無限の可能性!日本版LLP(有限責任事業組合)の鼓動

LLPによってビジネスモデルの選択ワクが大きく広がります。そんな日本版LLPに関する情報を発信していきます!

LLP(有限責任事業組合)専門税理士が解説!LLPの基本とは?

2017-06-09 12:58:47 | LLPビジネスソリューション

久しぶりの投稿...さぼり過ぎました。

昨年寄稿した記事を投稿致します。短時間でLLPの概要を掴むことが出来ると思います。

『LLPの専門家が語るLLPの可能性 』

LLP(Limited Liability Partnership)というものを聞いたことがありますか?

今から11年前、2005年8月にスタートした制度で、正式名称は有限責任事業組合といい、有限責任事業組合契約に関する法律及び関連諸法令(以下、LLP法という)によって制定されています。早いものでLLP法制定から数えて、11年目を迎えました。私はLLP法制定時より、LLPの会計・税務に携わってきましたが、今改めてこのLLPは役に立つものなのか、有効活用するとすればどのように使えば良いのか、まとめてみたいと思います。

 

まずはLLPについてざっくり

LLPの特徴について箇条書きでまとめてみました。まずはざっくり全体像をご理解下さい。

 

その1

2名以上の個人又は法人が、出資を行い設立する。出資を行った者(社)は組合員となり、業務に直接関与していく必要がある。(お金だけ出す投資家という立ち位置では、ダメ)

 

その2

有限責任である(組合員は出資額の範囲内で責任を負うこととなる。もちろん組合員に不法行為や過失などあった場合、その個人に損害賠償請求が及ぶことは株式会社の取締役等と同じである)。

 

その3

LLPは、株式会社と同じく営利を目的とした組織である。

 

その4

LLPでは弁護士、公認会計士、税理士、行政書士、弁理士などの士業並びに公営ギャンブル関係は禁止されている。

 

その5

存続期間を決めなければならない(正直不要なルールだと思うが、法律なので仕方ない)。

具体的な終了時期の予定がないようであれば、30年から50年の長期で設定しておけばよい。

 

その6

事業活動から出た損益を組合員に自由に分配出来る(ここが一番の誤解ポイントだが、生じた利益を分配せずに、組合内にプールしておくことや節税等を目的として合理性のない損益分配を行うことは出来ない)

 

その7

構成員課税(パススルー課税)であること

すなわち、LLPが税務申告を行い法人税や消費税を支払う必要はない。しかし毎年、以下のような書類を作成しなければならない点に留意が必要。

------------------------------------------------------------------------------------------

【決算書】

組合決算における貸借対照表、損益計算書、附属明細書

 

【法定調書】

有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書合計表、有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書

 

(個人組合員の場合)

【所得税確定申告用添付書類】

有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書、

(付表)組合事業に係る事業所得等の必要経費不算入損失額の計算書

 

(法人組合員の場合)

【法人税確定申告用添付書類】

法人税 別表九(二) -組合事業等による組合等損失額の損金不算入又は組合等損失超過合計額の損失算入に関する明細書

 

 

その8

登記は第三者に組合の概要を知らしめるための行為であり、LLP成立の要件ではない。

 

① 有限責任事業組合契約書の締結(株式会社の定款に相当するもの)

② 出資金の払い込み(組合員の中の任意の誰かの普通預金口座へ、組合員全員が出資金を送金すること)。

③ 組合契約の効力発生年月日の到来(上記①の契約書内に明記することとなる)。

 

以上の3条件を全て満たした時点でLLPは成立します。株式会社や合同会社は法務局に設立登記申請を行って初めて成立するのに対して、LLPは異なる点に留意が必要です。

 

 

登記簿に記載される主な内容は、以下の通り

 

社名:

所在地:

事業内容:

組合員の氏名(名称)及び住所:

 

細かい話かもしれませんが、出資金の額は登記事項ではないため、どれだけの出資金(資本金のようなもの)を持っているのかは、登記簿謄本を通じて外部からは分かりません。

 

 

2)LLPのメリット、デメリットとは?

 LLPのメリット、デメリットをまとめました。

 

① LLPの強み

その1

民法組合(任意組合)は無限責任となるが、LLPは有限責任のためリスクを限定出来る。

 

その2

民法組合(任意組合)は登記できないが、LLPは登記が可能(第三者に対する信頼性の確保)。

 

その3

株式会社・合同会社は法人税が課されるが、LLPは不要でいわゆる構成員課税(パススルー課税)となる。(ちなみに、民法[任意]組合も法人税は課されない。)

 

その4

組合員において、損益の取り込みは年1回(LLPの決算期末)のみとなり、LLP事業損益の計上(取り込み)時期を組合員の決算月と異なる月に設定することで、損益計上及び課税時期をコントロール出来る。

 

その5

LLPの損益を出資割合に関係なく組合員に分配可能(組合員が家族や利害関係者の場合、合理性が必須)。組合員が家族や利害関係者の場合、合理性が必須であるが、その寄与度合の考え方に、明確な規定がある訳ではないため、ある程度の自由裁量(幅)が許容され得ることが魅力。

 

その6

組織運営のルールをほぼ自由に決められる(基本的に自由自治が認められている)。

 

その7

次のような複数の個人・法人による共同事業のメリットが期待できる

-相互補完メリット

-相乗効果(シナジー)

-スケールメリット など

 

② LLPの弱み

その1

許認可事業に向かない(LLPとして各種許認可を取得することが、ほぼ不可能なため)。

 

その2

銀行口座は開設出来るが、証券会社口座は開設が困難。

 

その3

LLPに法人格がないため、不動産登記や知的所有権を所有する場合、組合員の共有財産(持ち分)となる。すなわち、組合員の脱退や新規加入の都度、登記変更等手続きが必要となり煩わしさを伴う。

 

その4

LLPの組合員が個人の場合、個人の所得税が適用されるため、売上を請求する際、源泉徴収が必要となる場合がある(個人が同じサービスを提供した場合に源泉徴収が必要であれば、LLPを通じても同様で、源泉徴収が必要)。

 

その5

会計処理が簡単ではなく、個人の青色申告程度の体制では無理(法人の会計処理を行う場合と同等の体制が必要)。

 

その6

個々の組合員には、株式会社で言うところの、株主兼代表取締役のような権限があるため、組合員の人数が多く(3-5名程度以上)なると意思統一が難しい(ある程度は内部自治により制度設計することで回避が可能)。

 

 

3)LLPの有効活用術

 LLPはどのような場面で有効に機能するのか、3つの例示について解説します。

 

その1)友人同士や個人と企業による共同事業

複数の個人や法人がそれぞれの強みを持ち寄り、1つの事業を展開する場合、LLPはその受け皿として最適。「事業から生じた利益を組合員で分け合いたい」という場合は是非LLPを検討してください。但し、上述の「LLPの弱み」が事業に影響しないことは事前チェックが必須となります。

 

その2)ファミリービジネス

家族で営む個人事業の場合、家族の中で中心となる人が事業所得として確定申告し、その他の家族はその個人事業から給与をもらうという形が一般的。また会社を興して家族で経営する場合、基本的に役員報酬又は給与となり、全員給与所得を得る形となります。しかし、LLPであれば事業に関与する家族全員が個々に個人事業を行うという形に変化させることが可能。節税面で検討する価値があると言えます。詳しくは

https://keiei.freee.co.jp/2015/07/31/kojinjigyounushi_setsuzei/ 『5)節税の極意の中の極意(難易度C)』 を参考にして下さい。

 

その3)共同投資事業

現在、他人から投資を受けて事業を行うことは非常に難しいです。何故なら投資家&運用者という構図が成立するものは全て金融商品取引法の対象となり、許認可がないと違法となってしまうから。では免許を取れば...と思うかもしれませんが、そのハードルはかなり高く、免許がないと投資家の募集から投資資金の運用まで全てアウトとなります。

 

そこで脚光を浴びたのがLLP。LLPは共同事業のため投資家&運用者という構図になりません。組合員の全員が投資家兼運用者となります。そのため、このスキームに関して数多く問い合わせを受けてきましたが、結論から言って、実態が伴っていないとアウトとなります。すなわちLLPの組合員と称して投資家を募り出資を受け、実質的な運用を行う組合員が投資や事業を行う行為は、共同事業性が否認され結果的に、金融商品取引法の対象となり無免許の場合、アウトとなってしまいます。

 

では全く駄目かというとそうではありません。

 

投資家を募るのではなく、事業(投資)計画に賛同する個人や法人とともに共同事業として実施することで、金融商品取引法の対象外になると解されます。あくまでも実態が問われるので十分注意が必要ですが、資金運用したい投資家と資金を集めたい運用者とが、投資家&運用者という構図になるのではなく、共同事業(投資)として行うことはおかしな話ではありません。

 

実務上の話として、詐欺まがいの行為は論外ですが、金融商品取引法に触れるのか否かが実際に問われるというのは次のような場合です。共同で設立したLLPの事業が失敗し、多大な損失が生じた場合、大きな損害を被った組合員から次のようなクレームが出ることで懸念されます。

 

「そもそも、私は出資(投資)しただけで、事業や運用に関与していない」

「儲かると聞いて、投資しただけだ」

「そもそも、無免許なので金融商品取引法に抵触するのではないか?」

 

LLP事業の企画立案から立ち上げまで行ってきた、中核の組合員は事業が失敗するだけでなく、別の組合員から訴えられるというリスクも抱えることとなるので、十分検討が必要です。LLPによる共同投資事業については、当初から共同事業性を十分確保出来ていることが最重要ポイントとなります。

 

 

4)詳しいLLPによる節税術

 節税面からLLPはどのような効果をもたらすことがあるのか、少し踏み込んで解説します。

 

その1)消費税の課税売上の分散

消費税は基本的に2年前の税込課税売上が1000万円を超えると納税義務者になるわけですが、LLPで共同事業を行う場合、その売上も組合員で分け合うこととなります。つまり課税売上を組合員の数で割ることが可能となり、結果的に各人の課税売上が1000万円以下となり、納税義務が生じない場合が考えられます。例えば、LLPの年商3000万円、組合員4名(個人)で損益分配割合が均等の場合、各人の課税売上は750万円(1000万円以下)となり、消費税の納税義務が個人組合員4名の全員について、生じないこととなります。

 

その2)役員報酬の事業所得化

会社を設立して共同事業を行う場合、その出資者兼経営者は役員報酬として事業収益を獲得することとなります。しかし、役員報酬は事業年度を通じて変更することが出来ない(原則期首から3カ月以内のみ変更可能)ため、会社が生み出した利益を自由に役員報酬としてもらうことが出来ません。(厳密にはもらうことは出来るが、会社の経費とならず、所得税と法人税の両方が課税される結果となるため)

 

事業年度の初めに月額の役員報酬を決め、仮にその年度赤字になろうとその役員報酬をもらい続け、その報酬に対する所得税・住民税を払うこととなります。しかしLLPを通じての個人事業であれば、年間を通じて生じた利益を事業所得として所得税・住民税が課されだけで、赤字の場合は所得税ゼロ、住民税も最低税額のみ。その他の要因も総合勘案する必要がありますが、法人として1年間変更出来ない役員報酬を設定して所得税・住民税を支払うよりも、個人の事業所得として儲かった所得に対する所得税・住民税だけ支払うのが無駄がないと言えます。

※LLP事業(個人組合員)による所得(利益)の分配額が年間700-800万円以上になってくると所得税(超過累進税率による課税)の負担が重くなってくることから、更なるプランニングが必要となってきます。

 

その3)社会保険加入義務の回避(税務ではないが)

会社を立ち上げ、共同事業者がそれぞれ役員報酬として給与をもらう場合、社会保険に加入することとなります。しかし、個人がLLPとして事業を行う場合、各人それぞれが個人事業主となるため、社会保険の加入義務は生じません。

※但し、LLPが従業員を雇った場合、その従業員に関して社会保険の加入義務が生じます。

 

その4)損益計上時期のコントロール

LLPとして事業を行う場合、会計年度を定める必要があります。仮に法人組合員(3月決算法人)がLLP事業を行ったとして、そのLLPの決算期末が4月とすると、

LLPの損益は4月に計上されるので、法人決算の3月の後ということになります。すなわちその法人側から見ると3月の決算には損益を取り込むのではなく、その翌年の3月決算に取り込むこととなります。結果として大きな利益がLLP事業で生じていた場合、その利益に対しての納税は、LLPの決算期末の4月から11カ月後の翌年3月の法人決算にて税金計算を行い納税することとなります。

 

重要なことはこの11カ月の間で、LLP利益の法人組合員自身の事業へ再投資が可能ということ。通常1年を通じて生じた利益は、まず法人税を納税し残った残余利益を事業に再投資するしかないですが、LLPの場合、決算期末が組合員の決算期末と一致しないことで課税の繰り延べ効果が生じることとなります。もし多額の損失がLLPで生じた場合はその損失の計上が先送りされることで納税額の圧縮が出来ず、逆にデメリットです。このように絶対的に節税になるというものではないですが、その点がかえって、税務署側から租税回避という指摘を受けないためには都合が良いとも言えます。

 

 

以上、税務上の取扱いについては、必ず専門家のアドバイスのもと実施する必要がありますので、十分ご留意して下さい。

 

LLPは分かりにくく馴染みがないため、取っ付きにくいと思うかもしれません。しかし、他にない面白い特徴を持ったLLPには無限の可能性があると思います。

 

是非LLP事業にチャレンジしてみて下さい。

 

 




 

 

 

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LLP設立後、初めての銀行口座開設(メガバンク3行)

2011-11-18 20:55:46 | LLPビジネスソリューション

LLPの口座開設に対するメガバンクの対応状況をお客様に教えて頂きました。とても有用なので、是非参考にしてください。

事業内容:株式等トレーディングを行う有限責任事業組合(LLP)


◇ 三菱東京UFJ銀行

事業目的に金融商品が入っている場合、財務局の登録(金融商品取引業者のことでしょう。。。)
がないと、口座開設ムリとのこと。

◇ 三井住友銀行

法人(法人ではないが。。。)が実在している証が欲しいとのこと。税務署への開業届けコピー
を提出するように要請。
※これは難しい。。。LLPは納税義務者でないため、開業届けがないのだ...強いて提出する
 とすれば、LLPの組合員(今回は個人)が、LLPを通じて個人事業を開始したという意味での
 開業届け(個人事業者)であれば何とかなります。これで通るのだろうか??

過去、目を疑ったのが、弊社のお客様が、LLP設立登記前に、LLPの銀行口座を持ってきた
ことがありました。

 「えっ、まさか。。。」

通常、LLPでも株式会社でも、設立登記を経て、法務局で登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
を入手した後に、銀行で口座を開設するのが、当然の手順なのだが、お客様曰く、

 「そんなもの、いらなかったよ...」

個人事業を行う場合、登記は関係ないので、恐らく個人事業の口座開設と同じ取り扱いと
いう判断を行ったのか?勘違いしたのでしょう。

例として、ABCカフェというコーヒーショップを開設した東京太郎さんが、事業用の銀行口座
を開設する場合、

 XYZ銀行 大手町支店
 普通預金 01234567

 名義: ABCカフェ 代表 東京 太郎

となりますが、これと同じ感じで、

 XYZ銀行 大手町支店
 普通預金 01234567

 名義: ABC有限責任事業組合 代表 東京 太郎

という口座を開設したのでしょう。。。支店は都心ではなく少し郊外だったと思います。
このような話は後にも先にもこの1回だけでした(笑)


◇ みずほ銀行

担当者が、LLPを理解している様子で、詳細についてヒアリングがあったものの、すんなりと
LLP口座開設申請を受理してくれたとのことです。口座開設には1週間から10日程度かかる
とのこと。

支店によって対応が異なる可能性もありますが、参考にしてください。ちなみに弊社のクライアント
について、調べてみると、過半数がみずほ銀行でLLP口座を開設していました。


以上。









 

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組合員別出来高制のLLP運営方法

2011-05-17 21:42:41 | LLPビジネスソリューション

こんばんは、

「LLPを仲間で組成し、それぞれが独自の活動を行い、収益を上げたものがその収益をもらいたい。」
それをLLPでやりたいがどうすればいい?という質問を数多く受けてきました。

共同事業として、個人のパフォーマンスによって利益を上げるものもいれば、ほとんど利益がないものもいる。。。これは、とてもフェアなことで、もし損益をLLP組合員で均等に分配しようというLLPがあったとすると、まず1年も経たずに、よく頑張っている組合員から不満が出てくることでしょう。

しかし、LLPは損益分配割合を決めないといけないというルールが存在します。

ではどのように損益分配割合を設定すれば、良いのでしょうか?

 (1)事業年度終了まで、具体的な損益分配割合は設定しない。

 (2)事業年度終了時点で、各人の個人業績を集計する。
  ※各人の業績を指数化(ポイント化)しておくと後で計算しやすいです。
   基本的には合計粗利(売上げ―原価)の内、誰がいくら稼いだかで計算します。
     例) A氏45P B氏30P C氏20P D氏5P (全体で100Pになるようにします) 
        

 (3)LLPを運営する上でのかかった共通経費(一般経費)を集計する。
  ※概算で売上げの10~20%と決めておく方法も有効です。実際の費用を越える金額
   設定でなければいけません。

 (4)LLP全体の粗利(売上げ―原価)から(2)を差し引きます。

   上記(2)の例より:

     A氏 (粗利-(3))×45P/100 --> A氏の取り分
     B氏 (粗利-(3))×30P/100 --> B氏の取り分

 (5)実際期中に各組合員に仮支給していた金銭があれば、

   (4)の各人取り分 ― 各人の仮支給額 --> これが、最終支給額となります。


イメージだけでもつかんで頂けたら、幸いです。



しかし解決できていない問題点もあります。

それは、ある人はよく頑張ったので利益分配となり、ある人は全く活動しなかったので、
損失分配となる場合です。

これは、組合員別出来高制を採用しているLLPのお客様でも、無理やり生じないように
して頂いているのが現状です。本来マイナス分配となるべき人には、ゼロ分配とするのが、
現在の精一杯の解決策です。。。 

今後の課題として考えていきたいと思います。


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LLPでFX運用事業を行う必要性について

2010-12-29 21:44:09 | LLPビジネスソリューション

こんばんは

個人でFX運用を行うと、雑所得として最大50%の所得税+住民税が課せれることから、FX運用を法人又はLLPにした方がいいのではないか?と考えて、ご相談されるケースが結構ありました。(※結論としてLLPでは所得税課税回避はムリです。)

元々、LLPはその組合員が個人であれば所得税課税を受けるため、最大50%の税負担となるのですが、FXを扱う証券会社側でLLPを法人扱いしていることから、レバレッジ規制を受けないというメリットがあります。

先日発表された税制改正大綱が決定すれば、平成24年1月1日以降の取引に関して、個人のFX運用益は20%の分離課税になるとのことなので、今後節税を気にする必要もないと思います。

唯一、レバレッジ規制を受けずに個人としてFX運用を行いたいという、セミプロ以上の方にとっては、まだまだLLPは魅力ある組織体といえるかもしれません。

【平成23 年度税制改正大綱】
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/h23zeiseitaikou.pdf

金融証券税制(P.14)
現在、店頭金融デリバティブ取引に係る所得については、総合課税としていますが、金融商品間の課税の中立性を高める観点から、市場金融デリバティブ取引に係る所得と同様に、20%申告分離課税とした上で、両者の通算及び損失額の3年間の繰越控除を可能とします。

<LLPでFX運用している個人投資家の方へ>
上述の分離課税の取り扱いは平成24年1月1日以降に行われる取引(平成23 年度税制改正大綱 P.47-48)から適用されますので、1年分の結果としてLLPから損益分配を平成24年1月1日以降受けたとしても、平成23年12月31日以前の取引に起因する損益はこの適用を受けることができないものと考えられますので、LLPを使ってFX運用損益を個人へ分配するケースでは十分注意が必要となります。


LLPの設立、運営、税務、会計のご相談はこちらまで

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LLPにおけるレバレッジ的思考

2009-11-02 16:07:58 | LLPビジネスソリューション

こんにちは

今回は、LLPを友人同士の個人間や法人間で作る際の、一つの考え方を
解説します。

基本的なLLPの有効活用方法としては、LLPの組合員となる人が各々、
自分ひとりでは解決できない部分があって、それを相互に補完し、
相乗効果をもたらすようなケースで使用されます。

2人でLLPを組む際、リスクヘッジ(節約できるお金や時間)以上に、期待収益が
減少(パートナー間で分け合うため)してしまうようであれば、LLPを作る意味
がないということができます。

  リスクヘッジ < 期待収益の減少

逆に、リスクヘッジ(節約できるお金や時間)に比べて、期待収益の減少が
少ないようであれば、LLPを作る価値があると言えます。


  リスクヘッジ > 期待収益の減少


また、別の言い方をすると、少ないリスクで、大きな収益期待ができる場合は
LLPを組成する価値があります。


そして少ないリスク(お金や時間)で大きな収益が期待できるモデルは、レバレッジ
の効いたビジネススキームと言えると思います。

逆にレバレッジ効果のないような場合は、わざわざLLPを組成するのではなく、
自分だけで事業を起こし、必要に応じて外注を行う方が得策となります。

もちろん最終的には、多面的な検討が求められますが、LLPを作ろうかどうしようかと
悩まれている方は、このようなレバレッジ効果の有無も一つの判断材料にして頂くと
いいでしょう。



 

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LLPの魅力

2008-12-17 20:29:53 | LLPビジネスソリューション
こんばんは

LLPの事務処理面(会計処理、税務処理)の難しさは今までコメントしてきた通りですが、今回は魅力について触れてみたいと思います。

国際経済、国内経済総倒れ状況の中、守りの経営だけでは未来は見えてきません。常に時代の半歩先を睨んだ戦略をどんな厳しい外部環境の中でも、切り開いていくことが、経営者には求められると思います。

しかし、信用収縮により積極的な資金調達もなかなかできない現状で考えられる方策として、”企業連携”が

-シナジーの追求
-資金投下の最小化
-リスク分散

に役立つのではないでしょうか?

特定分野に強みを持つ企業同士が共同で事業を行うことにより、シナジー(相乗効果)を生み、設備等を保有している企業を巻き込むことにより、多額の初期投資を回避し、参画企業間で費用分担することにより、失敗時のリスク分散ができます。

そのためのヴィークル(組織体)としてLLP(有限責任事業組合)は、最適だと思います。

LLPを使ってローリスクミドルリターンを目的とするプロジェクトが今後増えてくるように思います。

かんたんLLP設立運営
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LLPを選択する判断基準(基礎知識)

2008-08-13 12:43:50 | LLPビジネスソリューション
こんにちは

LLPを選択すべきか判断する際、以下のチェック項目に当てはまるか
考えてみて下さいね。


1.一人では成立できないビジネスモデルであること
 (お金、ノウハウ、販路等を複数人集まることにより満たすことができる)

2.課税前利益を応分分配したい(もちろん組合員側で課税が生じます)

3.損益分配時期をコントロールし、課税の繰り延べ効果を活用したい

これらの目的が特にない場合、株式会社を設立するか、個人事業を選択
した方が良いケースが多いと思います。

ご参考まで!


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第二回 LLP(有限責任事業組合)と小売業

2008-02-24 21:32:55 | LLPビジネスソリューション

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第二回 LLP(有限責任事業組合)と小売業
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小売業も様々ですが、オーソドックスには商品をメーカーや卸販売会社
から仕入れて、エンドユーザーへ小売りを行うこととなります。

実際のところ、小売業をLLPで行うケースはあまり見受けられません。
その理由を含め、検証を行っていきましょう。

(1)LLPを選択するメリット

会社組織にすると利益を役員報酬等により事業パートナー間で分配
する必要があるが、LLPであれば損益分配割合に応じて毎期強制的
に損益分配が行われるので、事業所得としての個人所得税課税を受ける
のみとなり、法人税課税+所得税課税のダブルで課税が生じることが
ありません。

(2)LLPを選択した場合の問題点


個人組合員でLLPを組成した場合は、組合員に損益を法人税を課される
ことなくダイレクトに分配できる反面、組合員への給与支給が原則難しい
ため、毎月の実際の労務対価の精算が行えません。


有店舗での小売販売を行う場合は、不動産契約が必要となり、多額の
保証金を積む必要がある場合も多いと融資を受ける上で、LLPである
ことがネックになったり、数名でLLPを組成し、その後1名が脱退する
際、その脱退組合員の出資持分の精算を図るにも、保証金として多額
の現金を支払ってしまっている場合、保証金の価値は基本簿価のまま
なので、その保証金部分についても換金価値を計算してしまうと、脱退
組合員に出資持分の払い戻しが出来ないことが考えられます。

(3)問題解消のアイディア

上記(2)①に関して、毎月合議で決めた計算方式で各組合員に利益分
配の前渡し(みなし給与支給)を行い決算時に精算を図るという対応が
現実的です。毎月支払われる”みなし給与”は単なる前渡金のため、
所得税の源泉徴収が不要です。その代り決算時には年間所得に対する
所得税を支払わなければならないため、資金の計画的な貯蓄が必須
となります。

上記(2)②に関しては、妙案はなかなか出てこないのですが、予め組合員
に保証金として差し入れた部分の金額については、別の新規組合員を
迎え入れた場合に精算するものとして、脱退した時点では、LLPとしては、
未払金を抱え、脱退組合員は未収入金を認識したままにしておくという
のが現実的でしょうか。。。 
 もしくは、金融機関等から借入れができれば、脱退組合員の精算原資を
借入れで賄うことも検討する価値があると思います。

(4)結論(あくまでも私見です)

LLPと小売業は今ひとつ親和性が低いように思います。しかし、一つずつ
懸念事項に対する対応策を予め取り決めておけば、スムーズに事業を
スタートできると思います。

また、個人組合員の場合は色々と懸念事項が出てきますが、法人間での
共同事業をLLPで行うケースであれば、もう少しスムーズなスキームが描け
ると思います。

以上です。

ご興味のある方は、こちらをご覧下さい。 http://www.llp.ne.jp

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第一回 LLP(有限責任事業組合)とコンサルティング業

2007-10-30 19:53:30 | LLPビジネスソリューション

こんばんは

これからしばらくは、いろいろな業種にスポットを当てて、LLPが使えるか
否かシミュレーションを行っていこうと思います。

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第一回 LLP(有限責任事業組合)とコンサルティング業
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コンサルティング業も様々ですが、オーソドックスには人的役務提供
が基本となり、物品販売と異なり、基本的に原価(仕入・製造)がかから
ないビジネスモデルです。属人的な側面が強く個人間の共同事業として
LLPを活用するケースが多く見られます。

(1)LLPを選択するメリット

会社組織にすると利益を役員報酬等により事業パートナー間で分配
する必要があるが、LLPであれば損益分配割合に応じて毎期強制的
に損益分配が行われるので、事業所得としての個人所得税課税を受ける
のみとなり、法人税課税+所得税課税のダブルで課税が生じることが
ない。


(2)LLPを選択した場合の問題点


事業パートナー間で、実際の収益寄与度合は異なってくることが考えられる。
各組合員のパフォーマンスに応じた損益分配ができれば問題ないが、
実際は予め定められた損益分配割合に応じて、損益を分配せざるを得ない
ことから、実態に即した損益分配と乖離する。


コンサルティングの内容が、源泉所得税課税の対象となる業務の場合は、
支払者側で源泉徴収が必要となるため、法人形態と比較して使いづらい。
※個人組合員を前提


(3)問題解消のアイディア

上記(2)①に関して、LLPと組合員(個人)間の取引契約を別途締結し、
組合員個人がLLPに対して、実際受注したことについての手数料や
実際の作業に関して請求を行う。
この場合、売上に寄与した組合員(個人)はLLPからの損益分配
を待たずして、収益(受注手数料や報酬)を計上出来るので、不公平感
が生じない。
※LLPと組合員間でこのような取引契約を結ぶことが税務上問題ないか
 不透明なため、必ず専門家と相談の上実施して下さいね。

-----------*-----------*

1.売上

2.直接費用

 受注手数料(組合員への支払い)
 業務委託費(組合員への支払い)

3.LLPの粗利益 (1.― 2.)

4.共通(運営)経費

5.LLPの損益 (3.― 4.)

-----------*-----------*


上記(2)②に関しては、解決策はなさそうです。。。


(4)結論(あくまでも私見です)

LLPとコンサルティング業はかなり親和性が高いと思います。
個別に組合員の業務に対する寄与度合を上手に反映させることが
できれば、今後様々なコンサルティングサービスでLLPが活用され
てくるのではないでしょうか?





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資金提供者をLLPで口説く方法

2007-02-19 13:45:00 | LLPビジネスソリューション
こんにちは、

日々相談を受けていると、結構多いのが、

1.ビジネススキームを描く人
2.キーとなる技術・ノウハウ・ビジネスのカギを握っている人
3.資金を提供する人

この組み合わせです。相談されるのは、当然ですが1番の方です。
2番の人は自分だけでも、ビジネス展開可能と思われがちですが、
そうもいかないのが現実です。

3番の方は、事業投資の一環として資金提供を検討するエンジェル
と言えます。

さて1番の方は、2番の方を口説くのにさほど労力はかかりません。
業務対価+成功報酬で折り合う条件を決めれば良いのです。

さて、3番の資金提供者たるスポンサーをいかに口説くのか。。。


①ビジネスプランの大きな可能性と収益性
 (当然魅力がなければお金は出てきません。。。)


②ビジネス成功の精度
 
 この部分がおろそかな場合が多く見受けられます。
 (本音としてやってみないと分かるものか~!という気持ちも分かりますが。。)

 ビジネス成功の精度って・・・と言われるかもしれませんが、結構重要です。
 ※20代の若い方の場合は、勢い&情熱で十分な場合もあったりしますが(笑)

 何をもって成功の精度を表現するかというと、

  (1)販売先等から注文書をもらっている
  (2)ご自身の今までの経験、実績、人脈
  (3)製品、ビジネス等のプロトタイプを自己資金だけで構築できている など

 このあたりが、説得力をもたらすと思います。


③ダウンサイド(失敗した場合)の予測説明
 ※良いことのみではなかなか信頼してもらえません。

 -どれだけの損失が生じる可能性があるのか?
 -ビジネスが失敗した場合の手仕舞い方
 (ずるずると追加投資をせがまれても困ります)
 

以上のような内容を十分踏まえて、プレゼンできれば良い結果も期待できるのではないでしょうか?

またその際、LLPをどのように説明するのか?

(1)会社でないため、年間の損益を課税されずに分配できます。

(2)分配は、LLPの事業年度末日で行われるため、出資者たる組合員側では
  それぞれの計算期間まで課税の繰延べが可能です。
  (個人:その年の12月31日まで 法人:その法人の決算期末まで)

(3)単なる株主でなく、共同経営者としての立場を堅持できます。

(4)原則出資金額を上限とする有限責任となります。

このようなポイントをアピールすれば良いでしょう。

成功を祈ります~♪




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