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「ある男」感想 平野啓一郎

2019-04-22 | 小説・漫画他
中盤までは、ものすごい引き込まれて読ませてもらいました。面白かったです。4つ★半
メインの謎解きのほかに、在日問題とか、犯罪者家族の悲哀、ある夫婦の危機など、色々な要素が詰まった内容でした。

幸薄い里枝(次男を病気で失った後離婚している)と、謎の文房具店に画材(スケッチブックとか)をたまに買いに来る大祐の出会いと交際に至る経緯とかも良かったし、2人が結婚した後に、家族で、それぞれ好きな木を決める、っていうのも素敵だなーと思いました。

血のつながらない長男の悠人が良い子でねえ・・・。
この子が、本当のお父さんと言わず、前のお父さん、という表現をしていたり、凄く人の気持ちに細やかに配慮できる子なのよね。
小さい頃から彼も苦労続きの人生だなあ・・・涙
全てが判明した後「守ってあげないと、花ちゃんを」って言ってましたね。

★以下ネタバレ★
大祐の元彼女の美涼が、ヘイトスピーチに参加してたのは、ちょっとびっくり。
そして、城戸と両想い?だったのね、と新幹線の中で「この前まで好きだった人がいたんだけど、もうあきらめました・・・」って、それ、自分の事よね。
ちょっと、アララ・・なんだか・・・)って思っちゃった。そこまであからさまに打ち明けなくても良かったのかな・・って。

行方不明で探すのが困難だった大祐を探せたのも、この元彼女のお陰で、彼女が大祐になりすましたフェイスブックを開始して、それに反応してきた大祐本人。そこから、色々あって、城戸および、彼女もその後喫茶店での対面を果たせたんだけれど、
現在の大祐が思ったより、あんまりいい人間じゃなくって・・(もうちょっと良い奴かと思って読んでたのだけれど)

謎解きに関しては、入れ替わりが1回という先入観があったのですが、そうか、何度も繰り返す事もあるのよね・・・。
谷口大祐は、犯罪者の息子で、ボクサーとして実力があった原誠でした。 犯罪者の父と偶然似たような絵を描いていました。
最初の入れ替わりの曽根崎義彦は、もう一度別の、知的障害のあるホームレスの男と更に入れ替わっています。
刑務所でふてぶてしい態度の小見浦って男が、これら入れ替わりを手配するブローカー詐欺師だったんです。

あと、城戸は奥さんとやり直せそうって希望が見える終わり方ではあったのだけれど、奥さんの携帯に届いたLINEで、上司からのハート一杯のをつい見てしまうが、スルーする。(奥さん浮気してたかも・・)
以上

あと、メインのエピソードではないのだけれど、私も前から、もんもんとしていたことについて、色々書かれていて、そこが印象に残りました。

弁護士の夫が3.11をはじめとして、その他ボランティア活動に休みを返上し、活動を行う事に対して、その時間があったら、まずは自分の家族(おもに小さな息子)に使ってもらいたい、という妻の気持ち。
国境なき医師団とか、ユニセフ等に継続的に寄付をしたり、赤の他人の為に何かしようと努力し続ける夫。
夫が時間と金を持て余していて、彼と言う人間が2,3人同時にいれば、奥さんである香織は気にしなかったはずだ。でも、彼はそうじゃない。そういう考えや活動は立派だし尊敬できるんだけども・・・という、板挟みな気持ちの処。

「ある男」2018/9/28 平野 啓一郎

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4 コメント

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Unknown (存在する音楽)
2019-04-29 00:16:44
latifaさん 今晩は。

読みました。分人主義で、様々な側面や背景を持った人たちが、本当に生きていることについて深く考える作品でした。
面白くて惹きこまれて一気に読みました。

誰が誰なのかを解説していくような部分は複雑で何度か誰だっけ?って思いながらも、そう言えば、本名知らないで付き合ってきた人もいたし、本名を知っていても、その人のことを良く知らないこともあって。案外人はええかげんなもんかもしれないなど、色々と考えていましたが、不器用ながら他人を大切にする気持ちも伝わってくる部分にはジーンとしました。
存在する音楽さん☆ (latifa)
2019-04-29 08:49:21
存在する音楽さん、こんにちは
GWいかがお過ごしでしょうか^^

うわー、これお読みになられていたんですね嬉しいなー。

やっぱり面白くて、一気読みでしたか。
私もそうでした。

そうそう、私も後半の名前と人物の処は、何度も混乱して、前の方を読み直してチェックしたりしました。

映像化は難しそうで、本ならでは(外貌が見えない事によってネタバレがされない)の面白さもある本でしたよね。
Unknown (しずく)
2019-09-12 10:47:24
latifaさんも書かれているように、現在の大祐が思ったより良い人っぽくなくて、私もがっかりしてしまい、感想を先延ばしにしてしまいました

本作を読み終わってから平野さんの思いや他の感想を結構読みました。平野さんの分人主義には大いに肯きました。でも、欲張りすぎてモチーフが散漫になってしまっているような・・・。メインではない在日韓国問題を抱えた弁護士の背景などはそれ一つで大きなテーマと成り得るほど大きいのに・・・。読んでいてそちらに気持ちが傾いていると、東日本大震災・ヘイトスピーチに代表されるような近年の日本を覆う排外主義・犯罪の被害者遺族と加害者家族両方が背負う厳しい現実・中年の危機と夫婦の倦怠などetc、大きいテーマを次々に出しすぎて、読者に消化不良を起こさせているのではと危ぶまれました。
ラストに向けて、血のつながらない長男の悠人君が爽やかでしたね! 彼が詠んだ<蛻(ぬけがら)にいかに響くか蝉の声>は秀逸でした。苦労が絶えず、年の割にはできた子過ぎてあわれにも感じました。
しずくさん☆ (latifa)
2019-09-13 09:22:24
しずくさん、こんにちは!

>欲張りすぎてモチーフが散漫になってしまっているような・・・

>大きいテーマを次々に出しすぎて、読者に消化不良を起こさせているのではと危ぶまれました

それ!私も同じこと思いました。
家族の物語にだけ絞って描いても良かったのになーって。

でも作家さんって、書きたい事や世間に訴えたいメッセージとか一杯あるんでしょうね。。。

>年の割にはできた子過ぎてあわれにも感じました。
ううう・・・
確かに。
彼の将来に幸あれ!と願うばかりです。

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