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「死にがいを求めて生きているの」 朝井リョウ 感想

2019-10-17 | 小説・漫画他

朝井リョウ君の、登場人物のキャラクターや深層心理描写などは相変わらず素晴らしいです。
ぐいぐい引き込まれてしまいます。何か大きな事件があるわけではないのに。
そして「何者」でもそうでしたが、本作も最後の方で、ゾワっとする毒気がありました。

実はタイトルにソソられてこの本を読んだのですが、私が予測したというか、期待したような内容ではありませんでした。
でも面白く読ませてもらいました。
全編通して強く印象に残ったのは、死にがいというよりは、生きがい、だった気もしました。

★以下ネタバレです★
9章で、雄介が智也に語る言葉と同時進行で、録画された映像を再生して流れている無人島男の娘さんが語る父親の姿がシンクロするんですよ。
2人に共通する「順番が逆」「生きがい探し症候群」(弓削晃子が企画し、前田君が手伝っている仕事のタイトル)

〇雄介は、長老が詐欺師なのは重々承知の上の参加だった。怪しい一説に洗脳されて世界平和のためにすべてを手放そうとした過去を手に入れるために。
〇無人島男は、命の大切さに気づいた人になりたくて無人島に行った。

これは、6.7章の北大生のレイブをやってる安藤与志樹の処でも登場する「手段と目的が逆転してる」と共通しますよね
中学時代、ビブリオバトルで注目を浴びるようになったが、本が好きだったわけではなかった、国語教師の好みを分析して高く評価されるであろう本を選んで・・・の結果だった。
それを高校で同じクラスになった同級生にしっかり見透かされており、ズバリ指摘されてしまう。
「手段と目的が逆転してる」「お前、本別に好きじゃなかっただろう、グランプリ狙うならあの本だって~」と。

大学に行ってからの彼の仲間「革命家の卵たち」の面々、彼女のめぐみ(ホームレスをケアする活動をしている)などの部分は、現代のこういった活動を熱心に行っている若者たちの痛いところをつく内容で、朝井リョウ君ならではの文章でした。
きっと同級生とか周りに、こういう事をしている人が結構いて、人間観察をされていたのでしょうね。
他の小中高あたりの友人関係やスクールカースト的な部分は他の作家さんでも書いている人はいらっしゃるけど、こういう処は私は初めてこの本で読んだのもあって、興味深かったです。
昔60年代の学生紛争に燃えた人も、これに少し通じる深層心理とか、あったりしたのかな・・?

で、現在の雄介は?というと、寝たきりの智也を見守り続ける親友の役割を生きがいにしてるんですよね。
耳元でかけ続ける音楽は、智也にとっては何の思い入れもない曲を、あえて選んで流してるって・・・げっ。
以上

今回は、最初の子供時代から、ずっと北海道を舞台にしているので、札幌育ちの私にとっては、よく知ってるなーと感心する処も多かったです。綿密なリサーチをしたんでしょうね。

ただ、読み終わって初めて知ったのですが、そもそもこの小説って、「螺旋プロジェクト」っていう企画のもと、作られたそうで、それならしょうがないなあ・・・って思ったのですが、海族と山族の対立というのが、なんだか微妙な気がして。
そういう縛りがなくて、自由に書かれていたら、もっと良かったのになーなんて思っちゃいました。
とはいえ、凄く分厚い本、ボリュームも凄くて、読んだなあ!という感じでした。
最近の若者(こんな言葉使っちゃうのなんですが)の心理などを書かせたら、朝井リョウ君ほどの人は、他にそうそういないんじゃないかな。興味深く読ませてもらいました!4つ★

死にがいを求めて生きているの 2019/3/7
植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。二人の間に横たわる“歪な真実”とは?毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき・・・(amazonより)



何様
何者
桐島、部活やめるってよ
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2 コメント

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Unknown (苗坊)
2019-10-17 19:29:32
こんばんは。
私も企画ものだと知らずに読んだので、一族ってなんだろうと思いながら読み進めていました^^;
その企画は置いておいても面白かったです。
朝井さんは人の心情を書くのが本当にうまいなと思います。今の若い子はこんなに色々考えているのか?とも思ったり・・・
最終的に雄介は気持ち悪いとすら思いました。そこまでしてどうしたいの?と突っ込みましたよね。
智也は幸せになってほしいです・・・。
苗坊さん☆ (latifa)
2019-10-18 14:54:00
こんにちは、苗坊さん
私は断然智也の方が好きだなあと思って読んでいましたが、でも智也も物心ついた時から、変な思想にとりつかれてる父という壁があって、その考えを覆す、っていう人生の目的があったから、生きがいを探してウロウロすることなかったんじゃないか?って言う雄介の発言には、はっとさせられました。

でも、お父さんに毎日のように雄介の行動報告を義務ずけられるって、ありえん親ですよね・・・・。

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