2月16日、17日と連続で放送された毎日放送VOICE「大阪の教育未来図―アメリカ落ちこぼれゼロ法から学ぶ」 。恐ろしいまでに、「落ちこぼれゼロ法」による「教育改革」と教育基本条例が似ており、教員バッシングを掲げて登場するところや、市民が歓迎するところもダブります。
是非ご覧下さい。
2.16VOICE「米国流教育改革の落とし穴」
http://www.youtube.com/watch?v=wKTYyHF-lIw
2.17VOICE「競争の果て...NY教育改革の実情」
http://www.youtube.com/watch?v=3m38J4sjcuE
(前編)
米国の「落ちこぼれゼロ法」を背景に、ワシントン市で行われた急進的な教育改革。
教育長に就任したミシェル・リーは、“教員は甘ったれている、努力を怠っている、教育の質を上げるために教師の質を上げる”と、教員バッシングを大々的に掲げて登場した。
当初市民は大歓迎した。
“教師の入れ替えや廃校のペナルティを課す”として大量の教員が解雇され、学校がつぶされていった。
テスト重視、罰重視の教育。
ところがいつのまにか教員の解雇も廃校も、教育予算の削減のためであることがあきらかになっていく。
そして教員が解雇され、学校がつぶされ、教育が破壊されていって、とんでもないことになったと気づく。最大の犠牲者はまともな教育をうけられなくなった子どもたち。
「落ちこぼれゼロ法」をつくったラビッチ教授は、改革は失敗だったと認め、大阪の教育基本条例の英訳を読み、条文の半分以上が教員に対する懲戒や免職の規定で占められていることに驚き言う、
「とてもショックだわ。これは教師に対してとても懲罰的で」
「子どもを預ける相手に対して懲罰的な態度をとっている。」
「罰、罰、罰。」
「すごくネガティブな姿勢なので、私が教師だったら別のところで教えるわ」
(後編)
ニューヨークのジャマイカ地区。ここでも「落ちこぼれゼロ法」の影響。
120年の歴史を持つジャマイカ高校は廃校にされ、新しい私立高校がその校舎を使っている。
学力テストを実施し、公表する。成績の低い学校は、芸術や体育の時間を減らし、テスト対策に時間をとられるようになる。
ラビッチ教授、「教師は子どもに“学ぶ喜びを忘れろ”“創造性もいらない”“正しい答えだけを書けばいい”と教えるのです。これは21世紀の教育とは思えない。」
ラビッチ教授は、大失敗の核心は「教員の懲罰規定」=評価と懲罰だという。それによって本来の教育とは無縁の不正と成果主義が蔓延していく。
結局は、所得の低い地域の学校の子どもたちが切り捨てられていく。
最後は、「選択と好奇心」をキーワードに、150人の生徒に教師14人という配置で生き生きとした教育をすすめるアーバン・アカデミー校の紹介。
公立高校だが、州や市の方針にも抵抗し続けてきたという。もともとは「落ちこぼれ」と見られた子どもたちが学ぶ意欲を身につけ、高学力を獲得し大学にも進学していく。
教育基本条例英訳を読んだアーバン・アカデミー校のクック副校長は、「アメリカは失敗した。日本がその過ちを繰り返すのは悲しい」と語る。
(ハンマー)