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混凝土に咲く花のように


海外旅行記や国内旅行記など、数々の旅行記を連載中!
        HP『我道旅人』で更新内容をまとめて掲載

四国カルスト その3

2005年12月05日 | 四国ツーリング
山頂へと向かう早る心を抑えることができない。
薄っすらと積もる道路上の雪を避け、太陽の光を浴びて輝く場所を選び加速する。

するとふっと視界が左に傾き始めた。
真っ直ぐ走っていたつもりなのに、バイクはなぜか倒れかかる。

ズザー!!

体を地面へと激しく打ちつけられ、バイクに乗ったまま道路上を滑る。
やっちまった…

倒れた状態で数メートル引きずられ、雪の上を揉みくちゃにされようやく停まった。

何が起こったのか、理解できず頭は混乱していた。
心臓の鼓動がヘルメットの中響き渡った。
体は特に痛みなど感じずに静かである。

恐る恐る体の各所をピクピクと動かしてみる。

ちゃんと動く…

痛みも感じない…

足の骨も折れていないようだ。

「よかった…」

しかしほっとしたのも束の間のことだった。
バイクに足が挟まってしまい、立ち上がることができない。

バイクをどかせようにも、片足が挟まっているのでは力が全く入らない。
バイクは200ccのオフロードだと言ってもゆうに100キロはある。
力一杯持ち上げない限り、動かすことはできなかった。

四国カルスト その2

2005年12月04日 | 四国ツーリング
道は舗装されてはいるのだが、山道で樹木に覆われているため見通しが悪い。
そして道路上には雪がチラホラと積もっていた。
タイヤが取られそうなほど雪が積もっている箇所は、バイクから下りて引きずりながら登る。

途中国道383号の分かれ道があったのだが、30cmほどの雪が積もり通行止めになっていた。

「マジかよ…」

背筋が凍り付く…。
これから先こんな道があったら、もう先へと進めない。

幸いなことに、カルスト台地へと続く道路は大部分が除雪されていたので、先へと進むことができた。
もうここまで来てしまっては後戻りはできないな。

バイクを山奥へと進ませること数分、ついに樹海がなくなり広大な山頂が広がった。
苦労した分、山頂に辿り着いた時の嬉しさは最高だった。
道路上の除雪もしっかりできていて、空の太陽が柔らかな日差しを送り道路脇の雪を溶かしていた。

四国カルスト

2005年12月02日 | 四国ツーリング
2004年3月10日

今日は四国カルスト台地、沈下橋、足摺岬、そして高知のYHへ行こうと、時間的にかなりきつい計画を立てた。
33号、440号を時速80キロで爆走する。


最初の目的地は四国カルストだった。
途中道路工事をしている場所がたくさんあって、その度にダンプと道を競い合うことになる。

山奥へと入っていくと、大規模な工事をしていた。
僕はその工事現場を横目に通り過ぎた。

すると道路上にオッサンが立っていて、呼び止められた。

「ここから先は雪が積もってカチンコチンで危険だぞ。」

特別侵入禁止になって通れないという訳でもなさそうだ。
ここまでかなりの時間を掛けて走って来たのだから、引き返すという選択肢は僕にはなかった。

カルスト地形はオッサンの話によると、山頂が真っ白に雪で覆われている山の更に奥らしい。
僕はバイク初心者ということもあり雪に対して特別な不安もなく、何とかなるだろうという楽観的な考えしかなかった。

「どうしても行きたい」とオッサンに話し掛けると、「危なかったら引き返して、その時どんな具合か教えて」と笑い掛けられた。

四国ツーリング 徳島⇒愛媛 その4

2005年12月01日 | 四国ツーリング
道路は閉鎖される寸前だった。
工事のオッチャンは僕を待ってくれているようで、「早く通って」と大きな声で合図をした。

交通規制されている場所を、少し走るとバスが数台停まっていた。
何やらバスから人が降りている。

「ひょっとして…噂の小便小僧があるのか!」

温泉に入る前にオッチャンが「通行止めになっている間、小便小僧でも見ればいい」と言っていた。
先程「すぐに通れ」と言われたけれども、バスも停まっていることだしちょっと見てみたい!

バイクを停めると急いで人が集まっている場所へ向かう。
そこには小便小僧が崖を向いて立っていた。

なんでこんな何もない場所に小便小僧があるのか…
誰か茶目っ気のある人が作ったのかもしれない。

断崖絶壁を目の前にして小僧も震えあがったせいか、小便は出ていなかった。


こうして無事松山YHに到着した。
サイクリング部だろうか建物の前で作業していてバイクを停める場所がない。
なんだか昨日のYHと違い賑やかだ。

坊ちゃんで有名な道後温泉に行きたかったけれども、混んでいそうだし面倒なのでシャワーを浴びて寝た。

四国ツーリング 徳島⇒愛媛 その3

2005年11月30日 | 四国ツーリング
祖谷渓温泉に到着した。
温泉の前には工事のおじさんが立っていて、「これから先の道は工事中のため、だいたい1時間に10分くらいしか通れない」と言っている。
ゆっくり温泉に浸かって待つことにしようか。

会計を済ませると、ケーブルカーへと導かれる。
簡単にケーブルカーの乗り方の説明を受けた後、車内に入り、発進のスイッチを押す。
ゆっくりと崖下にある温泉目指して動き始めた。

温泉に到着する。
景色は岸壁と河に囲まれた絶景と呼べる場所に湯船があった。
さらに温泉に浸かると、肌が滑々になり驚かされた。

ケーブルカーが来る度に人が出入りしているのだが、極めつけは体育大学の陸上部の集団が入ってきた時だった。
体格がいい奴ばかりなので、すぐに湯船は一杯になる。

息苦しさを覚えた頃、気が付けば通行許可時間まであと5分になっていた。
慌てて更衣室へと上がり、ケーブルカー乗り場へと急ぐ。
しかしケーブルカーは丁度行ってしまったばかりだった。

「間に合わなかったら、更に1時間待たせられる…」

それだけは避けたい。
急いでバイクに戻るとすぐにエンジンを掛けた。
何が何でも強行突破しなくては…。

四国ツーリング 徳島⇒愛媛 その2

2005年11月29日 | 四国ツーリング
祖谷トンネルを抜けると雪が積もり真っ白だった。
空気も更に冷たくなったように感じる。
手が悴んで痛い。
通り沿いに『道の駅にしいや』があったので休憩することにした。

震える手でバイクを停め、感覚が無くなりつつある足を動かし建物の中に入る。
休憩スペースしかないようで、直売等管理している人は全くいないようであった。
オッチャンが一人ご飯を食べていた。
ちょっとした気まずさから、声を掛けずにはいられなくなり話掛けた。

「どっちの温泉が凄いですかね?」

道の駅に入る時、隣に『秘境の湯』という看板を見つけ興味を持った。
僕は今日祖谷渓温泉に入ろうとしていたのだが、秘境という言葉に惹かれどちらの温泉か迷いが生じ始めていたのだ。

「秘境の湯だったら無料入場券持ってるからあげるぞ。」

そう言うとオッチャンは財布から無料入場券を取り出した。
いきなりの展開で驚いたのだが、貰える物は全て貰う主義の僕としては当然頂く。

しかし貰ったものの、やはり祖谷のケーブルカー風呂にはどうしても行きたいので、時間があったらこの場所に戻ってくることにした。


今日の第1の目的地であった『かずら橋』に到着した。
観光名所ということもあり、賑わっていた。

周りはカップルや親子の集団で、「キャーキャー」言いながら、恐る恐る橋を渡っている。
僕は特別恐くもなく、また手を取り合って渡る相手もいないため、あっさりと渡り終わってしまった。

ちょっと物足りなく感じ、橋の下に降りてみることにした。
河原沿いにもカップルや家族連れで賑わっていた。
このような場所に来ると話合う人がいない寂しさを感じ、孤独感が嫌が上でも高まってくる。

近くにいた女の子のグループに頼み、写真を撮ってもらった。
一人で写らず他の人も一緒に入ってもらえばよかったな。

四国ツーリング 徳島⇒愛媛 その1

2005年11月27日 | 四国ツーリング
2004 3/9

寒い部屋で朝飯を食べる。
そしてロビーにいた人と話をした。

その人は「39.4℃の熱があるのだが、相棒が先に進むため今日も移動しないといけない」と辛そうに話していた。
可愛そうに思えたが、僕はただ頷くだけだった。

「お大事に。」

そう言うと僕は出発の準備をするため部屋へと戻った。
今日は松山YHまで行きたい。


国道192号を走っていると『学駅』という看板の文字を見つけた。
たしか何かある駅だったな。
急遽引き返し寄ってみることにした。

駅の窓口には合格お守りが展示されていた。
お守り袋の中に、5枚の学駅の入場券が入っている。
『5枚の入場券が入った学駅お守り』、略すと『御入学』となる。
窓口のおばちゃんと世間話をした結果、身近に受験を控えている知り合いがいなかったのだが、記念に買うことにした。


県道32号に出て、小歩危・大歩危を走る。
河の水がとても綺麗だ。

バイクを路肩に停めて河原に降りてみることにした。
水は雪解け水なのかとても冷たい。
数枚写真を撮り、船で川下りをしている人達を眺めた。

四国到着

2005年11月26日 | 四国ツーリング
2004 3/8

朝友達にスクランブルエッグと食パン2枚ご馳走になった。
すっかり社会人として生活を始めている友達が何となく遠い存在に感じる。

僕も来月には社会人としてスーツを着なければならないのか…。
押し寄せてくる時間の波に恐さを感じる。

友達は会社へ、僕は四国に向けて出発することにした。
今日は徳島まで行きたい。


道に迷いながらもなんとか明石までやって来た。
これから淡路島に渡り、四国に入る予定だ。

車の間をすり抜けて、快調に進む。
まだバイクの運転に自身がある訳ではないのに、調子に乗ってすり抜けし過ぎた。
バイクのグリップが車のミラーにぶつかり変な方向に曲がってしまった。
ヤバイ…。
軽くお辞儀をすると逃げるように急スピードで神戸淡路鳴門自動車道に入った。

明石海峡大橋を渡り、淡路島に到着した。
このまま高速に乗り続けてもよかったのだが、貧乏学生としては必要最小限に留めたい。

せっかく淡路島まで来たのだからと、橋をバックに写真を撮った。
淡路島の南端で再び高速に乗り、大鳴門橋を渡る。

混んでいないこともあり車は140キロで飛ばしている。
僕は先程と同じく隅っこで小さくなって走っていたのだが、だんだんスピードを出したくなってきた。
実はバイクで高速道路を走るのは今日が始めてだった。
己のバイクの限界が知りたい。

グリップを回す。
車体がブレ始める。
とてつもない風圧が僕を叩きつける。

ぶっ飛びそうな車体と体を抑えながら耐えること数分。
みるみるうちに島が近づいてきた。

こうして四国へとやってきたのだ。


鳴門海峡の渦潮が見たいと思い、橋の近くの公園へとバイクを走らせる。
しかし渦潮はどこにあるのか分からなかった。
本当に小さいものなのだろうか。

今日の宿である徳島YHに到着した。

下駄箱を見ると靴は1つしかなかった。
今は寒いから観光シーズンではないのかもしれない。

教えられた部屋へ行くと大学生が一人テレビを見ていた。
話を聞くと四国を自転車で回っているらしい。
疲れているのだろうかテレビを消すとすぐに眠ってしまった。

風呂場でBALIUSに乗ってツーリングしている人と出会った。
湯船に浸かりながらバイク話で盛り上がった。
旅の出会いは本当に楽しいものである。

四国ツーリング 岐阜⇒大阪

2005年11月23日 | 四国ツーリング
2004年3月7日

朝大阪にいる友達に連絡を取り、先輩達と別れた。
今日の目的地は大阪だ。

最終目的地である四国へと目指すのだが、そこまでの過程もまた面白い。
少しずつであるのだが、近づいていくといった達成感を味わえる。

長良川沿いにバイクを走らせていると突然雪が降りだした。
寒い…。
スキー用グローブの中に軍手をしているのだが、手は凍りつく。
河原沿いは信号などなく、ひたすら流れに合わせ80キロで走る。

鈴鹿峠はさらにヤバかった。
雪は当たり前のように吹いていて、真っ白であった。
命からがら道の駅『あいの士山』に辿り着く。
緑茶の無料サービスがあったので、ストーブに噛り付きながら緑茶で手を温める。

テレビではタンクトップ姿のマラソン選手が映っていた。
晴れていて温かそうだな。
下界とこんなにも違うものなのか…。

確かに下界に下りると雪は降っていなかった。
しかしその代わり当たり前のように道路は混んでいた。

新大阪駅で友達と会い、家に泊めてもらった。

四国ツーリング 序章

2005年11月20日 | 四国ツーリング
四国への旅…
思い返してみれば初めから行くつもりなどなかった。
大学を卒業した先輩に久しぶりに会うために、岐阜へとバイクを走らせたのが始まりだった。

岐阜までなら下道でも1日中バイクを走らせれば着くだろう。
バイクを乗り始めて2ヶ月の僕には、岐阜に行って帰るだけで充分だった。


2004年3月5日

午前10時ヘルメットを片手にバイクカバーを外す。
まだ綺麗な俺のバイク『DJEBEL200』が姿を現した。
初めて買った自分のバイクに惚れ惚れと眺めながらセルを引きエンジンを温めた。

少し遠出するので、途中でバイク屋により簡単にオイル関係を見てもらう。
こうして不安なまでも、ようやく旅の準備が完成した。

静岡にある後輩の家を最初の目的地として出発する。

辺りはすっかり暗くなり、真冬の冷気が僕を襲う。
体が心底冷えきった時、ようやく後輩の家に到着したのだった。

時折コンビニに立ち寄りコロッケやホットコーヒーを飲み温まりながら更に先を急いだ。
結局真夜中に岐阜に到着した。
先輩は仕事帰りで疲れた様子であったが、温かく僕らを迎えてくれた。

次の日はミイラを見ようと神社へ出向いたり、温泉に浸かるなどして過ごした。

さてこれからどうしようか…。

岐阜から元来た道を引き返し帰路につく予定だったのだが、だんだんここまで走ってきたのが勿体無いように感じ始めた。
どうせ学生なのだ、時間は腐るほどある。
途中で嫌になったらフェリーに乗って帰ればいいことだ。

岐阜よりももっと遠くへ行きたい。
大阪・神戸・京都…いやもっと遠くがいい。

できるなら四国に行ってみたい。
なぜ四国なのか分からないが、どうしても四国に行くことが適切に思える。

悩んでいても仕方ない。
いざ四国の地へ!