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混凝土に咲く花のように


海外旅行記や国内旅行記など、数々の旅行記を連載中!
        HP『我道旅人』で更新内容をまとめて掲載

断続チャリ旅(気仙沼⇒平泉)中尊寺

2008年03月20日 | 断続チャリ旅(気仙沼⇒平泉)
15時10分今日の宿である毛越寺YHに到着した。

「昨日までは大混雑だったんですよ。」

ゴールデンウィークも残り僅かになり、昨日までいた宿泊客は皆帰ってしまったと宿の主人が言った。
少し寂しくもあったが、お寺なので落ち着いた雰囲気は悪くない。

荷物を置かせてもらうと中尊寺を訪れることにした。
旅の終着点に早い時間に到着すると観光する時間があるのが嬉しい。
中尊寺や毛越寺をのんびりと歩き回り、近くの温泉施設で入浴した。

宿の主人の話では、海岸沿いの道をやめて国道4号に出てきたことは正解らしい。
気仙沼よりもさらに北上していくと道は険しく、そこから4号に出ようとしても山越えが厳しいため深みにはまるところだったと言う。

「軌道修正をしては距離を稼げなかったけど、次に繋がる走りはできたんだな。」

地図を広げルートを確認する。
次こそは北海道に入ることができるのだろうか。
ロビーで宿泊客達と旅話などしながら夜は更けていった。

今回の旅は自転車がクロスバイクになったこともあり、初日から距離は出るが様々なトラブルの連続で辛い旅だった。
中でも2日目のアクシデントは本当に心身ともに一杯一杯になってしまった。
ただまだ旅は続けたいので、来年のゴールデンウィークまでに自転車を修理し、ここからまた必ず続きを始めたい。

次はどこまで行けるやら…。

断続チャリ旅(気仙沼⇒平泉)北上川

2008年03月17日 | 断続チャリ旅(気仙沼⇒平泉)
今日はもちろん飛ばそうとか頑張ろうとか、そういった気はない。
そもそも自転車のクランクがへこんでしまってはスピードなんか出やしない。
だけれでもそんなことよりも、自転車で走るという行為に、大げさなものではないのだが楽しさを見出し始めていた。

11時50分道の駅かわさきに到着する。
ゴールデンウィークということもあり、辺りは観光客で溢れていた。
自転車をベンチの脇に止め、荷物を降ろす。
今日はとても暖かく気持ちがいい。

道の駅のすぐそばには北上川が流れ、国道284号は川を渡るため大きな橋が架かっていた。
緩やかな坂道を上り、橋に辿り着くとそこから見える光景に思わずペダルを漕ぐのを忘れ立ち止まってしまった。

北上川は広い川原にU字カーブを描きながら雄大に流れ、その水面は太陽光を受け眩しく輝いていた。
胸が洗われる気持ちがした。
なぜだか知らないが胸が熱くなり自然と笑みを浮かべてしまった。

「ありがとう…」

北上川に感謝した。
こんな素晴らしい景色に出会うためにも俺はこれからも旅を続けなくては…

断続チャリ旅(気仙沼⇒平泉)駅

2008年03月15日 | 断続チャリ旅(気仙沼⇒平泉)
気仙沼市街を走りながら駅に向かう。
ボロボロではあるけれども、何とか走ることができる相棒が頼もしく思える。
もう少し走れるのではないかといった気持ちが俺の心の奥から芽生えてきた。

新幹線で帰るには一関駅まで気仙沼駅からJR大船渡線で西に移動しなくてはならなかった。

「どうせ行かないといけないなら、一関駅まで自転車で行くか。」

この先自転車旅を続けるには、勾配がきつい海岸線を通るよりも4号線に出た方が走りやすいだろう。
そのため軌道修正をするために次回ここまで自転車を運ばなくてはならなくなることを考えると非常に億劫だ。

幸い一関に続く284号はJRと途中まで並走している。
先に自転車が壊れるか体が壊れるか分からないが、駄目になったら途中で電車に乗ることだってできる。

覚悟は決めていた。
いや覚悟と呼ぶにはいささか大げさ過ぎる。
ただ純粋に今までやってきたことを無にしたくなかった。
続きをやりたかった。
今回この気仙沼で終わりにしてしまっては、間違いなく次回はない。
だからここで終わりにはできないのだ。

気仙沼駅で明日の7時27分発一関から東京までの新幹線の切符を買い、今日の宿を平泉にあるユースホステルに決めた。

断続チャリ旅(気仙沼⇒平泉)フカヒレ丼

2008年03月14日 | 断続チャリ旅(気仙沼⇒平泉)
2005年5月6日

目が覚めると体中から痛みが感じられる。
やはり昨日の事故は夢ではなかったのか。

しばらく寝床でゴロゴロしていたのだが、6時半になると起きることに決めた。
暗い場所にいつまでもいると、心まで暗くなってしまう。

今日は最寄の駅まで行って、そこから電車に乗って帰るだけだ。
何も難しいことなどない。
せっかく気仙沼まで来たのだから、朝ご飯を市場で食べてから帰ることにしよう。

一夜経ったこともあり、気持ちは穏やかだった。
自転車はペダルのクランク部分がへこみ、サドルがやぶれ、ギアチェンジがおかしくなっていたが、動かないわけではなかった。
チェーンをギアに掛けるとゆっくりと漕ぎながら魚市場へと向かう。

魚市場の食堂は8時から開くようで閉まっていた。
先を急ぐ理由はないので、50分ほど待つことにした。
市場でお土産を眺めた後、ベンチに腰掛け缶コーヒーを飲みながら待つ。

今日は本当に穏やかな一日だ。
ボケーっと海を見ていると心が洗われる感じがする。

食堂に入り、この旅の終わりを祝し奮発して2940円のフカヒレ丼を注文した。旅一番の贅沢品だ。
気仙沼は日本一のサメの水揚げ量で、そのサメのヒレを使ったフカヒレは有名だった。

丼に乗っているフカヒレの量といったら驚くほど凄かった。
今までフカヒレというと、中華街で食べたスジ状の物がスープに少し浮いているフカヒレスープしか食べたことがなかったが、このフカヒレ丼はまさにフカヒレが乗っていた。
きちんと糸ではなくヒレの原型が残ったものがこれでもかと言うほど乗っているのだ。
なんだか食べると力が湧いてきた。

断続チャリ旅(仙台⇒気仙沼)旅の終わり

2008年03月08日 | 断続チャリ旅(いわき⇒平泉)
脇道に入り住宅街を通る。
街頭が全くなくなり、本当に真っ暗になった。

悪い予兆は事前に2回もあったのだ。
だがゴールが目前に迫り気の緩みがどこかにあったのかもしれない。
自転車は走行不可能な状態に陥り、相棒を押しながら今日のゴールを迎えたのだった。

健康ランドに着くといつもどおり風呂に入り、食堂で海老ピラフを食べる。
もはやコンビニで買った雑誌を読む気などおきなかった。

もうこれで今回の旅は終わりだろう。
いやチャリ旅自体終わりになるかもしれない。
明日にでも家に帰ろうと思った。

誰かと話がしたいと思い、チョークバッグに入れた携帯電話を取り出す。
しかし地面に打ち付けられた時に壊れたようで、画面には何も映らなかった。

心が落ち着かず何もできないのだが、何もしないと余計に落ち着かない。
眠くはないのだが仮眠室へと向かい横になることにした。

「せっかくのゴールデンウィークが残り無駄になっちゃうな…」

興奮しているためすぐに眠れるわけもなく、真っ暗な中頭の中が次々に働き始める。

「面白かったのに目的地に着くことなく、いきなり終わりか…」

つい数時間前まで走っていたことを考えると旅の終わりが突然来てしまったことに頭が理解できずにいた。
旅の終わりがこのような形で迎えてしまったことに情けなさと悔しさが胸の奥から込み上げ涙が流れた。

「いったい今まで何やって来たのだろう…」

東京からここまでの道程を思い出していた。
それは今では幻かのように儚い出来事であった。
しばらくそんなことを考えていると、いつの間にか眠りについていた。