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日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員の給与(その3)

2005-05-22 14:12:02 | LLPの給与・源泉所得税
【3】林檎殺人事件!じゃなくて、りんご生産組合訴訟。。

いい加減、引っ張りすぎ~? いえ、引っ張らせて頂きます。

平成6年に税務調査により、りんご生産組合(任意組合)の個人組合員が、りんごの生産作業を行ったことに対して支払われた賃金を給与所得として申告していたが、この賃金は組合に対する労務出資(金銭出資の代わりに、アセを流すので、利益分配してね♪というものです。SWEAT EQUITY[スウェット エクイティ]なんて洒落た言葉もあります。)として、事業所得(組合損益の分配)になるという税務署判断(更正処分)に対して争った事案です。結論からいうと、

国税不服審判所(納税者× 税務署○)



地方裁判所(納税者○ 税務署×)



高等裁判所(納税者× 税務署○)



最高裁判所(納税者○ 税務署×)


で、納税者側が勝利し、給与所得扱いとなりました。ここで注目していきたいのが、結果ではなく、裁判所がどのようなポイントに着目し、どのような判断を下したかということです。

判決文をネットで探してみたところ、納税者敗訴の高等裁判所分しか見つからなかったのですが、十分参考になるので、大切な部分を抜粋しました。(いいのだろうか。。。)



【税務署(徴税)サイドの考え方】

「~さらに、被控訴人の本件収入を給与所得であると解すると、仮に組合員全員が労務を提供しているような場合には、組合に発生した事業所得を給与として各組合員に支払うことになるから、これにより組合の事業所得が極端に圧縮されてしまうという結果を生ずる反面、組合員の給与所得については給与所得控除を通じて給与所得の金額が圧縮される結果となるばかりでなく、給与の支給により組合に対する出資に係る事業所得がマイナスになれば、事業所得と給与所得との損益通算によりさらに給与所得の金額が圧縮されることとなり、組合員の労務提供に対する対価を給与所得と認めることにより、著しい課税の不公平を招来し、所得税法が事業所得と給与所得を分けて課税の公平を期した趣旨を没却することになりかねず、被控訴人の右主張はこの観点からも採用することができない。~」


【過去の判例の引用】

「~ところで、
この点に関して、最高裁判所昭和五三年(行ツ)第九〇号、同五六年四月二四日第二小法廷判決・判例時報一〇〇一号三四頁は、弁護士の顧問料が事業所得か給与所得かが争われた事案において、所得税法上の事業所得(同法二七条一項)と給与所得(同法二八条一項)の区分に関して、「およそ業務の遂行ないし労務の提供から生ずる所得が所得税法上の事業所得と給与所得のいずれに該当するかを判断するにあたっては、租税負担の公平を図るため、所得を事業所得、給与所得に分類し、その種類に応じた課税を定めている所得税法の趣旨、目的に照らし、当該業務ないし労務及び所得の態様等を考察しなければならない。」としたうえ、

「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、

これに対し、

給与所得とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。なお、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない。」
と判示しており、~」


着目すべきポイントは、やはり色を付けた、「事業所得とは」、「給与所得とは」という部分です。最高裁では、状況から給与所得と考えるのが相当と言っており、実際に作業に従事する行為が、どちらの所得に該当する性格のものかを判断することが重要であって、組合組織だから即組合員への支払いは事業所得(損益の分配)と考える必要はなさそうです。

という、過去の裁判事例も考慮しつつ、また次回へ続く~!
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