3月3日 労働法セミナーを開催しました。

2012-03-08 17:29:46 | 京都POSSEの活動報告です!
3月3日(土)に、職場うつ対策セミナーを開催しました。大阪労働者弁護団の一員として活躍されている中川拓弁護士を講師としておよびして、長時間労働や職場のメンタルヘルス対策についてお話いただきました。

最近、POSSEに寄せられる相談で特に増えているのが、長時間労働や退職強要、パワーハラスメントによってうつ病などの精神疾患を発症してしまったという相談です。そこで、職場のうつを事前に防ぐために、また、もし罹ってしまった後にも会社に責任を取らせるために必要な措置を専門家である中川弁護士に教えていただきました。

まず、職場が原因で精神疾患を患ってしまった場合に関係することになる、労災認定の基準と運用についてお話いただきました。現実には、精神疾患にかかわる労災が認められることは容易ではなく、申請数の4分の1程度しか認められていません。しかし、それでもうつ病の原因が職場にあるとして労災が認められたケースもいくつもあり、それらの具体的な事例を検討しました。例えば最近のケースとして、月に140時間の時間外労働の結果、うつ病を発症し過労自死したワタミの事件について考えました。他にも、タイムカードのない職場でうつ病になり自死した方の労働時間を、セキュリティー会社の警備記録にもとづいて算出し、仕事-うつ-自死の因果関係が裁判で認められた事案についても教えていただきました。

そして、具体的な対処法ですが、タイムカードのない職場で働いている場合、実際の労働時間を後に把握することが困難になります。そのために、自分自身で労働時間記録を残しておく必要があります。その方法はいくつかあり、①自分の手帳などにメモする、②使っているパソコンの起動時間・終了時間のログを残す、③出勤・退勤時に自分宛にメールを送る、などです。また、パワハラやその他の職場環境の問題については、スマートフォンやICレコーダーでその様子を録音するのが効果的です。実際に裁判でもこれらの証拠が決め手となって、労働者の主張が認められたケースが多数あります。

先生は、会社が適切な労務管理をしていない以上は労働者自身が自己防衛策をとる必要があり、そこでもしなにかあったらすぐに専門家に相談することが重要だと述べられました。

日々、相談を受けている私たちとしても、この職場うつの問題に取り組み、誰もが安心して働けるような職場環境をつくることが今必要になっていることだと思います。先生には、違法行為の責任を会社に取らせることができ、そのためになにが必要なのかを非常にわかりやすく説明していただけたので、今回のセミナーは非常に有意義なものだったと思います。

なお、今回のセミナーではお越しいただいたお客様に、私たちが作った「『職場うつ』対策サポートハンドブック」を配らせていただきました。このハンドブックは職場におけるパワハラや長時間労働により、大切な人がうつ病になってしまう前に周囲の人ができる対策について紹介させていただいています。セミナー当日には参加者にもご好評いただきました。ハンドブックにつきましては下記URLよりダウンロードすることができます。

「『職場うつ』対策サポートハンドブック」
http://www.npoposse.jp/soudan/sapohan.html

--------------------------------
NPO法人POSSE
■京都事務所:京都市下京区西木屋町通上ノ口上る梅湊町83-1
「ひと・まち交流館」2階京都市市民活動総合センター内NPO法人POSSE
TEL/ FAX:075-365-5101
E-mail:kyoto@npoposse.jp
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/kyotoposse
■東京事務所:東京都世田谷区北沢4-17-15ローゼンハイム下北沢201号
TEL:03-6699-9359
FAX:03-6699-9374
E-mail:info@npoposse.jp
HP:http://www.npoposse.jp/
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/posse_blog
■仙台事務所:仙台市青葉区一番町4-1-3 仙台市市民活動サポートセンター
TEL:080-3243-7051
mail:sendai@npoposse.jp
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/sendai-posse

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。