儚い卒業名簿

「なんか面白い事ないかなー」

いつものように、野太い声から発せられるこの発言を聞いた瞬間、僕はドキッとした。
この発言の後、思いつきで何かしようと提案してくるんだが、実行するのはいつも僕だ。

「そうだ、この卒業生名簿から適当に選んだ人の家に遊びに行ってきて！」

もちろん僕だけを見ている。
逆らっても面倒になるだけなので、僕はしぶしぶ従った。



僕はフェンスを乗り越えると、坂の先に大きな屋敷を見つけた。
卒業名簿から適当に選ばれた彼の家である。彼のあだ名はペテン、理由は彼の父親が詐欺師という噂があるからだ。
勿論彼本人にはバレないようにしている、仲間内でのあだ名である。

僕はペテンとそこそこ仲が良かったので、問題なく家に遊びに行く理由がつけられた。
個人的にも、話した事が無い人と当たらなくてほっとしている。

ペテンの家の呼び鈴を鳴らすと、ペテンが出てきた。
とりあえず上がってよといわれたので、ペテンの家、ペテンハウスに入り、ペテンの部屋、ペテンルームに入った。
ペテンルームでゲームをしていると、ペテンルームの入り口のペテンルームドアが開き、
ペテンファザーが挨拶してきた。
この人が詐欺師という噂の父親かと思いつつ挨拶をした。
挨拶を終え、ペテンファザーがペテンルームから立ち去ろうとした時、呼び鈴が鳴った。

ペテンファザーが玄関に向かってしばらくすると、
「やめろ！！」という大きな声が玄関の方から聞こえてきた。
何があったんだろと思い、ペテンと一緒に向かうと、ポリスメン達にペテンファザーが囲まれていた。
ペテンファザーの手首を見ると、既に手錠がかけられていた。
噂は本当だったんだと思いつつ、こんな状況の時どうしていいかわからないので、とりあえずペテンの方を見た。
すると、ペテンも既にポリスメン達に囲まれていて、手錠がかけられていた。
ペテン自身も詐欺師だったらしい、これは衝撃の新事実！皆に伝えなければ！
と思ったら、僕も手錠をかけられた。
3個持ってきたので、余っていたらしい。
こんな経験なかなか出来なかったので、素直に従った。