ゆで卵が
できるまで
深夜キッチンに立つ
ラジオから
ジャズが聴こえる
ふたつの卵は
音楽に乗って
軽いステップを踏み
世の中の
憂さを晴らしてる
コポコポ
カツカツ
楽しむことで
乗り越えられる
こともある
開演時間15分
キッチンは
小さなキャバレーに
なった
セミの声が
聴こえると
夏の風情を感じる
「暑いですねー」
なんて挨拶も
映画のワンシーンのよう
百日紅の花は咲き
瞳は構図を
きめる
閉店作業も
最終のバスが行くと
詩的にさせる
今日をふりかえり
愛のあるものを
お月さまに
報告する
物語はつづく
黄昏の歩道橋街はちいさな宝石箱
不思議ね
普段はこの中で
もがいてるのに
こんなに
綺麗
きっと
散りばめられた
輝きのひとつひとつに
物語があるのね
パールの涙が
溢れたら
歩いて行こう
歩いて行こう
新しいメガネを
買うことにした
色々試着して
淡いピンクのフレームに
決めた
これから
どうぞ
よろしくね
瞳の
額縁よ
ここから見る
世界や
眼差しが
ほんのちょっと
優しくなる
ことを
期待して
あえて
不得意なこと
やってみようかな
くりかえし
くりかえし
ピアノもそうなんだけど
掃除も料理も
そうなんだけど
コミュニケーションも
生きることだって
そうなんだけど
やってみようかな
失敗しながら
間違えながら
生まれ変わりながら
くりかえし
くりかえし