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「男ともだち」「眠りの庭」感想 千早茜

2014-10-02 | 小説・漫画他


本作は、ご自身の体験も、もしかしたらどこかに入っているのかな・・・なんて勝手に思ったりもする内容でした。

先日読んだ角田光代さんの本でも、この「男ともだち」でも、クリエイターとして、駆け出しだった女主人公が、数年後、その道で食べて行けるまでに、成功したら、最初無名だった時からずっと一緒にいた彼氏との関係が、ぎくしゃくしていく様子を、非常にリアルに描いていました。
読みながら胸が痛くなる処が色々ありました。それぞれ彼氏との経緯や関係、個々の性格は全く違うのですが、夢を追っていた時には上手く行っていた関係も、数年経って、その夢がかなった時、同じ良好な関係で居続けられるというのは、非常に難しいよなあ・・・と、しみじみ思いました。

「男ともだち」では、5年同居している彼氏の部分より、学生時代からの男ともだちであるハセオとの関係の方がメインになっていますが、彼氏と別れるシーンとかが、私はとても印象的でした。

で、もって、ハセオ。
ちょっと独特なキャラですね。こういう人、現実に会った事が無いので、その辺にゴロゴロいるタイプじゃないな。
凄い優しいんだけれど、彼も過去になにかあったのだろうか・・・
神名は小さい頃、性的虐待されたことがあって、もしかしたら、ハセオも何か幼い時に辛い体験をしているんだろうか・・・語られませんでしたが。

あと、千早さんの小説には、なんというか、こう・・・優しくない、年上で自信家な男性が良く登場する気がする。
今回も妻子持ちの医師が登場するのだけれど、この医者が、ワンマンで自信家で。
というか、主人公の神名が、私はあまり好きじゃなかったかも・・・。
とはいえ、最初から最後まで、面白く一気読みさせてもらいました。

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
彼氏が出て行った後、医者と前より親密に関係を重ねる様になったが、薬品会社の説明会?で、偶然ハセオに遭遇し、ハセオが神名の前で、医者にズバズバと辛口な事を言ってのけ、びっくり・・・。でも医者も彼氏と別れた後、「避妊しなくなったのは・・」等と言う。結局、神名は医者を残して、ハセオについて行ってしまう。(内心、医者ざまーみろーって思ったけど) その後、その医者とも別れ、スッキリサッパリした神名。
本当に自分が作りたい作品と、依頼されて作る作品とのはざまで悩んだ神名。彼女の初期の作品から、ずっと目をつけてくれていた編集者さんに、ズバッと言われてショックを受けていたが、最後は、彼女は満足の行く作品を発表出来て、その編集者さんから、嬉しい言葉を聞ける、というラストで、良かったです。以上


学生時代の女友達(とても綺麗でモテモテの)が、いつもそばにいた男友達を失った事。結局2人は、付き合って、最初はこんなに合う人はいない!って幸せだったものの、長く付き合っていると、だんだん・・・そして、別れてしまっていたんですね・・。
凄く大切な人だったのに、一端友達のラインを越えて男女として付き合ってしまうと、別れがやって来るから、付き合わないで友達のままいる方が良い、っていうのも、解らないでもないです。

ハセオと神名は、地球最後の日だったら・・・けれど、これからも友達のまま、長く良い関係を続けていくんだろうな・・。
どちらかに、凄く好きな人ができた時や、結婚するという変化があった時は、どうなるのかな・・・。
そういえば、ハセオの愛読書らしい「秘花」とは、瀬戸内寂聴さんの本のことかな? 数年前に読んだ事があるけれど、ハセオが凄く気に入った部分はどこだったんだろう・・

「男ともだち」 2014/5/26 千早茜
(内容)関係のさめた恋人と同棲しながら、遊び人の医者と時々逢いびき。仕事は順調なのに、本当に描きたかったことを見失っている―京都在住イラストレーター神名葵29歳。八年ぶりの電話を掛けてきた大学の二歳上の先輩・ハセオはいつも馬鹿笑いしてばかりの、女の切れない男だったが、決して神名には手を出さなかった。男ともだち。

・・・・・・・・・・・・
「眠りの庭」

こちらは、今年の4月に読んでいました。
二つの小説「アカイツタ」と「イヌガン」が入っています。
この二つの小説は、関連性のあるお話になっています。
ファム・ファタル?な、小波という女性が登場します。
うーん、なるほど・・・と、思うセリフとかが何度か登場してきて、あまり身近にあるお話ではなく、共感したりするタイプのお話ではないのだけれど、
面白く読みました。謎めいていて。
本を読みながら、鮮やかな色彩や風景が頭の中で、ぱっと広がるような、千早さんらしさを感じる部分が素敵でした。



眠りの庭 千早茜 (2013/11/23)
内容(「BOOK」データベースより)
「アカイツタ」美大を卒業したものの、画家になることもなくくすぶっていた萩原は、美術評論家の真壁教授の紹介で、女子校の臨時教員として勤めることになる。美術準備室で見つけた、暗い目でこちらを見つめる少女の絵。自画像だと思ったそれは、謎の死を遂げた鈴木という女生徒が、真壁教授の娘・小波を描いたものだった。やがて萩原は小波に惹かれていくが、彼女には誰にも言えない秘密があった…。「イヌガン」大手家電メーカーに勤める耀は、年上の彼女、澪と一緒に暮らして3年になる。掴みどころのない澪だったが、その穏やかな日々に満足していた。しかし、澪がときおり漏らす本音と怪しい行動に、耀は少しずつ不安を抱いていく。ある日、澪を尾行した耀は、思いがけない場面を目撃することになる…。過去を背負った哀しき女と、彼女に囚われていく男たち。2つの物語がつながったとき、隠された真実が明らかになる。あふれ出す情感を描き切った、心ゆさぶる墜落と再生の物語。

「男ともだち」「眠りの庭」
「あとかた」「森の家」
「からまる」「おとぎのかけら 新釈西洋童話集」
「魚神」

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2 コメント

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Unknown (苗坊)
2014-10-05 16:06:41
こんにちは^^
確か男ともだちは実際の体験も入ってるっておっしゃっていた気がします。
男友達も実際にいらっしゃるみたいです。
私は男友達がいないので、男女の友情はないと思っているのですが^^;
私も神名が嫌いでした。彼女は絶対に同性に嫌われるタイプだと思います。
あの医者ともどうして付き合ってるのか意味が分かりませんでした。
最後は30歳を迎えて、垢抜けたような気がして良いラストだったと思います。
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苗坊さん☆ (latifa)
2014-10-08 17:09:51
こんにちは、苗坊さん
苗坊さんも、神名が嫌いでしたかー。
同性からは嫌われるタイプ、確かに・・・。

私は、恋愛感情が一切ない、男女の友情というのは成立すると思っているんですが、この小説の場合は、単なる男友達ではないと思いました。
お互いに、かなり思い入れの深い関係でしたよね。

確かに色々あったものの、神名は、30才過ぎて、ひとかわ剥けた感じがありました
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