴いたり、様々な場面で脳を使わないと退化してしまうんだなぁ。川島先生のお話は理路整然としていてあっという間の30分だった。う~ん、脳ってすごい。
 今日は笑いというより脳の話になってしまいましたが、笑いの話を続けます。
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8 コメント

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赤ちゃんの笑顔 (albireo)
2006-06-04 08:18:51
赤ちゃんは、胎児のころから笑顔を作る練習をしているらしいという説があります。生まれたての赤ちゃんの笑顔は、楽しさや喜びを表す本当の笑いではなく、生き残るための戦略であるとも言います。

僕は、ずっと以前にその事を知って、ひどく感動しました。

あんな小さな命が、生きる為に必死に頑張っているのですね。

そして、そんな笑顔に大人たちが、笑顔で反応している内に、赤ちゃんの笑顔は、本当の喜びの笑顔に変わって行くのでしょうね。

その真摯に生きて行こうとする姿を、尚更愛おしいと感じます。



本題の、「笑い」のお話も楽しみにしています。
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脳の活性化 (ゆりかもめ)
2006-06-04 11:40:12
脳を活性化させることも必要ですし、ゆっくりと休養させることも必要なのでしょうね。

三浦友里枝さんのCDを3日ほど前に注文しました。もうすぐ届くかなと楽しみにしています。いい音楽を聴いて脳を活性化させます。

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ヒトという刺激 (ukiki01)
2006-06-04 12:21:15
顔を合わせると、たしかに、

携帯やメールでのやりとりよりも(いい意味でも悪い意味でも)消耗するというか、

エネルギーを使う気がしますが、

脳を余分に使ってるからなんだな。

情報は視覚で(つまり、目で)70%だか80%だかを取り入れていると教わったような記憶がよみがえってきました。

たしかに人と話すのは顔を見たほうが伝わる量が多いし、速いよね。
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赤ちゃんの笑顔 (m-tamago)
2006-06-04 20:02:08
albireoさん、そうですか、胎児の頃から笑顔の練習。。。。

生き残るための戦略というのは今回知って目から鱗でした。でも、考えてみたら、人間の赤ちゃんは動物と違って生まれてすぐ歩けないし、守ってもらえなければ生きていけませんものね。

赤ちゃんの笑顔が本当の喜びの笑顔に変わって行くかどうかは周囲次第。。。確かに色々な人の笑顔に接している赤ちゃんはとても明るいですものね。子供は皆で育てるものなのだなぁ。



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脳の活性化 (m-tamago)
2006-06-04 20:04:38
ゆりかもめさん、こんばんは。

脳にもメリハリが大切ってことですよね。



>三浦友里枝さんのCDを3日ほど前に注文しました。

お買い上げありがとうございます!

夜、間接照明の中で聞くと本当にホッとしますよ。気に入って頂けるといいなあ。





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ヒト刺激 (m-tamago)
2006-06-04 20:10:08
ukiki01ちゃん、そうだね、ヒトに会うことは消耗でもあるね。

好きな人と会う時はいいエネルギーを使っているってことかな。



>情報は視覚で(つまり、目で)70%だか80%だかを取り入れていると教わった

そうだったね。だから影響も受けやすいんだよね、私達がテレビの影響を受けやすいのはそれかな。



これからもヒトという刺激を楽しみたいと思います。
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川島先生 (ジジのママ)
2006-06-04 22:09:59
以前、川島先生の講演会を拝聴したことがあります。

その時は認知症についての話だったのですが脳を鍛える事の大切さを医療の現場から提唱されていました。



で、川島先生監修の「脳を鍛える大人のDS」をほぼ毎日がんばってます!

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川島先生 (m-tamago)
2006-06-05 20:00:55
ジジのママさん、こんばんは。

川島先生の講演実際聞かれたことがあるんですね。

DSでトレーニング、さすがママさん。

私は自分の脳年齢の低さを目の当たりにしそうで、やれません!!
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