フォロワーに記事に”キエフの冬”とあったが、全くその通りになってしまった。
まさか、ウクライナの心臓部にいきなり踏み込むとは、私も想定外だった。
しかし、プーチンは最後のカードを出し急いだ気がしなくもない。事実、国際世論だけでなく、ロシア国内でも大きな反発が起きている。
用意周到に進められらたロシアの軍事侵攻になす術もないウクライナ政府は、停戦合意に動き出した。が、最初は拒否してた(強気の)プーチンも、ウクライナが欧米軍の援助を受け反撃に転じた事で停戦合意に応じる様子が報道されてはいる。
ブタペスト合意の是非
ウクライナは、1994年の(国内に残る1900発もの)核放棄決定”ブタペスト(安全保障)合意”をアメリカやロシアにまんまと反故にされ、その結果、ロシアにとって侵略し易い(アメリカにとっても干渉し易い)隣国に成り下がります。
もしブタペスト合意を結んでなかったら?核の驚異はそのまま残り続け、純粋な独立国としてウクライナには(危なっかしいかもだが)春が来てたかもしれない。少なくとも現在の様な”キエフの冬”はなかったかもしれない。
ウクライナ外相は”過去に戻る事はできない”と発言を濁すが、(そのままでは使えず)使い道のない危険なオモチャがあるだけという状態だったから、核を手放すしか他に選択肢がなかったのも確かだろう。
ある専門家は(実効性自体微妙だが)”ウクライナからすればこの文書があってこそ、ロシア侵攻の違法性や米国の軍事支援の正当性が(政治的には)強化される事になった”と語る。が、今や北朝鮮でも核を保有できる時代。全てを撤去し、ウクライナを丸腰にする必要がどこにあったのだろうか?
全ては結果論だが、正直者がバカを見るのは世の常なのだろう。
”バカ正直”という点では日本も同じだが、台湾危機で日米同盟が守られる保証はあるのだろうか?米軍が動く事はあろうが、日本を100%守ってくれる保証はない。
つまり、”キエフの冬”は日本の冬でもある。”ウクライナが可哀そ〜”と呑気に叫んでる日本人は、今の自分達こそが可哀そ〜な民だと思い知るべきだ。
私は、”キエフの冬”を捩って「クリミアの冬」というタイトルで記事を書いたが、寄せられたコメント群には、(私も含め)”プーチン有利”という類が多かった。が、(今の段階では)まんざら外れてはいない。
事実、今回プーチンが独立承認した(ウクライナ東部2州の)ドネツクとルガンスクはクリミア半島近くの南部に位置する。
つまり、南に目を向けさせておいて、一気に北のキエフへと攻め込んだのだ。
”クリミアの冬”から”キエフの冬”が現実となった瞬間である。
再び、”独ソ戦”勃発?
しかしこの2州独立(併合)も、ロシアにとっては2015年の(ゆるゆるの)ミンスク合意(ⅠとⅡ)の時点で、織り込み済みだった。
ミンスク合意とはウクライナ危機の後、ウクライナ・露・独・仏による東部紛争の枠組みの事で、当時中心となってまとめたのがメルケル前独首相である。
今回の”危機”で外交的解決に最も力を尽くしたのは、仏と独だ。クレムリンの巨大なテーブルの一番端に座らされた、マクロン大統領とショルツ首相の映像は衝撃的だった。
メルケル外交はロシアに(中国にも)甘く、彼女は全てを”経済問題”として片付けようとした。
ミンスク合意でも(ロシアの)クリミア併合を棚上げにし、ウクライナ東部の親ロシア派勢力に対し、ロシアが軍事支援をしてる事に目を瞑った。つまり、この時点で今回の”危機”は始まっていた。
ミンスク合意は明らかにロシアに融和的であったが、仏独は何とか外交的な着地点を見いだそうとした。が、現実にはロシアとウクライナで解釈が決裂し、話は全く進まない。
それでも、マクロンとショルツがプーチンに(頭を下げて?)懇願したのは、危機が戦争に発展し、ヨーロッパに飛び火するのを避ける為である。
かつて、独ソ戦で(数千万を超える死者を出し)絶滅戦争にまで発展した両国だが、その経済関係はヨーロッパで最も深い。
ドイツがロシアのガスに依存してる事自体が問題だが、(ドイツには稼働してるLNGプラントがない)、これは前メルケル政権の致命的な傷跡でもある。
ノルドストリーム2の停止に始まり、独露の双方が制裁の応酬になった時、ロシアからのガス供給が滞り、エネルギー価格がさらに上昇。すでにインフレ傾向が明白な世界経済が、大打撃を受ける可能性も大きい。
ドイツは世界一インフレが嫌いな国だ。
ショルツ政権は、環境問題を自らの使命と掲げG7の議長国に立ち、世界の”気候クラブ”を立ち上げる計画も持っていた。戦争勃発を避けたい気持ちは人一倍強い。
しかし今回のプーチンの選択は、ショルツの気持ちと努力を踏みにじるものだ。キエフとモスクワを往復し、何とか双方の妥協点をまとめた(と思った)ものをプーチンは完全に覆した。怒って当然である・・・(毎日新聞より)
独ソ戦と絶滅戦争
ロシア軍侵攻のニュースを聞いて、(独ソ戦の)”絶滅戦争”という言葉を思い出した。
目的は勝敗ではなく、相手を徹底的に絶滅させる為に行う戦争の事である。
「独ソ戦~絶滅戦争の惨禍」(大木毅 著)は、第二次大戦のドイツとソ連の間の戦争で何が行われたのか?具体的な数字をあげ、戦争のもたらした惨禍を解説した一冊である。著者は通常の戦争に加え、資源を奪う収奪戦争、世界観の違う相手を皆殺しにする為の絶滅戦争の3つの側面があると説く。
SNSでは”複雑な独ソ戦の意味がようやく理解できた”との感想が多数あがり、見事2020年の新書大賞にも選ばれた、今一番注目したい戦争ドキュメントでもある。
”これは絶滅戦争なのだ”
ヒトラーがそう断言した時、ドイツとソ連との血で血を洗う皆殺しの闘争が始まった。著者は歴史修正主義の歪曲を正し、現代の野蛮とも呼ぶべき”絶滅戦争”の本質をえぐり出す。
1942年のドイツ軍の夏季攻勢は、日本地図に例えれば、日本海の沖合から関東平野に至る空間に相当する広大な地域で実行された。また、独ソ戦全体での死者は民間人も含めて数千万に及んだ。
こうした惨戦は、必ずしも狂気や不合理によって生じたものではない。人種差別や社会統合の為のフィクション(イデオロギー)の暴走、占領地を収奪してでも良い生活を維持したいという民衆の欲求など様々な要因が複合し、史上空前の惨憺たる絶滅戦争を引き起こした。
日本では、ヒトラーの狂気や冷戦期のプロパガンダによって歪められた独ソ戦像が未だに根強く残る。事実、ドイツ側ではヒトラーに原因を押し付ける為、責任逃れの為の戦記本や回想録などが数多く出版された。一方ソ連側では、共産主義の輝かしい勝利をアピールすべく、ソ連軍に都合の悪い事実は徹底的に隠蔽された。
しかし、多様的な側面からこの戦争を眺めると、露わになった独ソ戦の実像は、より凄惨なものだった事が解る。
最初は勢いのあったドイツ軍は、(まるで旧日本軍みたいに)ソ連軍の実力を見くびり、自らの兵站能力を蔑ろにし、無謀な戦いを進めていく。一方でソ連軍は、物量の差・地の利は当然の如く、熟練した”作戦術”によりドイツ軍を凌駕する作戦計画が立てられていた。
つまり、ドイツ軍は勝利を重ねながらも、実質は敗北に向かって突き進んでいた。
(戦争初期の)ドイツ軍が有利な時は、通常・収奪・絶滅の3つの戦争が並行して進んでいたが、ドイツ軍が不利になるにつれ、収奪と絶滅の性格が濃くなり、最後には喰うか喰われるかの”絶対戦争”(世界観戦争)へと変質する。
こうして第2次世界大戦のの帰趨を決した独ソ戦は、史上最も凄惨な戦いになっていった。
しかし、戦争には地獄は付きものである。
旧日本軍も、ノモンハン事変(1939)・ガダルカナル海戦(1943)・インパール作戦(1944)・レイテ沖や硫黄島の戦い(1945)では、地獄を見た。が、その地獄とは敵の圧倒的火力の前に精神的失調をきし、或いは兵站(補給)の不足や欠損による飢餓や餓死のイメージが色濃い。
一方で独ソ戦では、ヒトラーのアーリア人(ドイツ白人)至上主義によるソ連制圧と、スターリンのファシズム打倒による共産主義の優越という双方の世界観が、もろにぶつかった結果の地獄図という世界観戦争(絶滅戦争)である。
戦争の敗北に不思議な事はない。
ドイツが負けたのは当然の結果であり、そこにタラレバは存在しない。同じ様に日本が負けたのも当然の結果である。
ドイツはポーランド(いや旧ソ連)に攻め込み墓穴を掘り、日本は中国に攻め込み墓穴を掘った。ただそれだけなのだ。
以上、トップレビューを参考にまとめました。
最後に〜キエフの冬からウクライナの春へ
冒頭での述べた様に、(瞬間湯沸かし器の異名をとる)プーチンがキエフに攻め込んだ事で、ロシア側の焦りと綻びが見え隠れしないでもない。
外交戦略で完全に行き詰まっていたEUやアメリカは、起死回生の大きなチャンスかもしれない。
一方でウクライナにとっても、プーチンがゼレンスキー大統領の停戦合意(中立協定)に応じる形で代表団を送ったとされる。
しかしここで黙っていないのが、ドイツのショルツ首相だろう。
”アメリカもウクライナもEUも合意に応じるかもしれんが、反故にされた俺はどうなる?”と第二次世界大戦での(ヒトラー)の絶滅戦争を蒸し返し、全面戦争をも匂わせるかもしれない。
シュルツがヒトラーになる筈もないが、最悪の最悪を想定する必要もあるだろう。
ただ、プーチンは簡単にキエフを制圧できると思ってたらしいが、NATOに加盟してないウクライナ軍だが、逃げる事なく堂々と牙を剥いた。
もし、そのまま何も抵抗しないで逃げてたら、僅か数時間でロシア軍に占拠され、最悪ウクライナの歴史は終わってたであろう。
しかし昔の様に、ロシアにとって(都合のいい)隣人ではなかった。虐められっ子は何時も虐められっ子である訳がないし、いつかは勇者に転じる時が来る。
同じ様に大国はいつまでも大国であり続ける筈もないし、いつかは大陸に成り下がる。
日本も今のウクライナ危機から何かを学ぶべきであろう。今の日本は、アメリカが実効支配する小さな島に過ぎない。いつかは島から島国へ、そして日本国へと立ち上がるべきだ。
ウクライナの冬は、ウクライナ自身の力でその冬に終わりを告げるべきかもしれない。
やがてクリミアにも本当の春が訪れ、大国ロシアでマンネリ化した長期政権を築いたプーチンには、長く厳しい冬が訪れるだろう(いや、そう願いたい)。
プーチン政権が崩壊した時こそ、ウクライナに本当の春が到達する時であろうか。
ロシア軍の損失は既に3500とも言われてます。勿論ロシア側は否定してますが。
一方でプーチンは核攻撃をちらつかせてます。
それだけ焦ってる証拠でしょうが、大局的に見ればロシアが圧倒的優位であるのは変わりない。
ウクライナの現状が気になって仕方ないのですが、最小限に被害で収まる事を願うだけですね。
シュルツ首相のこの政策変換はプーチンに対する怒りであり、EU全体の世論を示したものですね。
優位な筈のロシア軍の損失は1000人とも噂されてますが、それだけロシア兵の士気が落ちてるのかもしれない。
7年前のクリミア危機(ウクライナ東部紛争)の時も、ウクライナの損失が2900人余りに対しロシアは9600人近い損失を出しました。
プーチンは24時間以内にキエフ制圧の筈でしたが、キエフに侵攻し3日近くになります。
ここに来て、欧米からの兵站の補充がウクライナ軍の士気を支えてます。
首都防衛のために流した血がウクライナの春に繋がることを願ってます。
一方、日本はアベ政権時、プーチンに大甘で調子づかせました。
プーチンに世界規模での制裁を課すには、こうした甘々なのがいると効力を発揮しないんですよね。
ロシアは北京パラの前に終わらせたいから、今は必死。もしキエフでの戦闘が長引けば、欧米から武器供与されたウクライナ民兵がゲリラ戦を展開する可能性もある。
兵站が充実してくれば民兵と言えど士気も上がるから、ロシアは国内外で大きなダメージを食らう。
交渉といっても互いに接点が見いだせないから無理。経済制裁とてもすぐには効力を発揮しない。
しかし長引くようだと中国の面子もあるから、欧米としては兵站をウクライナに送り続け経済制裁の両面から辛抱強く抑え込むしかない。
今のキエフ侵攻は独ソ戦でのキエフの戦い(1941)以来とされます。
歴史は繰り返すと言いますが、繰り返し過ぎですよね。
遠い国のことですから、なにから勉強すればいいのかわかりませんでしたから皆さんのコメントは助かります。
兵站や物資の補給も半端じゃないんでしょうか。
NATO軍も米軍も直接には介入できないのですが、ロシア軍の出方次第ではそれに近い事もやるでしょうね。
7年前と同じ様な展開になりそうですね。
戦争は大体において、侵略した方が負けなんですが、どうなる事やらです。
ウクライナ東部2州の支配を匂わせ、ウクライナの心臓部であるキエフを多方面から一気に攻め落とす。
バイデンがセコい事して国際世論を味方につけようとするから、プーチンも本気でキレたんだろうね。
やるんだったら正々堂々と来い!こっちは受けて立つぜとこか。
プーチンからすれば、ウクライナは元々旧ソ連の領土だし、ロシアの隣人だって叫んでるだろうが
ウクライナからすれば、今やロシアって蛮人に過ぎないんだよ。そのウクライナも欧米の支援を受け、真っ向から反撃している。プーチンが思ってるようなヤワな隣人ではないんだな。
ロシア軍にも450人超の損失が出てるらしく、ウクライナを甘く見過ぎたプーチン政権にも、焦りが目立ってきたのかな。
プーチンがロシアを大国と勘違いしてる間は、ロシアにも本当の春は来ないね。多分
キエフの戦いでは派手な独ソ戦が行われました。この時の旧ソ連の被害は700万人(ドイツ6万)。ソ連は防衛の為に、戦車が入りやすい街を再建します。
”ロシア軍がまだキエフ入城をしてない事は注視に値する”とフランスの識者は語りますが。
ウクライナの抵抗如何ではプーチン優位も変わってきますね。
問題は中国がどう動くかですが、アメリカは今こそ冷静な出方が必要だと思います。
動画で見る限り、一方的なロシア軍の虐殺に見えますが、多方面からキエフに侵攻してるみたいですね。
一気にキエフを叩いて現政権を骨抜きにし、ウクライナとの交渉に漕ぎ着ける。
BBCによると、(欧米の支援を受けた)ウクライナ軍も結構な反撃を加えてるらしく、ロシア軍のキエフ侵攻は少し遅れてます。
今日辺りが一番の山場になるかもですが、どれ程の被害が出るのか心配です。
独仏米の外交策はプーチンには通用しなかったけど、プーチンもここに来て少し強引すぎたかなとも思います。
言われる通り、落とし所は中立交渉でプーチンに一歩譲り、経済制裁で締め付け、ロシア国内の内乱を誘う事ですかね。
戦線拡大と兵站は反比例する。
戦線を拡大すればするほど、兵の数や武器弾薬・糧食は少なくなる。
まあ、当たり前ですよね。
遠くなればなるほど輸送は大変になりますし、兵隊の数は限られていますから。
だからタラレバになりますが、ドイツはポーランド、日本は満州で我慢しておけばよかった。
この点、プーチンは歴史から学んでいて、ドネツク・ルガンスクを自分の勢力下に置ければ成功と考えて、戦線拡大をしようとしない。
おそらく停戦合意がなされればキエフから撤退するでしょう。
欧米の経済制裁はどれくらい効果があるんでしょうね。
基本ロシアは自給自足できる国のようですし、欧米が経済制裁してくることを当然、想定して対策を練っているでしょうし。