個人の所得に対しての課税強化が世界的な情勢の中、少人数私募債が脚光を浴びています。
というか、浴びるようになってしまったため、平成25年度税制改正大綱で、節税のための少人数私募債発行に対する封じ込み策が浮上してしまいました。
基本的な知識としまして、少人数私募債とは、会社が発行する債券(株式ではなく借入金の一種) で、その募集対象が50人未満(縁故者)のもので一定のものを言います。
何故少人数私募債かと言うと、財務局への届出や銀行への手続きが必要なく、発行及び管理費用がほとんどかからないところが、メリットです。
また社債利息は所得税法上、利子所得となり国税地方税合わせて、20.315%(復興特別所得税含む) の分離課税となるため、経営者の役員報酬に対する所得税住民税率と比較して相対的に、税負担が低いという特徴があります。
会社経営者は自分の会社で少人数私募債を発行し、社長自身がこれを引き受け、役員報酬の代わりに利息収入を得ることで、税負担を低減できるという仕組みです。
今に始まった制度ではありませんが、昨今、所得税率の将来的な上昇傾向と税務専門家の煽り?!でにわかに流行ってしまった結果、平成25年度税制改正にて網がかけられしまう見通しです。
しかし、封じ込み策の実施は平成28年頃と言われていますので、今しばらく熱い視線を浴び続けることになるでしょう。
さて、少人数私募債を発行する際、意識しなければならないのは声を掛ける対象を50名未満にするということです。
最終的に社債の引き受け先が50名未満でも、広く声を掛けてしまったり、インターネット上で募集してしまったら、少人数私募債ではなくなってしまいます。
そこで疑問となるのが、LLPが私募債を引き受ける際、この人数とは1つのLLPについて1名としてカウントするのか、それともLLPの組合員の数でカウントするのかというポイントです。
その解答としては、LLPが全員合議の共同事業体であることから、その社債引き受けについて、各組合員が募集内容の説明を受ける環境にあり、実際受けた事実があれば、LLPを1人とカウントするのではなく、その組合員数でカウントする必要があります。
10人で組成されたLLPが6組合、社債を引き受けるという場合は、10人×6組合=60人となり50名以上となるため、少人数私募債として認められないこととなります。
個人的な見解ですが、LLPの資金運用責任者がLLPの資産の一部(20-30%くらいまで)を運用する目的で私募債を引き受ける場合は、総組合員に説明や同意なく自己の判断で投資を実行するケースも考えられますので、その時の募集行為の対象人数は1人とカウントしても良いのではないかと思います。
こんばんは、
LLPを登記する際、法人組合員は職務執行者の選出が必要です。その際
どのような書面が必要かと言いますと、下記経済産業省のHPにあるのですが、
該当部分だけ抽出して列挙したいと思います。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/llpPamphletJitsumu.pdf
※経済産業省HPより抜粋
●職務執行者の選任に関する書面(※法令条文は2010年2月末時点による。)
◇取締役会設置会社
― 職務執行者が会社法第362条第4項第3号の「重要な使用人」に該当する場合
--->
○取締役会議事録
― 職務執行者が会社法第362条第4項第3号の「重要な使用人」に該当しない場合
--->
○職務執行者が会社法第362条第4項第3号の「重要な使用人」に
該当しないことを証する書面 ※1
○職務執行者を選任したことを証する書面※2
※1「 当該職務執行者は“重要な使用人”に当たらない」旨の代表取締役の上申書等が考えられる。
※2 代表取締役が選任する方法や、職務執行者の選任につき取締役会等による委任を受けた取締役が選任する方法等が考えられる。
◇取締役会設置会社でない株式会社
― 取締役が2名以上の場合 --->取締役の過半数をもって選任したことを証する書面
― 取締役が1名の場合 --->当該取締役によって選任したことを証する書面
◇合同会社
― 社員が2名以上の場合 --->社員の過半数をもって選任したことを証する書面
― 社員が1名の場合 --->当該社員によって選任したことを証する書面
さて、LLPは有限責任で、出資額を上限にリスクを負えばいいということは皆さんご存知です。ではどのような場合でもリスクを限定することができるのでしょうか?
例えば、大量に商品を仕入れて、代金を支払わずに計画倒産...それでも有限責任で済むとは、常識的に思えませんよね。
そのあたりは、LLPの18条に規定されています。
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(組合員等の第三者に対する損害賠償責任)
第十八条 組合員又は次条第一項の規定により選任された組合員の職務を行うべき者(以下この条において「組合員等」という。)が、自己の職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該組合員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2 前項の場合において、他の組合員等も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
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要は、詐欺行為や、よっぽどひどいことをした場合は、相手がLLPだけを訴えるのではなく、その組合員個人までもが訴えられて、損害賠償責任が生じることとなります。
悪いことはできませんね~
今月9月30日に施行予定の金融商品取引法をご存知でしょうか?
*証券取引法
*証券投資顧問業法
*金融先物取引法
*商品ファンド法など
を整理統合した法律として、登場します。登録制により
* 第一種金融商品取引業
* 投資運用業
* 第二種金融商品取引業
* 投資助言・代理業
のいずれかに申請、登録していくこととなります。また対象となる金融商品としましては、
* 国債
* 地方債
* 社債
* 株式
* 投資信託
* 信託受益権全般
* 集団投資スキーム持分(★)
* 多様なデリバティブ取引 など
と定義されており、『集団投資スキーム持分』とは、
* 民法上の組合契約、商法上の匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約、有限責任事業組合(LLP)契約その他いかなる形式によるかは問わず、
① 他人から金銭などの出資・拠出を受け
② その財産を用いて事業・投資を行い
③ 当該事業・投資から生じる収益などを出資者に分配
する仕組み(集団投資スキーム)に関する権利と定義づけています。
すなわち、LLPもその範囲に含まれているということです。
但し、「出資者の全員が事業に関与しているものは除かれる」とあるため、LLPの組合契約等にて、事業への関与を制限するような規定を設けたり、実態として、投資家と運用者に分かれるような状況でなければ、金融商品取引法の対象外と考えることが出来ると思います。
しかしながら、金融商品取引法の対象から逃れるためだけに、LLPを選択すると後から出資者に訴えられる危険性もありますので、慎重な対応をして下さいね。
しかし、書店のビジネス書の棚には、LLC(合同会社)とLLPの書籍が溢れてます。そして、結局構成員課税になるのは、LLPということで、今改めてLLPって何?という感じなのでしょう。
最近はほぼ毎日LLPの相談があるのですが、一番多い誤解は、
損益(特に利益)分配と、現金分配の違いです。LLPは課税されないということから、LLPに利益をプールできると勘違いする方がとても多いです。そのような誤解を解消するため、いつも
「LLPの利益は強制分配(勝手に作った言葉ですが。。。)ですよ」
「現金分配は行っても、行わなくても、税金に関係ありませんよ~」
と説明しています。
LLPがブレイクするのはもう少し先かな~と思う今日この頃です。
【ご質問】
組合員の新規加入要件について
組合員の新規加入についてはあらかじめ組合契約書に総組合員の3分の2以上同意を必要とする等にしておくことはできないのでしょうか?
【ご回答】
以下に、該当する条文を抜粋しておきます。また該当部分は赤字で記します。
結論から言いますと、組合契約書の絶対記載事項である「組合員の名前又は名称及び住所」を変更する際は、第五条第1項にて総組合員の同意が必要と定められてしまっています。第五条第2項にて、除外規定を定めていますが、第四条第3項第三号(組合員の名前又は名称及び住所)は入っていません。そのため、総組合員の同意が必須となります。また、下記には抜粋を掲載できませんが、組合登記規則第7条第2項に、組合員の変更登記申請書には、
「~総組合員の同意があったことを証する書面」
を添付することが定められています。以上、詳細説明でした~。 さぁまた仕事しよっと!
<条文抜粋>
第四条
3 組合契約書には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 有限責任事業組合(以下「組合」という。)の事業
二 組合の名称
三 組合の事務所の所在地
四 組合員の氏名又は名称及び住所
五 組合契約の効力が発生する年月日
六 組合の存続期間
七 組合員の出資の目的及びその価額
八 組合の事業年度
第五条 組合契約書に記載し、又は記録すべき事項(前条第三項第五号に掲げる事項を除く。)についての組合契約の変更(第二十五条又は第二十六条の規定による脱退によって同項第四号に掲げる事項を変更する場合を除く。)は、総組合員の同意によらなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、前条第三項第三号若しくは第八号に掲げる事項又は同条第五項の規定により組合契約書に記載し、若しくは記録する事項(組合契約書において第三十三条に規定する組合員の損益分配の割合について定めをする場合にあっては、当該割合に関する事項を除く。)に係る組合契約の変更については、組合契約書において総組合員の同意を要しない旨の定めをすることを妨げない。
さて、今回は証券取引法との関係を少し見て行きましょう。新しいLLP制度がどのように普及していくのか?というと、どうもというか、やはり今まで組合組織を組成してビジネス化してきた方々が最初のメインプレーヤーとなりそうです。今までの組合組織の利用方法としては、節税商品や事業投資ファンドのようなものでした。節税商品は置いておくとして、事業投資ファンドには事業を行う会社と投資する個人・会社が登場します。投資ですから、投資家はリターンを求める代わりに、その事業の運営にはあまり口出ししないというのが、一般的なカタチです。そこでLLPを利用できるかというと、どうしても共同事業要件があるため、「物申さない投資家」では、LLP最大のメリットといえるパススルー課税(構成員課税)が税務署に否認されることとなります。
じゃぁ、どうすんだ?というと、やはり共同事業要件を満たすしかないと思います。その方法論はビジネス毎に色々考えられるのではないでしょうか?
仮に、事業会社と事業投資を行う投資家という構成でLLPを組成した場合に、気をつけないといけないのが、証券取引法となります。出資法や投資顧問業法も気になるところですが、まずは証券取引法です。
有限責任事業組合契約に関する法律(LLP法)附則第3条には、次のようなことがさらっと明記されています。
恐らく読んでもらえなさそうなので、要約します。。。有限責任事業組合に対する出資金は、一定の場合、証券取引法上有価証券とみなしますよということです。
では証券取引法上、有価証券とみなされると何があるのかというと、投資家保護を目的とした財務状況等のディスクローズが一定の場合に必要となります。有価証券届出書や有価証券報告書がそれにあたります。募集金額が1億円以上の場合や、広く投資家を募集する場合は、有価証券届出書等の提出の義務が生じますので、注意して下さいね。※共同事業要件も忘れずに~♪
有限責任事業組合契約に関する法律
附則第3条
証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項第五号を第六号とし、同項第四号中「投資事業有限責任組合契約」の下に「又は有限責任事業組合契約」を加え、同号を同項第五号とし、同項第三号中「次号」を「第五号」に改め、同号の次に次の一号を加える。
四 有限責任事業組合契約(有限責任事業組合契約に関する法律(平成17年法律第40号)第3条第1項に規定する有限責任事業組合契約で公益又は投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定めるものをいい、商品投資に係る事業の規制に関する法律第2条第2項第2号の契約及び不動産特定共同事業法(平成6年法律第77号)第2条第3項第1号の契約に該当するものを除く。次号において同じ。)に基づく権利
証券取引法施行令
(有限責任事業組合契約で公益又は投資者保護を確保することが必要と認められるもの)
第一条の三の三 法第二条第二項第四号 に規定する政令で定めるものは、有限責任事業組合契約(有限責任事業組合契約に関する法律 (平成十七年法律第四十号)第三条第一項 に規定する有限責任事業組合契約をいう。第三条の四第四号において同じ。)であつて、当該有限責任事業組合契約によつて成立する有限責任事業組合(以下この条において「組合」という。)が次に掲げる要件のすべてに該当するもの以外のものとする。
一 当該組合の業務執行の決定について総組合員の同意を要するもの(有限責任事業組合契約に関する法律第十二条第一項 ただし書及び第二項 本文に規定する組合契約書において総組合員の同意を要しない旨の定めをする場合において、当該組合の業務執行の決定について総組合員が同意をするか否かの意思を表示することを要するものを含む。)
二 当該組合の組合員のすべてが次のいずれかに該当するもの
イ 当該組合の事業に常時従事する組合員
ロ 当該組合の事業のために欠くことができない専門的能力を発揮して当該組合の事業に従事する組合員(イに掲げるものを除く。)
1.常勤の人
―企業から出向の人
―他に収入のある個人
―他に収入のない個人
2.非常勤の人
非常勤の人については、ここでは無視します。常勤の人に関して考えないといけないのは、毎月の報酬をどうするのか?ということです。他に収入のある人や企業からの出向者の場合、日々の収入をLLPに求める必要がないと思いますが、他に収入がない人の場合、LLPは損益分配が原則...なんて言っていたら日々の生活に支障をきたします。
どうするのかというと、
◎LLPから給与を出してもらう(税務上OK!?か非常にグレー/個人的にはOKと思っていますが...)
◎参画企業(法人組合員でない企業でも良いと思います)から給与をもらうカタチを取る。
どうやって? → 企業がLLPに対して人的役務提供を行い、一定金額(役務提供に対して合理的な金額)を請求すれば、そのお金を原資に企業から個人組合員に月額固定給与を保証できるのでは?と思います。
※結局、LLPが給与を負担するカタチになるのですが。。。
このような取扱いが、税務的に問題ないかは顧問税理士等とよく相談して下さいね~
ではでは!
有限責任事業組合契約に関する法律施行令について
http://www.meti.go.jp/press/20050726001/20050726001.html
本件の概要 : 有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年第四十号)の成立に伴い、上記政令を定めますので公表致します。
担当 : 経済産業政策局 産業組織課
公表日 : 平成17年7月26日(火)
発表資料名 : 有限責任事業組合契約に関する法律施行令及び有限責任事業組合契約に関する法律の施行期日を定める政令について(PDF形式:85KB)
有限責任事業組合契約に関する法律の施行期日を定める政令について(PDF形式:14KB)
有限責任事業組合契約に関する法律施行令について(PDF形式:63KB)
質疑応答でのMEMOですが、有限責任事業組合契約に関する法律の第十二条に重要事項決定における全員同意の例外規定として、”総組合員の三分の二未満とすることができない”というのがあるのですが、この2/3とは1人1議決権として考えるのか?それとも組合契約にて独自の議決権設定を行った場合は、その議決権の2/3なのか?という質問でした。
答えは、1人1議決権とのことでした。
どういうことかというと、LLPの構成員のうちAさんは共同事業に欠かせないキーパーソンで、利益分配割合も70%あり、Bさん、Cさん、Dさんはそれぞれ10%ずつの利益分配割合だったとした場合、力関係からみてもAさんがYESと言えば、LLPの方針として決まっても良いところが、このLLP法第12条に基づき、Bさん、Cさん、DさんがNO!と言った場合、総組合員の3/4が反対することになり、Aさんは自分の意見が通らないこととなってしまいます。
この規定が良い悪いは別として注意が必要ですね。
なお、何が総組合員の2/3以上の賛同が必要なのかは、経済産業省令が発表されていませんので、まだ分かりません。。。
ではまた~
有限責任事業組合契約に関する法律
第十二条(業務執行の決定)
組合の業務執行を決定するには、総組合員の同意によらなければならない。ただし、次に掲げる事項以外の事項の決定については、組合契約書において総組合員の同意を要しない旨の定めをすることを妨げない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事項のうち経済産業省令で定めるものについては、組合契約書において総組合員の同意を要しない旨の定めをすることを妨げない。ただし、その決定に要する組合員の同意を総組合員の三分の二未満とすることはできない。