探し物は・・・

何かを探して見つからない時、悲しくなるけれど
探すものがあるって、それだけで、すてきなこと 

映画の中の雪

2010年11月17日 | Movie T.K.

録画の整理をしていて、9月に放送された『漱石の犬』特別版「映画美術の天才・種田陽平の真髄SP」を見つけました。『キルビル』の青葉屋のセットについての話がメインの10分足らずの番組ですが、映画祭のカンファレンスの後で見直すと、また、面白いなと思うことが。

タランティーの監督がテーブルクロスに描いた、いたずら描きのような1枚の絵をもとにつくられた青葉屋のセット。北京の広大なスタジオだったそうです。
このセットで繰り広げられる死闘のラストは、障子を開け放つと目の前に広がる雪景色の庭の中。
監督は、このシーンに"歌舞伎"という注文を付けたそうです。それは、つまり、リアルではない雪を降らせること。
それで、最初は、歌舞伎の舞台で使われる紙吹雪を使ってみたとか。でも、俳優の髪に三角に切った紙がくっついたままのアクションじゃ、ちょっとねえ・・・ということで、別のものが使われました。
スピードのあるアクションと、スローモーションのようにゆっくり舞い落ちてくる雪。見ていると、まるで、別々の時間が流れている二つの世界を融合したような不思議な感覚です。
自然ではあり得ないほど、ふわふわ舞い、ゆっくりと落ちてくる雪・・・それは、「泡」だったんだそうです。
「リアルではない雪」という注文も面白いけれど、「泡の雪」というのも意外でした。

『SweetRain死神の精度』のメイキングを見たときに、「雨ふらし」に、どれほど細かい細工が施されているかを知りましたが、「雪ふらし」もまた、CGに頼らず、いろいろ工夫されているんですね。

『不夜城』の撮影中、東京は実際に大雪が降りましたが、映画の中では・・・
桟橋でのシーン。「健一、雪だよ」


でも、健一が目を開けると、その雪は消えてしまう。


夏美は、ほんとうに降る雪を見ることができたのか、幻だったのか。


車を降りる健一の目に映ったのもまた、幻の雪だったのか。


リー・チーガイ監督の雪へのこだわりが、うかがえるシーンが続きますね。

東京に降った雪を記念してでしょうか、撮影所で、傘をさしてのこんな1枚も。



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