「トワイライト」「カカシの夏休み」感想 重松清

お友達から「トワイライト」「カカシの夏休み」をお薦めされて読んでみました。
「トワイライト」と、「カカシの夏休み」の中の表題作は、偶然２つとも今は中年になった男性が、自分の小学校時代のクラス同窓会というか・・・同級生を懐かしむ内容になっています。

まず「トワイライト」
一番ぐっと来たのは、かつての自分の担任の女先生のくだり。
先生は、みんなに「未来カプセル」を埋めることを提案するのだけれど、この女の先生、先生としては良い先生なんですよ。ところが先生の私生活たるや、家族や子供を捨てても不倫に突っ走ってしまって、しつこ過ぎるのが原因で、相手から殺されてしまう・・という衝撃的な最後を遂げた人なんです。
その先生が、生徒達に残したメッセージとか、妙にジ～ンと来てしまいました。何から何まで聖人という訳ではないけれど、少なくとも先生としては立派な人だったんじゃないかな・・・と思いました。殺人事件があった時には６年生で良く解らなかった主人公も、今、カプセルを開ける年になって、あの時の先生と同年代になり、先生の気持ちが解ったりするんですよね・・・。

尚、この小説には、自分の昔好きだった真理子（クラスでの「ジャイアン」男と結婚して、家庭内暴力で離婚を迷っている）と、そして今も独身で古文の花形教師としてリッチな暮らしをしている女性ケチャと、２つの違った人生を選んだ女子同級生を照らし合わせているところも面白かったです。
真理子の娘がケチャに懐いて、自分の母とケチャが小学校時代好きだった漫画が真逆である事を指摘する部分も面白かったです。

個人的に、この昔自分が好きだった女性（真理子）が私はあまり好きじゃなくてね・・・。

☆以下ネタバレです　白文字で書いています☆
この真理子、最初にカプセル開けた時から、気にくわんかったんだな。「私、あの時あなたが好きだったのよ」というのを、しつこい位に何度もアピールするんですわ。旦那と上手く行かなくなって、主人公に「お願い！側にいて！！」とかもうそりゃ～断れない位の勢いで、色々泣いて頼む訳ですよ。こんな切羽詰まって落ち込んでいる人を断れないよなあ・・・って感じなんです。で、結局殆どやっちゃうんですわ。主人公が気の毒っていうか、なんというか。以上

私は自分の小学校時代の同窓会には行ったことがなくて、毎年クラス替えがあり、５年生の時の担任の先生と友達には思い入れがあるのですが、６年生の時の担任は嫌いだったし、クラス的にも思い入れが無いんですよね・・・。
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表題作「カカシの夏休み」の他に、「ライオン先生」「未来」の３つのお話が含まれています。私が一番好きだったのは、「ライオン先生」です。

「カカシの夏休み」は、「トワイライト」と少し似た内容。なんとなく、この２つは、その後の重松さんの長編大作「カシオペアの丘で」につながる作品なのかなあ・・・という印象。
こう何度も取り上げる題材なのだから、もしかしたら重松さんは小学校高学年時代に、とっても思い入れや良い思い出があるんだろうなあ・・・と思ってしまいます。

「ライオン先生」いやぁ～なんか、ぐっと来ました。
基本的に重松さんという人は、悪く言えば、暑苦しい熱血なんだろうけど、情の厚い優しい良い人なんだろうなぁ～と思う。こんな人が先生だったら良いな～と思うんです。このライオン先生では全く感じなかったけれど、「トワイライト」や「カシオペアの丘で」などでは、大変すいませんが、ちょっとしつこいかな・・・と思ってしまう処が無きにしもあらずでした。そのしつこいかな・・・って部分は逆を言えば、人とのかかわりで、相手を簡単に切り捨てたりせず、諦めずに熱心に向かう・・って事なのかな・・とも思ったりします。私なんかは人間関係さらっと・・って生きて来ているので（多分多くの人がそうなんだと思う）、それだけに、重松さんみたいな人って、特に先生とか、小説家とか、こういう人が今いなくちゃいけないんじゃないかな！と思ったりする。

で、このライオン先生は、重松さんの分身なんじゃないかな？って（カツラの処は違うけど志とかは）思いました。　ちなみに、昔、ドラマ化してたんですね。竹中直人が主演で・・・。未見でしたが、ちょっとイメージ違うな・・。

あと、「ライオン先生」も、「トワイライト」も、リストラされる中年サラリーマンの哀愁や辛さが凄くリアルに表現されていました・・・。

「未来」
自殺しちゃった同級生が最後に電話したのは自分だった・・・。その時の自分は、姉からせかされていたのもあって、そっけなくしてしまい・・・。そしてその数年後、今度は自分の弟もが巻き込まれた同級生の自殺事件・・・。という内容。

きみの友だち、流星ワゴン
「ブルーベリー」「うちのパパが言うことには」
「カシオペアの丘で」重松清　重すぎました・・・。