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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

大阪市職員アンケートの中止を求める法曹界からの声明(3)

2012-02-18 | 大阪「教育基本条例」

  大阪市特別の野村弁護士が17日、職員アンケートの回答集計作業の凍結を発表しました。救済申し立ての「法定の手続きが開始された」からという理由で、橋下市長はいまだに「全く問題ない」と強弁しています。
 批判の声を強めていく必要があります。

大阪市に市民の声を届けるのはココ
https://sc.city.osaka.lg.jp/mail/opinion.cgi

※大阪市職員アンケ:回答集計作業の凍結を発表(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120218k0000m010083000c.html
※橋下氏の組合対策に痛手?大阪市職員アンケート、開封を凍結(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120217/lcl12021721230003-n1.htm

[日本労働弁護団]団結権を侵害する大阪市職員に対するアンケート調査に抗議し、即時中止を求める声明

http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/post-26.php

2012年2月15日
日本労働弁護団   
幹事長 水口洋介

1 橋下徹大阪市長は、2月9日、大阪市職員に対し、「労使関係に関する職員のアンケート調査」(以下「本件アンケート」という)の配布を指示し、これに回答するよう職務命令を発した。この本件アンケートには、氏名・職員番号を記入させ、回答については「任意の調査ではありません」「市長の業務命令」「正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます」などとし、強制力を有するものと明記されている。
 しかし、その調査事項を見ると、職員の思想良心の自由への侵害と労働組合の団結権に対する侵害に該当するものが見られ、到底許容し難い内容となっている。
 日本労働弁護団は、次の通り抗議声明を発し、本件アンケートを即刻中止し、既に回収したアンケートを廃棄するよう求めるものである。

2 本件アンケートは、氏名を明らかにさせた上で(Q1)、回答を義務づけ、「特定の政治家を応援する活動(求めに応じて、知り合いの住所等を知らせたり、街頭演説を聞いたりする活動を含む。)に参加したことがありますか」(Q7)と質問して、大阪市職員に回答を強制している。
 しかし、地方公務員も、憲法21条1項により政治活動の自由が保障され、また同19条により政治的意見を含めて思想良心の自由が保障されている。地公法36条2項も、「特定の政治目的を有する一定の政治的行為」を限定して禁止をしているのみである(地公法36条2項1号から5号)。
 したがって、本件アンケートのように、業務命令として、街頭演説会を聞いたりする一般的な活動を含めて政治活動への参加の有無を問いただすことは、地公法36条の禁止の趣旨を超えて、大阪市職員の表現の自由、集会参加の自由に萎縮効果を与え、大阪市職員が憲法上保障された市民的自由を侵害するものにほかならない。また、公権力が業務命令として思想良心に密接に関連する事項の回答を強制することは、憲法19条が保障する「沈黙の自由」をも侵害するものにほかならない。

3 次に、本件アンケートでは、労働組合への加入の有無、参加の有無・程度及び労働組合に相談した経験の有無を問うなど(Q6、Q16、Q20)、労働組合の活動に対して極めて露骨な支配介入行為を行っている。さらに、組合に加入するメリット、組合に加入しないことの不利益及び組合費の使途についての見解をも問うているが(Q17、Q19、Q21)、これらは労働組合の運営・活動にかかわる事項に対しての回答を強制するもので、やはり典型的な使用者による労働者の団結権侵害の行為である。
 このような質問事項は、たとえ提出先が大阪市庁内部ではなく、野村修也大阪市特別顧問あての形式をとったとしても、本件アンケートへの回答が橋下市長名義の下に業務命令として発され、「正確な回答がなされない場合は処分の対象となりえる」と明記していることに照らせば、職員に対する懲戒処分権を有する市長が回答内容を把握することが前提とされていることは明らかである。
 このように、市長が、大阪市職員の団結権及び正当な労働組合活動を嫌悪し、その活動に対して支配介入をしようとする意図は明らかという他なく、団結権を侵害する典型的な行為であることは明白である。

4 そもそも、日本国憲法28条により、すべての勤労者には団結権が保障されている。地方公務員も憲法上の「勤労者」であることは明らかであるから、その団結権は当然に保障される。使用者であり、かつ公権力である大阪市長が、憲法上、保障された職員の団結権を侵害することは許されない。
 そして、憲法で保障された団結権の内容は、労働組合法において具体化され、その中でも、労働組合の団結権に対する侵害行為(支配介入行為)は、これを類型的な不当労働行為として、許されざるものとしている(労組法7条)。
 他方で、地方公務員法においては、同法上の「職員」(非現業公務員)に対して労働組合法の適用を排除する。日本労働弁護団はこの法体系自体に欠陥があるものと従来から指摘するところではあるが、仮に現行法を前提としても、それは単に公務員については不当労行為の類型を明確化せず、不当労働行為に対する救済手段が私企業と異なるという点に留まるのであり、憲法で保障された団結権を否定したものではないことは明らかである。したがって、地方自治体であっても職員の団結権を侵害することを許容しているものではないことは明らかである。
 本件アンケートは、労組法の適用が排除されていない現業公務員等に対しても実施されるのであるから、この点では、極めて明白な不当労働行為であるというべきである。

5 以上のとおり、本件アンケートが、大阪市職員の思想良心の自由、そして団結権を侵害するものとして、違憲・違法であることは明らかである。

 日本労働弁護団は、このような違憲・違法な調査を強行する大阪市の蛮行に厳しく抗議する。そして、大阪市に対し、大阪市職員に対する本件アンケート調査の即時中止を求め、回収したアンケートを廃棄することを求める。

 また、日本労働弁護団は、大阪市職員及び労働組合と連帯し、かかる大阪市の暴挙を許さない運動を支持し、協力することをここに表明するものである。

 

自由人権協会]意見書


http://www.jclu.org/file/oosakashi-questionaire-ikensho.pdf

2012 年2 月16 日

社団法人 自由人権協会
代表理事 羽柴 駿
同 紙谷雅子
同 田中 宏
同 喜田村洋一
同 三宅 弘
社団法人 自由人権協会
大阪・兵庫支部
代表理事 菅 充行

 報道等によれば、大阪市は、本年2月9日付けで別添の「労使関係に関する職員のアンケート調査について」を各所属長宛に発し、もって各職員に対するアンケート調査を実施している(なお、その調査期間は同月16日までとされている)。
 当協会は、このアンケート調査(以下「本件調査」という)には、到底看過することができない、あまりにも重大な問題があるものと考え、以下のとおり、同調査に関する意見を述べる。

第1 はじめに
 一言で言えば、本件調査には、自治体の公的行為としては、前代未聞と言えるほど非常に多数かつ重大な問題がある。本件調査は、憲法を頂点とする法秩序を全く無視するものであり、このような本件調査に、弁護士資格を有する橋下徹・大阪市長が職員各位に対して、真実を正確に回答することを求めていること、また、本件調査が弁護士である野村修也・大阪市特別顧問のもとで実施されていることに、驚きを通り越して、言葉もない。
以下、本件調査の具体的な問題点を指摘する。

第2 問題点

1 本件調査は思想良心の自由を侵害する
 本件調査は、任意の調査ではなく、市長の業務命令として行われている。
また、正確な回答がなされない場合には処分の対象となり得ることが付記されている。
そのうえで、本件調査は、各職員の氏名等、各職員を特定するに足りる事項を質問し、さらに、大阪市役所の組合が行う労働条件に関する組合活動への参加の有無及びその内容、であるとか、過去2年間での、特定の政治家を応援する活動への参加の有無及び内容や、職場の関係者からの特定の政治家への投票要請の有無及び内容、組合加入の有無及び内容などを質問している。
 上記の質問事項は、各職員の人格的な内面的精神作用にわたるものであり、本件調査は、公権力が処分という手段をもってこれら質問事項に回答を強制するものに他ならず、各職員の思想良心の自由(憲法19条)を侵害するものである。
 なおここで念のため付言すれば、憲法19条が「思想良心の自由は、これを侵してはならない。」としていることの意味は、第一に、国民がいかなる国家観、世界観、人生観をもとうとも、それが内心の領域にとどまる限りは絶対的に自由である、ということであり、第二には、思想についての沈黙の自由が保障されており、公権力は、個人が内心において抱いている思想について、直接または間接に、訊ねることも許されない、ということである。本件調査は、これらの双方の意味における思想良心の自由を侵害するものである。

2 本件調査はプライバシー権を侵害する
上記の質問事項は、個人の人格的生存にかかわる重要な私的事項であるところ、本件調査はそれらへの回答を強制するものであり、各職員のプライバシー権(憲法13条)を侵害する。
 なお、本件調査は労使関係の適正化を図ることを目的としているようであるが、「労使関係の適正化」という概念は抽象的であるし、またそれが、プライバシー権を制約する正当な理由となることも、何ら論証されていない(このことは、以下の各人権についても同様である)。

3 本件調査は政治活動の自由を侵害する
 前記のとおり、本件調査は、過去2年間での、特定の政治家を応援する活動への参加の有無及び内容や、職場の関係者からの特定の政治家への投票要請の有無及び内容などを質問している。本件調査は、これら質問事項を、市長の業務命令として、処分という手段をもって強制することで、各職員の政治活動及びその内容に萎縮的効果を及ぼすものであって、各職員の政治活動の自由(憲法21条)を侵害するものである。
 なお、上記の質問事項の内容は、地方公務員法36条において制限されている地方公務員の政治的行為に必ずしも当たるものではなく、本件調査は職員の適法行為も対象に含めて質問するものであることからも、上記の侵害は明らかである。

4 本件調査は労働基本権を侵害する
 本件調査は、大阪市役所の組合が行う労働条件に関する組合活動への参加の有無及びその内容などを質問している。本件調査は、これら質問事項を、市長の業務命令として、処分という手段をもって強制することで、各職員の、団結権、また、団体行動権の一内容としての組合活動権、という労働基本権(憲法28条)を侵害する。

第3 結語
 このように、本件調査は、少なくとも、上記のような多くの根本的な問題を含むものであって、違憲違法なものであることは明らかである。当協会は、大阪市が、本件調査を即刻中止し、また、現時点までに得られた調査結果を直ちに廃棄することを、強く求める。

以上


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