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混凝土に咲く花のように


海外旅行記や国内旅行記など、数々の旅行記を連載中!
        HP『我道旅人』で更新内容をまとめて掲載

帰り道

2005年12月17日 | アンコールワット旅行記
帰り道やるせない気持ちで車に乗っていると、とある民家の中に入り停車した。

運転手の家はもっとGHよりだったので違うはず。
一体ここはどこなんだ?

不思議な顔をしながら車を降りると、運転手は「親戚だ」と教えてくれた。
お父さんは張り切って近所の家にあいさつをしに行った。

お父さんはこのためにこのベンメリアツアーに参加したのだろうか。

ココナッツの木が一本、庭にあったので下から眺めていた。
どうやってこんな木を登るのだろう。

この木に登るのはコツがいるみたいで、登るための道具を家の人に見せてもらった。
「どうやって使うのか?」と言ってみたのだが、結局登り方を教えてくれただけで、実際に登ってくれなかった。

運転手が串に刺さったモノを持ってきた。
ひと口食べてみると、パリパリに焼けた皮の中に香草と肉を練りこんだものが入っていた。
甘口醤油でその肉に味を付けてあった。

串をひっくり返してみると中心にうっすらと背骨のようなものがある。
これはカエルだったのだ。

ダテチンが「カエルを食べたい」と言っていたのをちゃんと聞いてくれていたのだ。
運転手の親切な気持ちが嬉しかった。
まだ時間的に早いのだが、これで終わりでも十分満足できた。

ロリュオス遺跡群 その2

2005年12月16日 | アンコールワット旅行記
最後の遺跡はもう始めから中へ入る気がなかった。
適当に歩き回っていると、物売りが「ジュース入らないか」と付きまとってくる。
俺は「いらない」と断ると、「ガイドにジュースあげなよ」と言う。
余計なお世話だ。
あまりにしつこいので少し頭にきて無視した。

結局やることもないので、他の店でジュースを飲むことにした。
するとさっきのしつこかった店の女の子が怒り出した。

ヒロさんやマミさんはその店でジュースを飲み、女の子と仲良くなっていた。
すっかり俺達は嫌われ者だな…。

ロリュオス遺跡群はいまいち面白くなかったので、これでツアー終了というのはまだ納得できなかった。
だけれども、もう行く場所がない。
このままGHに帰るしかないのか…。

ダテチンが「カエルを食べたい」と運転手に話掛けていた。
運転手はその言葉を聞き流している様子だった。

ロリュオス遺跡群 その1

2005年12月12日 | アンコールワット旅行記
ロリュオス遺跡群に辿り着く。
しかし見るからに大したことなさそうだった。
観光客もほとんどいなく、周りの店も暇そうにしている。

それなのに中に入るにはアンコール遺跡群の入場券が必要みたいだ。
昨日の分しか入場券を買っていなかったため、俺とダテチンは中に入れなかった。

だがそこで簡単に諦めてしまう俺ではない。
ただ『正面から中に入れなかった』が正確な表現だ。
ダテチンを誘い、壁沿いに裏側へと回る。
すると思ったとおり、中に入れるではないか!
ただし中に入っても見所があまりなかったためすぐに車へと戻ったのだが…


次なる遺跡へと移動する。
するとここでもまた係員がいて、入場券を見せなければ中に入れてくれないようだ。
先程みたいに壁づたいに行っただけでは、中に入れそうにない。

別の手段が必要だった。
この遺跡周辺は物売りが激しい。
そこでわざと物売りを引き連れ、囲まれながら知らないうちに中へと入ってしまう作戦でいこう。

物売りを引き連れゲートへと向かう。
係員から遠い位置から入ろうと試みたのだが、入場する人が少ないのではうまく行くはずもない。
係員がこちらに注目して見張っていたので、そのプレッシャーに負けてついに入ることができなかった。

「賄賂でも渡せば多分入れてくれるだろうけどね。」

ダテチンが画期的なアイデアを出した。
しかし実際に行動に移そうとしたのは俺だけで、ダテチンは冗談のつもりで言ったみたいだった。

食堂にて

2005年12月10日 | アンコールワット旅行記
運転手とお父さんは食堂のイスに腰掛け、店の人達と盛り上がっていた。
俺達も氷の入った水槽から缶ジュースを選び、テーブルに着く。

まだ太陽も高い位置にあり焦って帰る必要もないからか、すぐ出発しそうな気配がない。
そこでジュース片手に地球の歩き方をポケットから取り出した。

河の水面にある壁画がベンメリアにあると思っていたのだが、歩き方をよく読むとクバール・スピアンという別の場所だということに気付いた。

そこで運転手にクバール・スピアンまで連れて行ってもらおうと交渉する。
しかし「そこは橋が壊れてしまい車では行けない」とあっさり断られてしまった。
同じく東洋のモナリザと言われるバンテアイ・スレイも橋を通らないと行けない場所にあるらしく無理とのことだった。

ヒロさんは「もうこれでシェムリアップへと戻るのは物足りない!」と愚痴を言い始めた。
ベンメリアは確かに一見の価値はあった。
しかしここまで走ってきて帰るには、終わってしまった今となれば少し物足りなさを感じる。

地球の歩き方をパラパラめくり、必死でこれから行けそうな場所を探す。
するとベンメリアとシェムリアップの間にロリュオス遺跡群と掛かれた文字を見つけた。
あまり面白そうではないが、こうなってしまったらどこでもいいので連れて行ってほしい。
運転手に必死になって頼み、なんとか了解を得たのだった。

ベンメリア その3

2005年12月07日 | アンコールワット旅行記
建物の中はとても静寂に満ちていた。
静か過ぎて当時の人が今でもこの場にいるような、そんな息遣いが聞こえる。

暗い回廊を歩いていると、通路の脇からお坊さんが現れる。
互いに「やあ」と挨拶を交わす。
「今日はお勤めかい?」などと今日の予定を語り合う。
そんな日常のありふれた場面に出くわせそうな錯覚を受けた。

すっかり僕はこのベンメリアの虜になってしまった。
一緒に回ったメンバーも常に興奮して、「スゲー、スゲー」と絶えず感嘆の声をあげていた。

このベンメリアは日本人の他に観光客があまり来ないようだ。
ワビやサビなどを好むのは東洋人独特のものである。

苔の生した回廊の天井から光が漏れた。
建物の輪郭だけがシルエットで浮かび上がる。

一通り周り入り口へと戻ってきた。、
すると俺達の前を歩いていた奴等が、案内料を払えと手を差し出してきた。

「なんだよ!ゆっくり見れなかった上に金も請求してくるのかよ!」

ヒロさんはややキレ気味だった。
せっかく感動的なものを見れたのに、最後はその余韻に浸る楽しみがなくなっしまった。

俺としては金を払うつもりはなかったのだが、しつこいので一人2000リエルずつ、計2ドルを払った。
いらないものは始めから断り、金を払わないことを示す必要があった。

ベンメリア その2

2005年12月06日 | アンコールワット旅行記
運転手とお父さんは案内してくれる訳でもなく、一目散に食堂へ向かった。
お父さんはベンメリアが見たいから同乗したのではなかったのだろうか…

気を取り直し4人で建物の入り口へ向かう。
入り口にいた制服を着た人達が案内をするかのように先頭を歩き始めた。

アンコールワットはかなりの部分が修復され整備が行き渡っていた。
そのこともあって世界各地からたくさんの旅行者が訪れ、アンコール王朝の存在やその宗教的な意味よりも、観光用に展示されている建物という雰囲気が少なからずあった。

一方ベンメリアはどうだろうか。

大枠は残っているとはいえ壁は崩れ落ち、通路はなくなっている。
建物の至るところに苔や木が茂り、空気に溶け込んでいた。
遠い昔の記憶や思いをその地面に落ちたひとつひとつの壁石から感じられる。

もちろん文化遺産という観点から見たら、残すことに意味があるのは当然のことであるのだが、永遠に続くものよりも、一時の輝きで消えていくものの存在の方がとても素直に思えた。

ベンメリア その1

2005年12月03日 | アンコールワット旅行記
こうしてベンメリアに到着した。
とても長い道程だった。
シェムリアップから2・3時間も走ったのだ。

車は入り口付近の大きな空き地で停車した。
そこには日本語で掛かれたバスが2台停まっていて驚かされた。
誰も来ないような秘境かと思ったら、同じ日本人がこのような大きなバスで来ているとは…

そういえば日本でパンフレットを見た時、このベンメリアのことが書いてあったことを思い出した。
まだ観光地化されていないといえども、ツアーでも来れるのだ。
何だか肩の力が抜けた。

ベンメリアの入り口を目指し、林に囲まれた一本道を歩く。
この場所は観光地化されつつあるといっても、まだ人が少ないため一歩道を外れると地雷が埋められている可能性がある。
開けた道を歩けば地雷がないことを理解してはいるのだが、腰が引け一歩一歩緊張しながら足を運んでしまう。

ヘビの形をした石像が両脇に現れ、更に奥へと進むと苔や樹木に覆われ崩壊した建物があった。
その苔に生した緑の壁はカンボジアの熱い太陽光を浴びて輝いていた。

ベンメリア目指して その4

2005年11月28日 | アンコールワット旅行記
お腹も膨れて再び出発する。
シェムリアップから遠ざかる度に、道は悪くなってきたのを感じる。
まるで激しいライブ会場にいるかのように、頭を揺さぶり動かす状態だった。

激しい窪みに落っこちるとお尻が宙を浮く。
そして車の天井に頭をぶつかり、シートへと落っこちる。

タイからアンコールワットへの道もかなりの悪路だと思っていたのだが、それとは比にならないほど道は悪かった。
再びパンクしないことを祈る。


何もない水田地帯で休憩になった。
車を降り縮こまった体の節々を伸ばしていると、子供達が近づいてきた。

小猿を抱えた子供が、他の子の頭に猿を乗せて遊んでいる。
シェムリアップに来た時も、途中の村で子供が猿を抱えていたっけ。
カンボジアでは小猿はペットとして飼われているのかもしれない。
まだ小さい稲の絨毯を眺めながら、子供達と遊んだ。

ベンメリア目指して その3

2005年11月26日 | アンコールワット旅行記
ヒロさんとマミさんは朝食を食べていないという話なので、途中食堂へと寄る。
運転手とお父さんは店につくやいなや、タイ独特の麺類を注文した。
すぐにそれは運ばれてきて食べ始めた。

その様子を見て美味しそうに感じたのか、皆同じ物を頼む。
俺はお腹一杯だったので、アイスミルクを飲むだけにしよう。

注文するとすぐにアイスミルクを店員が持ってきた。
ストローで一口飲んでみたのだが、とても甘い…。
スキムミルクを溶かしたような甘さだ。

ダテチンに麺の味見もさせてもらったのだが、これまた甘い…。
タイやカンボジアでは自分で好みの味に調製できるように、ナンプラーの他、砂糖などの調味料がテーブルの上に置いてあるだから、何もここまで甘くしなくてもいいのに…。

ベンメリア目指して その2

2005年11月25日 | アンコールワット旅行記
俺のGHと比べるといくらか高そうなホテルの前に停まり2人を乗せた。
あとはベンメリア目指して走るだけだ。

運転手がいきなり後ろを振り向き話し掛けてきた。

「私のお父さんも一緒に連れて行っていいですか?」

当初5人集める予定だったのだが、4人しか集まらなかったため、座席は1人分空いていた。
もう人数集めは終わっていたので、メンバーが増えるわけもない。
旅は多い方が楽しいので了解した。

途中で路地へと入り、家の前で停まる。
運転手がお父さんを呼びに外へ出て行く。
しばらくすると助手席からお父さんが乗り込んできた。

とてもにこやかと可愛らしいお父さんだった。
後ろを振り向き左手を上げて挨拶した。