バレンタイン・ガラ・コンサート

今日はバレンタインデーですね。先日、一足早く行われたK市のバレンタイン・ガラ・コンサートに行ってきました。
「とにかくおもしろいコンサートだから」という言葉にひかれて友人5人とチケットを買おうとしたら、ほぼ完売。誘ってくれた知人は出演者の一人だったので、何とか手を回してバラバラながら5枚確保してくれました。それだけでびっくりです。だって、ホールは2000席の大ホールだというのですから。一体どんな人たちが集まって、どんな音楽を楽しむ催しなのか、よくわからないまま会場に着きました。
ホールは3階までぐるりとステージを取り囲む形になっています。私は巻貝みたいと思ったのですが、正式にはワインヤード型というそうです。こういう形だと、演奏者との距離は通常のホールよりかなり近くなります。しかも、前後左右、そして頭上からも観客の視線が集まるのですから、演奏者はたいへんですね。私達は、3階の左手に席があったので、演奏者の左上から見下ろすことになりました。指揮者の顔が見えるなんて席は初めてです。

第1部は地元のコーラスグループが登場。耳慣れた曲をメドレーで歌います。数曲目の「サンタルチア」で、指揮者がいきなり船長さんの帽子をかぶり、くるりと向き直って、朗々と歌い始めたのにはびっくり。その後は、ノリノリで、「草競馬」を歌いながら、ぬいぐるみの馬を走らせたり、「カリンカ」では男性がコサックダンスをしながら歌ったりで、観客も大喜びでした。かなり年配の方の多いグループでしたが、楽しいよ！という気持ちが伝わってくるので、こちらも楽しまなくちゃという気持ちにさせられました。
続いては知人がメンバーになっている邦楽の演奏です。邦楽といっても、長唄三味線20丁に鼓、大鼓、そしてなんとマリンバが一緒なんです。こちらはみなプロの演奏家で、その迫力に会場はシーンと聞き入っていました。三味線はタテ（コンサートマスターのようなものでしょうか）と呼ばれる人が、小さく発する声とバチの上げ下げだけで間の取り方を指示します。20丁が一糸乱れず息を合わせて弾くのは至難の業。そこに洋楽のマリンバが入るのですから、ほんとうにたいへんだったでしょうね。

第2部はがらりと変わって、オーケストラとソプラノ、バリトンのオペラ（オペレッタ）。「椿姫」「セビリアの理髪師」などから聞かせどころだけを少しずつ。白い豪華なドレスで登場したソプラノ歌手の方は、一瞬にして会場の空気をつかみ、すばらしい演奏を聞かせてくれました。中でも「こうもり」では、会場からK市の市長さんをステージに上げ、緊張して、ただ、いすに座っているだけの市長さんを相手に、オペラの１シーンを演じたのです。舞台で演じることを仕事としている人のすごさを感じました。一人で2,000人の観客の心を自在に動かすのですから。客席からは"ブラボー"の声が飛び、大きなホールに一体感が生まれていました。

第3部はオーケストラと邦楽。今度は琴です。曲は委嘱作品で今回が初演。意欲的ですね。最後が「京人形」の演奏で、舞台には着物姿の踊り手が8人登場しました。
演奏が終了すると、「え～、この後、アンコールをお聞きいただく予定だったんですが、なにぶん時間が押していまして・・・今日はここまでとさせていただきます」というアナウンスが。最後まで、予想外の展開でした。ふと、時計を見ると4時10分。開演から3時間あまりが過ぎていました。

最初のコーラスから、「一体次は何が出てくるんだろう」と、ワクワクドキドキさせられる、おもちゃ箱のようなコンサートでした。プロのすばらしい演奏を聞くコンサートもいいですが、こんなふうに、"びっくり"が詰まった学芸会風なのも、また、いいですね。何より、観客がリラックスして音楽を楽しんでいる雰囲気が印象的でした。

さて、今日のバレンタインデー。金城さんのもとには、一体どのくらいの贈り物が届くのでしょうね。なんて、自分は贈りもせずに、言っていていいのだろうか。