父の日記 昭和17年

昭和17年の日記 
ようやく召集解除 神武屯を発ち東京へ向う

昭和17年10月9日

2005-10-09 | 昭和 (父の日記 昭和17年) 
9日 (金) 雨

今日も雨、而し風はないので楽だ。
今日は塩崎主計が黒河へ行くついでがあるので
一緒に乗用車にのせて貰ふ。中村中尉と。
梱包の縄を買って来る。四時頃官舎へ帰る。
新井中尉は面白くないとて休み。
今夕は大野中尉が梱包をする。僕は明日午前
中に荷物を整理する事にする。
昨夜来たとて家からの電報を貰ふ。金を黒河
へおくったから取りに行けと言ふのだ。今日黒河
へ行ったとき郵便局へ寄ったがまだ来てゐない
と。
今日は珍しい人から便りがある。大連日本館
のお嬢さん辻さんと埼玉の井沢中尉
辻さんは母と兄と東京へ行った帰りに汽
車の中で出したものだ。今迄何のたよりもなくて汽車
の中で出すなんて変な娘だ。井沢さんは今
熊谷中学校の教練指導員をやってゐて、
今軽井沢で訓練中とか。井沢さん
が軍事教練をやってゐるのかと思ふとおか
しくなる。
今夜は隣の飯田中尉の所で麻雀。
鈴木中尉の部屋へ行って十二時頃
になる。主計中尉下村辰馬が満期兵と一緒に
内地へ帰って今夜帰って来る。下山中尉と二人で僕の部屋
で三時頃迄ペチャクチャ話をして眠れぬ。


来簡 


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