富山のSさんはなんと小学生の頃から編み物をはじめたそうです。
強制された訳でもなく、母親が編んでいるそばで
自然と覚えていったそうです。
Sさんの母親はやさしい人で、Sさんもそんな母親が大好きでした。
楽しそうに編んでいる母の後ろ姿が、人生を語り
その後のSさんを導いてくれました。
Sさんの母親は亡くなってしまいましたが
母親の面影をさがすように、Sさんは鈎針・棒針・機械編へと進み
テディベアにもと・・・・技術を向上させていったのです。
(注文生産のテディベアは高級品だそうです)
Sさんの叔母が亡くなった時には、悲しむ女の子達に
大好きだった叔母のジャケットやコートを潰して
ベアに変身させてあげました。
大好きなおばあちゃんのコート等がベアに・・・と言うことで
今でも可愛がってくれて、話しかけてるそうです。
(おばあちゃんと話してるのでしょう)
Sさんの作るものには、愛情があふれています。
それはきっとSさんの母親が与えてくれたものなのでしょう。
微笑むクマさんは、きっと母親が
編み物をしながら振り返る
やさしい笑顔に似ているのでしょう。
小さい頃からはじめて50年以上も編み続けているSさんは
編み物界のタイガーウッズだ~
すごかったです。いい試合でした。
原監督の采配も冴えて、ヒットエンドランも決まりました。
でも、ヒットエンドランとアナウンサーがいうと鳥居みゆきを思い出し
笑ってしまうは私だけでしょうか?
セーターを製造する仕事を何年としてきて、糸というものは
単なる商売の道具としか思ってこなかったのですが、改めて
考えさせられることがありました。
大阪のMさんとの出会いです。
Mさんのおかあさんは病気で床にふせています。
近所の人にいろいろしてもらっても何も出来ない自分にふがいない
思いをしていました。
それを見かねたMさんはフリルのマフラーを色違いで何色か編んで
最後の1段だけおかあさんに託しました。
おかあさんは丁寧にそれを編み上げアイロンをかけ、ラッピングをして
近所の人に御礼として渡したそうです。
皆さんその素晴らしい贈り物に大変喜んだそうです。
Mさんの思いは、病気でふさぎがちなMさんの母の気持ちとプライドを
取り戻させ、近所の人からも大変感謝されたのです。
1段1段編み上げる作業は、相手への思いであり優しさです。
編み物はそんな愛情というものが根底にあるものだったと
改めて気づかされました。
単なる糸が愛情や優しさを注がれ、人へ感動や癒しを与える。
編み物好きな人はそんな優しさあふれる人なのだと思います。
Mさんの名刺には”糸はあなたに幸せを運ぶ”と記されているそうです。
古館ニット