魯露西亜夢酔談

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名前あれこれ!

2006-02-02 00:00:33 | 日常生活

わたしの愛称は”リセンカ”、英語表記だと Lisenka で使用してる。ロシア語表記では Лисенька と、表します。で、わたしの愛称は、 幼い頃から”リセンカ”と呼ばれるまま、定着してしまった。

もっとも、ロシアにはこの愛称を持つ名前は無い。本来ママは、わたしの名前をエリザベータ Елизабета としたかったらしいのだが、字画が悪いと言う、 極めて日本人的なパパの反対のために日の目を見なかった。 Елизабета  だと愛称が、”リザ Лиза ”もしくは、” リザンカ Лизанька” と呼ばれる。しかし、パパに言わせると、絶対” リゼンカ”と聞こえるそうだけど。

ロシアの作家のボリス・アクーニン Борис Акунин の作品に邦題「堕ちたた天使」、原作名 「アザゼルАзазель」1998年刊行がある。処女作品のこの小説はいきなりベストセラーになり、 映画化もされた。映画の話はまた、後日にするとして作品中、主人公が列車の中で令嬢と交わす、愛称についての会話がある。

 「わたしのことは<< リッジ>>と呼んでください、 <<リーザ>>ってあまり好きじゃないんです、 <<おべっか使い、ポドリーザ>>に似てるんですもの」-作品社刊、沼野恭子訳。原作では- Только зовите меня <<Лиззи>>, <<Лиза>> мне не нравится, на <<подлизу>> похоже, -となっている。

英語名のエリザベスも、リズという愛称で呼ばれるから Лиззи これもありだね。       

ボリス・アクーニンは、いわゆる中間小説のジャンルを開拓し、ロシアのナンバーワンの流行作家だ。 シリーズ2作目の「トレッキーガンビート Турецкий гамбит」 は、前作以上の売れ行きで、著作全体の売り上げが数百万部に達すると言うから、ロシアでは驚異的なことだ。 映画化された 「Азазель」 が、鳴かず飛ばずだったのに比べ、同じく映画化された 「Турецкий гамбит」は監督、キャスティングも良く、 ロシア近年でも屈指の秀作との評判。興行収入も巨額です。ちなみに、日本文学者である著者のペンネーム、 アクーニンは、いかにもロシア語のように響くけど、日本語の”悪人” に因んでいるんです。

で、今回は名前の話でしたね、だいぶ脱線してしまいました。日本の公官庁では、 日本語のローマ字表記の行にはR を使用します。つまり、Ra Ri Ru Re Ro で La Li Lu Le Lo は認めません。そこで、パスポートの申請時に一悶着。わたしの名前、”リサ” のローマ字表記が RISA  となります。

「こんな表記の名前見たこともない、なんて発音したらいいいの!」、パパもママもびっくり。

「ライサかしら?」

「ム、ム、ム....」

責任者に掛け合い、ようやく「ロシア本国でリサLisa と表記された公文書を入手してください、しかる後に提示頂ければ記載事項を変更します。」 との回答を得たそうです。それからがまた苦難の道のり、ロシア連邦法の改正により、 在外ロシア人の子供の市民権の受理が2年間ぐらい停止していた時期があったのです。ですから、その間本国では、 わたしはロシア市民では無かった状態なので、勿論名前をいじくることが出来ません。受理再開後在日大使館での申請時にまた、一悶着。 「リサと言うロシア名が無いので日本側の誤記として Лиса と表記出来ない」、 結局日本のパスポートの表記が Risa とあるからゆえに Риса としか記載してくれません。これでは、何のことはないまた、 Risa です。その後、本国でのザックス(日本の市役所)での交渉の結果が 「ロシアにはリサと言う名前がないのだから Лиса と表記出来ない、リザなら Лиза とできる」と、大使館と同じ見解です。

「あなたがリサと名付けたばかりに、どうするのよ!」と、ママはパパに対して怒りさめません。

「ム、ム、ム....」と、パパ。

このような問題がありますので、ラ行から始まる名前を付ける際にはくれぐれも慎重に、 特に外国籍をもたれるお子様の名前には。