五行詩「薫風」詩人・田中薫の「鄙びた日記」

五行詩詩人・田中薫のいろは雑感を綴ります。「ひなびた・にっき」を綴ります。

美しい字は魅力的ですし、そのお人の心が見えます。

2008年11月08日 14時01分50秒 | 雑感
製本作業の最後の工程です。
友禅和紙を詩集の長さに合わせた
短冊切りしたものを、ボンドでのり付けして、
詩集の背表紙に貼っているところです。
これで、一冊の本が完成します。
いろんな工程作業がありますが、
一番緊張する場面かも知れません。
ようやくまとめ上げた冊子に、
最後の仕上げ作業です。
冊子にお化粧してあげるのが、
この背表紙の貼り付けです。

この友禅和紙を背表紙にしたことで、
かなりきれいに仕上がりますし、
見栄えが良いので、中身以上に、
高級感といいますか、お上品に見えます。
見た目の効果といいますか、
どんな物であれ、見栄えは、第一印象は大事だと
思っています。
それに伴って中身も、同様に高まるといいますか、
比例して良くなるのかも知れません。
「形から入れ」という古語がありますが、
言われていますが、
それらしく見える形は大切なものです。
手紙で申せば、
和紙の便箋ならば、和紙の封筒。または、
それに近い雰囲気を持った封筒が似合うし、
水性のボールペンよりは、筆ペンが良いといった感じ
ではないでしょうか。

それらしくあれ、というのが、
基本の美しさかも知れません。
物の価値や価格の問題ではなく、
心の構えとしての美意識です。

美しさとは、お金をかけて出来るものではなく、
意識の問題として、いかに自分の力に見合った中で、
より美しさを求めるか、ではないかと。

字でも下手よりも、上手な方がいい。
字の美しさが、心の美しさと比例するものだから。
昔は、平安時代、それ以前以後からも。
淑女の紳士であれ、書の美しさを極めたものです。
それが当たり前であつた。
人間の素養として、修養としての手習いでもあった。
自分も人様のことは言えないけれど、
もっと自分に合った字の美しさを求めたいと思う。