天候:/
行程:起床3:00-シプトン・キャンプ出発3:30-ポイント・レナナ(4,985m)6:30~50-シプトン・キャンプ8:30
午後、バティアン取付き方面、標高4,300mまで偵察を兼ね、散歩。
本日は午前3時に起床の予定だったが、JUNEたちはじめ他の組は2時半頃から起き始める。
コーヒーとビスケットを簡単に口に入れ、エリックと共に3時半に出発。
既にほとんどの組が出発し、自分たちは最後から二番目だ。
小屋の外に出ると満天の星。そして前方にヘッデンの行列が続く。夏の富士山と同じだ。
出発時、キャンプではそれほど寒さを感じなかったが、高度が上がるにつれ寒さが厳しい。
ウェアはpatagoniaのナノパフ・ジャケットも着込んでいるのでまぁ大丈夫だが、手と足先が冷たくなってくる。
昨日降った雪はやはり少し積もっていて、軽アイゼンもいらない程度だが、所々凍っている。
エリックが「ポレポレ(ゆっくり)」と言ってスローペースを保ってくれるので息が続かないことはないが、それでも結構シンドい。
レナナはキリマンジャロ同様、標高の高いハイキングとタカをくくっていたが、ちょっと甘く見ていたか。
先に出発したJUNEたちに追いつくかと思ったが、まったく追いつかない。日本でもオバちゃんらのツアーがこのレナナには結構登っているようだが、女性はホント強いと思う。
後半、少し岩が出てきて、傾斜もキツくなってくる。
プロトレックの高度計を見ながら登るが、まだまだ時間はかかりそうだ。東の空がいつの間にか明るくなってくる。
この分では頂上での日の出に間に合わないんじゃないか。少々アセるが、ペースを速めるわけにはいかない。
ちょっとした岩陰を回り込むと、意外にも頂上は近づいていて、頂上の標識とケニア国旗が見えた。
ワイヤーの張られた岩を伝って、最後に短い鉄梯子を登ると、そこが頂上の一画でちょうど日の出が始まったところだった。
またしてもエリック、グッド・タイミング!
point Lenana of Mt.KENYA (4,985m)
この朝、頂上にいたのは20~30人ほどか。
しばらくカメラで周りの景色を撮りまくる。
先に到着していたJUNEとも再会。
寒いからか、それとも感動しているのか、本人は気付いてないのかもしれないが目から涙がこぼれていた。Congratulations!
南東側の風の当たらない岩陰で一休み。雲海さえ無ければ遠くにキリマンジャロが見えるらしいが、本日は残念ながらダメ。
でも満足だ。
頂上にいたのは20分ほどか。
陽が昇ると同時に暖かくなってきたので、自分一人だったら一時間ぐらい居たかったが、ここはガイドのエリックに従わなければ。
8年もガイドをやっているエリックにしてみれば、長居は無用だろう。
レナナ頂上から見るケニア山第二の峰ネリオン南東壁。バティアンは背後に隠れて見えない。明日は向こうだ!
それにしても良い天気だ。
正面にはケニア山第二のピーク、ネリオン(5,188m)の南東壁が鋼鉄の壁のように見える。
ケニア山はバティアン、ネリオン、そしてレナナの三峰が主なピークのように思われているが、結構広い範囲で尖ったピークが散らばっている。アメリカのモニュメント・バレーのような赤褐色の岩峰が多い。
下りではエリックは正規のルートを外して、適当に雪混じりの斜面をヒール・ステップで下っていく。
クライミングに来たという中高年ジャパニーズがどれほどのもんか試しているのか。
グズグズの雪と岩の斜面を適当に下っていくと、ようやくジャイアント・ロベリアの群生するトレイルに出た。
そばには清流が流れていて、これがナンユキ・リバーの源流とのこと。
ほとんどのパーティーはこのまま下のキャンプまで下山。JUNEも別ルート(西側のチョゴリア方面)へ下ってしまった。
シプトン・キャンプに戻って朝食。相変わらず食欲がない。日本のインスタント食を持ってこなかったのは失敗だ。
エージェントのクリスのプログラムでは、今日はこれから南東側のオーストリアン・ハット(約4,700m)に移る予定だったので荷作りしていると、南側はこの季節、雪が多いので明日のバティアンもここをベースにするらしい。
どうもクリスは山のことを知らな過ぎる。そのため無駄なことが多い。
今日は午後からテクニカル・ガイドのキムが装備を持って上がってくる。
天気も良く、朝も早かったので、キャンプ裏の高台で現地ポーターらとのんびり日向ぽっこ。
白人らは上半身ハダカ、ショート・パンツ一丁で日光浴している輩もいる。
しかし、いくら快晴無風とはいえ、ここは標高4,200m。それなりに空気は冷たい。ヤツらの皮膚は一体どうなっているのか?
午後からは一人散歩に出かける。
高度順化のため、少しでも身体を動かしておいた方がいい。
キャンプから真っ直ぐバティアンの方へ向かって延びるトレイルを上がってみる。
源流沿い、ジァイアント・ロベリオの群落を抜けるとやがて森林限界となり、辺りは岩とザレの世界となる。
ずっと右側にトレイルが見えたので途中からトラバース、さらに詰めていくとようやくバティアン北壁のトポと取付地点が照合できた。
見た感じ、ルートは複雑で険しそうだが、グレード4級なら自分でも何とかなるはず。
しばらく取付付近を眺めていると小さく2人×二組のパーティーが降りてくるのを確認。
完登したのだろうか?
時間的には早過ぎるような気もするが。
毎度のように午後になると下の方から雲が広がってきたので、一旦キャンプに下りる。だが、この日は結局降らなかった。
Getting better? でもエリックはTomorrow never knows.と言う。
夕方、キムが上がってくる。
さっそく明日の本チャンに備えてスケジュールと装備を確認。
肝心のコールはこんな感じ。
まずキムがリード、ビレイ点に着いたら「Safe」。私が「Belay off」
キムがビレイの用意が出来たら「Come」、私が「Climbing(登るぞ)」と言ってフォロー。
ラッペル(懸垂下降)時は、キムが先に降りて下に着いたら「Free(解除)」。それを受けて私が「I go down.(降りるぞ)」
これだけだ。
その後、キムが持ってきた装備を見せてもらった。
ロープもカムも年季の入ったものばかり。事前の話ではロープは新しいものという話だったが・・・?
それにしてもカムやナッツもこんなに持っていくのか。
しかもロープは9mm×60mを2本だが、そのうち1本はラッペル用で「お前が持て。」と言う。
外国でのガイド登山を知らないので何とも言えないが、少なくとも昨年のカナディアン・ロッキーではクライアントにロープなど持たせていなかった。ま、いいけどね。
さらにルートの確認。
海外ネットからコピーしてきたトポを見せる。そこには所要10時間とあった。
キムが言うには、速ければ登り6時間、下り4時間。遅いと登りだけで10時間かかるとのこと。
「本当にそんなにかかるのか?頂上まで行けるかな?」と訊ねると「Depend you.(お前次第だ)」
そして「Summit is not must.Try is important.(頂上は必ずではない、トライすることが大事なんだ)」と。
まぁおっしゃることはもっともだが、せっかくここまで大枚はたいて来たんだ。何とかバティアンに登りたい。
キムの話を聞いていると、天候にも左右されるので登頂率は50%ぐらいか。
その後、先ほど取付付近で見たスペイン人(?)パーティーからルートの様子を聞くことができた。
30代ぐらいの男女ペアでどちらもスポーティーな体形をしており、見た目5.12ぐらい楽勝といった感じ。
ただ本日は昨日の雪がクラックに詰まっていて、結局標高5,000mぐらいの所で敗退したらしい。
「Tomorrow I try.」と言うと「I think the snow will be melted at tomorrow.(たぶん明日は雪は溶けているよ)Good luck!」と言ってくれた。
よーし、日本代表? (キャンプには私しか日本人がいないので)の意地を見せてやるぞ!
写真集 2014ケニアの旅vol.3 レナナ峰とシプトンズ・キャンプ
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レナナはネットで検索すればその記録は山のように出てきます。
技術的にはまったく問題の無い普通の山登りで、条件さえ良ければほとんど途中リタイアする人はいないのですが、やはり息が切れて、また朝は結構冷えました。
こちらを先に登っておいて良かったです。