りぶろぐ

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NTT 版 YouTubeは,クリエイティブコモンズを簡単に選べる

2006-08-08 07:43:02 | ニュース
http://www.atmarkit.co.jp/news/200608/08/ntt.html

NTT 版 YouTube っていう呼び方はあんまりだ,と苦笑.後発としては違法性のイメージを払拭して,ビジネスモデルを確立したいんだろうし.

ニュースの内容は,アップロードしたファイルに対する著作権を Creative Commons から選べるようにするということらしい.CC を知らない人にはこの「選べる」というのがよく分からないかもしれないので,少し解説したい.

* * *

まず CC の概要から.

Web ページやなんやかやで "All Rights Reserved" というフレーズを見かけると思う.これは著作権法にのっとって,全ての著作権(複製権,公衆送信権,翻訳権……など)を保持している,無断利用は許さないと主張しているわけだ.

#一方で "No Rights Reserved" という流れもある.

しかしながら,こうやって全ての権利(All Rights)を確保しちゃうことに不都合(違和感?)を感じるひとたちがいる.彼らは「金もうけに使わないんだったら」というような条件のもとでなら,むしろ自分の作品を広く使って(コピーしたり,手を加えたりして)欲しいと願っていたりする.

そういう彼らのために Creative Commons が生まれた.これは "Some Rights Reserved" をモットーにかかげた,著作権法よりもゆるやかな権利保護の在り方だ.

さて,本題.CC では著作物に対して次の4つの項目それぞれに対して yes/no を設定できる.

* 帰属(Attribution)
その作品の利用に関しての著作者の表示を求める項目
* 非商用(Noncommercial)
非商用に限ってその作品の利用を認める項目
* 派生禁止(派生作品の禁止)(No Derivative Works)
その作品をそのままの形でのみ利用を認める項目
* 同一条件許諾(同様に共有)(Share Alike)
その作品につけられたライセンスを継承することを求める項目

これらを組み合わせると 2^4=16 通りのライセンスが生まれるわけだけど,実際には次の6種類が使われる.(理由は以下の通り.「帰属」を放棄する人は少ないので 2^3=8 通りでよい.また「派生禁止」と「同一条件許諾」は同時に設定できないため -2 され 8-2=6 通りが残る.)

* 帰属
* 帰属-派生禁止
* 帰属-同一条件許諾
* 帰属-非商用
* 帰属-非商用-派生禁止
* 帰属-非商用-同一条件許諾

NTT 版 YouTube では,この6種類のうちから「選べる」ようになってるというわけ.以上.

より詳しくはこちらを:
クリエイティブ・コモンズ #ライセンス - Wikipedia

References:
http://www.creativecommons.jp/