父の日記 昭和17年

昭和17年の日記 
ようやく召集解除 神武屯を発ち東京へ向う

昭和17年10月24日

2005-10-24 | 昭和 (父の日記 昭和17年) 
24日 (土) 曇、雨

六時起床、今日は市川駅からバスで隊迄行く。八時
十分頃着く。午前中は何もせず、却って中隊の邪魔に
なるやうなもの。大野中尉も退屈して困る。中隊長山辺中尉
は秋季演習審判官でもう出かけてゐるので中隊では
僕が先任将校になってしまひ、困る。朝礼も出ぬ事にする。
午前、下山、木村、中村氏等、集合し、明日より数日休
む事にする。隊長以下幹部は秋季演習で今月
末迄留守をするのでその間適当に休む事にする。
中食后皆早く帰ってしまふ。僕は今日は中条さんと
津田沼へ行かねばならないのだがあまり
早くは行けないので夕方迄ゐる。満州以来の溜まった
日記を整理する。
四時頃隊を出る。午后から小雨で外套を持って来な
かったので濡れる。中条さんでは一番の上の娘さんが一人
きりゐなくて皆留守、満州土産のチョコレートを上げ、玄関で
一寸話して帰る。省線で津田沼へ行く。地図を貰ってゐる
ので家はすぐ分る。お嫁さんを貰ってまだま
もない家を訪問するなんて気の利かぬ話だが、先で来て呉れ
と言ふし、一応は挨拶をしなければならぬので行く事に
する。まだ会社から帰らず、若い奥さん一人。
まだ子供のやうないゝ娘さんだ。約一時間待って
帰る。泊って行けと言はれ、一泊だけする。市川の部隊へ
此処から通へと言ふのだが若い家庭へ泊り込むなんて事は
出来ないので遠慮する。まるでオマゝゴトだ。
嘸幸福な事だらふ。ウラヤマシ。

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