7月に受講した「大学図書館職員長期研修」のレポートを以下に掲載します。
参加者に義務付けられているものです。他の参加者も興味深い記事を書かれています。
私のものについては、やや論理が飛躍しているとのツッコミもあるかもしれません。
お気づきの点はどうぞお教え下さい。
(追記)
こちらに本文があります。
http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/bitstream/11094/14194/1/201107_ChokenRep23.pdf
(参考)
大学図書館職員長期研修のサイト
www.tulips.tsukuba.ac.jp/pub/choken/
---------------
大阪大学総合図書館の入館者数等の推移
--現状の分析からサービス環境向上のヒントを考える--
大阪大学 附属図書館 利用支援課
久保山 健
1.はじめに
大阪大学総合図書館では、耐震改修工事に伴う2009年6月のラーニング・コモンズのオープン後、入館者数や貸出冊数が増加したが、本稿では、身分別の内訳などを見ることによって、それらの数字から示唆されることを考察する。
要点は以下の通りである。
・入館者数の内、学部生は急増したが、大学院生・教職員は逆に減少している。
・学部生の増加は、大学統合効果を超えている。
・学部生の貸出冊数は増加したのは事実だが、入館者数の増加よりは低い。
・総合図書館の場所としての性格が変化しつつあるのではないか。
・そこから浮かんできた課題の例示
2.近年のイベントの振り返り
入館者数や貸出冊数の分析の前に、それらに影響を与えたであろう大きなイベントを確認しておく。
・2007年度 (10月) 大阪大学と大阪外国語大学の統合
・2008年度 貸出数の上限を拡大(8→16冊)
総合図書館(当時は本館。以下、現在の名称で記載する)で耐震改修工事
・2009年度 (5月) 総合図書館の開館時間延長(授業期)
平日:21時→22時 土日:17時→19時 祝日:新規(10-17時)
(6月) 総合図書館ラーニング・コモンズ オープン
端末ゾーン、サイレントゾーンもオープン
・2010年度 (12月) 総合図書館で早朝開館の試行(8:40開館、授業期間)*)2月まで
・2011年度 (4月) 総合図書館で早朝開館の実施(8:00開館、授業期間)
3.入館者数
(1)結果
2003年度から2010年度の推移を図1に示す(* )。
2010年度の対2007年度比は、以下の通りである。学部生が大きく伸びて、逆に大学院生と教職員では微減していることが分かる。
・入館者全体=1.45 ・大学院生=0.95
・学内者=1.44 ・教職員=0.97
・学部生=1.61 ・学外者=1.78
(2)評価
学部生については、統合前の大阪外国語大学を母体とする外国語学部の学生数を考慮しても、3年間で1.61倍の伸びは大学統合効果を超えていると判断できる。また、”学内入館者数/開館総時間数” の値も、2010年度は対2007年度比で 1.30 となっており、開館時間数の増加も超えて、入館者数が増えたことが分かる。
この増加の要因として、ラーニング・コモンズが大きいことは間違いないだろうが、同エリアの座席数は全体の1割にも満たない。そうすると、端末ゾーンも含めた全体的な整備による機能の充実、従来からの利用者のための静かな学習環境(サイレントゾーン)の確保、いくつもの学習環境整備の取り組みや、関連部署との連携、そして、開かれた図書館というイメージ発信により、学部生を誘引することになったことなども要因として考えられる。
しかし、単なる新築効果も含まれるかもしれないことは、念頭に置いておくべきかもしれない。
一方、大学院生・教職員については、微減である。これは、電子リソースの利用に伴う非来館型の利用にシフトしたことが大きいと推測できるが、サイレントゾーンの設置にも関わらず、自習型のユーザをカバーできていない懸念も感じる。
また、学部生の増加率の大きさから、実入館者数も増えたと考えられるが、その比率などは不明である。
(前半、以上)
参加者に義務付けられているものです。他の参加者も興味深い記事を書かれています。
私のものについては、やや論理が飛躍しているとのツッコミもあるかもしれません。
お気づきの点はどうぞお教え下さい。
(追記)
こちらに本文があります。
http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/bitstream/11094/14194/1/201107_ChokenRep23.pdf
(参考)
大学図書館職員長期研修のサイト
www.tulips.tsukuba.ac.jp/pub/choken/
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大阪大学総合図書館の入館者数等の推移
--現状の分析からサービス環境向上のヒントを考える--
大阪大学 附属図書館 利用支援課
久保山 健
1.はじめに
大阪大学総合図書館では、耐震改修工事に伴う2009年6月のラーニング・コモンズのオープン後、入館者数や貸出冊数が増加したが、本稿では、身分別の内訳などを見ることによって、それらの数字から示唆されることを考察する。
要点は以下の通りである。
・入館者数の内、学部生は急増したが、大学院生・教職員は逆に減少している。
・学部生の増加は、大学統合効果を超えている。
・学部生の貸出冊数は増加したのは事実だが、入館者数の増加よりは低い。
・総合図書館の場所としての性格が変化しつつあるのではないか。
・そこから浮かんできた課題の例示
2.近年のイベントの振り返り
入館者数や貸出冊数の分析の前に、それらに影響を与えたであろう大きなイベントを確認しておく。
・2007年度 (10月) 大阪大学と大阪外国語大学の統合
・2008年度 貸出数の上限を拡大(8→16冊)
総合図書館(当時は本館。以下、現在の名称で記載する)で耐震改修工事
・2009年度 (5月) 総合図書館の開館時間延長(授業期)
平日:21時→22時 土日:17時→19時 祝日:新規(10-17時)
(6月) 総合図書館ラーニング・コモンズ オープン
端末ゾーン、サイレントゾーンもオープン
・2010年度 (12月) 総合図書館で早朝開館の試行(8:40開館、授業期間)*)2月まで
・2011年度 (4月) 総合図書館で早朝開館の実施(8:00開館、授業期間)
3.入館者数
(1)結果
2003年度から2010年度の推移を図1に示す(* )。
2010年度の対2007年度比は、以下の通りである。学部生が大きく伸びて、逆に大学院生と教職員では微減していることが分かる。
・入館者全体=1.45 ・大学院生=0.95
・学内者=1.44 ・教職員=0.97
・学部生=1.61 ・学外者=1.78
(2)評価
学部生については、統合前の大阪外国語大学を母体とする外国語学部の学生数を考慮しても、3年間で1.61倍の伸びは大学統合効果を超えていると判断できる。また、”学内入館者数/開館総時間数” の値も、2010年度は対2007年度比で 1.30 となっており、開館時間数の増加も超えて、入館者数が増えたことが分かる。
この増加の要因として、ラーニング・コモンズが大きいことは間違いないだろうが、同エリアの座席数は全体の1割にも満たない。そうすると、端末ゾーンも含めた全体的な整備による機能の充実、従来からの利用者のための静かな学習環境(サイレントゾーン)の確保、いくつもの学習環境整備の取り組みや、関連部署との連携、そして、開かれた図書館というイメージ発信により、学部生を誘引することになったことなども要因として考えられる。
しかし、単なる新築効果も含まれるかもしれないことは、念頭に置いておくべきかもしれない。
一方、大学院生・教職員については、微減である。これは、電子リソースの利用に伴う非来館型の利用にシフトしたことが大きいと推測できるが、サイレントゾーンの設置にも関わらず、自習型のユーザをカバーできていない懸念も感じる。
また、学部生の増加率の大きさから、実入館者数も増えたと考えられるが、その比率などは不明である。
(前半、以上)
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