とね日記

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発売情報: 新天文学:ヨハネス・ケプラー

2013年12月04日 21時32分06秒 | 天文、宇宙
新天文学:ヨハネス・ケプラー

内容紹介
惑星運動は古代ギリシア以来考えられていた円ではなく、楕円を描いていた! ティコ・ブラーエより膨大な火星の観測データの解析を託されたケプラーは、試行錯誤のはてに、コペルニクスはもとよりガリレオも前提としていた円を脱却し、 楕円軌道の発見にいたる。近代天文学への扉を開いたケプラーの第1法則、第2法則発見プロセスの全容。ラテン語原典より本邦初の全訳。

著者について
Johannes Kepler 1571.12.27~1630.11.17
1571年、ドイツのヴァイル・デァ・シュタット生まれ。テュービンゲン大学で学んだ後、グラーツの神学校で数学・天文学を教える。処女作『宇宙の神秘』(1596)に示された数学的才能を評価したティコ・ブラーエに招かれ、プラハで共同研究した成果を本書『新天文学』(1609)に発表。いわゆるケプラーの3法則のうちの楕円軌道の法則(第1法則)、面積速度一定の法則(第2法則)を確立。さらに『宇宙の調和』(1619)で第3法則(惑星の公転周期の2乗と太陽からの平均距離の3乗が比例する)を提示し、近代科学の基礎を築く。またガリレオが発見した木星の「衛星(satelles)」の命名者、星形多面体の発見者、最密充填問題の予想者としても科学史に名を残している。1630年、レーゲンスブルクにて客死。


ケプラー3部作の邦訳がついに完結した。

特に重要なこの2冊目、「新天文学」の日本語版は先月発売されたばかり。これも岸本良彦先生がラテン語から翻訳された本だ。

ヨハネス・ケプラーの業績はネット上に詳しく解説しているページがいくつもあるので、あえて僕が説明するまでもないだろう。彼が発見した惑星の運動の3法則は惑星の運動の幾何学であり、50年後にアイザック・ニュートンによって数学的に証明され力学の法則、万有引力の法則が導かれた。そしてニュートンの研究成果を集大成した著書「プリンキピア(自然哲学の数学的原理)」は近代自然科学の出発点としてあまりにも有名である。

ケプラーの法則: 解説ページ
第1法則(楕円軌道の法則):惑星は、太陽をひとつの焦点とする楕円軌道上を動く。
第2法則(面積速度一定の法則):惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は、一定である(面積速度一定)。
第3法則(調和の法則):惑星の公転周期の2乗は、軌道の長半径の3乗に比例する。

この歴史的名著が3冊とも翻訳されたことは、学術的な意味においても極めて意義が大きい。

ケプラーは多数の著作物を残したが、ケプラーの法則につながる代表的なものはこの3冊だ。(出版された年代は江戸時代が始まった頃。)

宇宙の神秘 新装版:ヨハネス・ケプラー著、大槻真一郎+岸本良彦訳」(初版は1596年、25歳のとき出版。第2版は1621年、50歳のとき出版。)日本語版は縦書き本。(レビュー記事
新天文学:ヨハネス・ケプラー著、岸本良彦訳」(1609年、38歳のとき出版):ケプラーの第1、第2法則を発表した本。
宇宙の調和:ヨハネス・ケプラー著、岸本良彦訳」(1619年、48歳のとき出版):ケプラーの第3法則を発表した本。日本語版は横書き本。

  


なお「新天文学(1609年初版)」のラテン語原典はこのページで閲覧できる。(その他の貴重書籍はこちら。)
http://www.kyoto-su.ac.jp/lib/kichosyo/kepler/index.html



関連記事、関連サイト:

宇宙の神秘 新装版:ヨハネス・ケプラー
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/f6a05c374c0716ad409f1ee2c0cef0f1

松岡正剛氏も本書についてお書きになっているので、あわせてお読みいただきたい。

ヨハネス・ケプラー『宇宙の神秘』(松岡正剛の千夜千冊)
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0377.html

Johannes Kepler info(ケプラーについての総合情報サイト)
http://www.johanneskepler.info/

ケプラーの多面体宇宙モデル(天文古玩)
http://mononoke.asablo.jp/blog/2011/07/08/5947547

日本語版「プリンキピア」が背負った不幸
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/bff5ce90fca6b8b13d263d0ce6fc134e


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新天文学:ヨハネス・ケプラー


第1部 仮説の比較について
◎ 第1章 第1の運動と惑星に固有の第2の運動の相違
◎ 第2章 離心円と周転円付同心円の単純な最初の等値とその自然学的理由
◎ 第3章 相異なる観点や量的に異なる仮説が理論上等値となり一致して同一の惑 星行路を形成する
◎ 第4章 同心円上の2重周転円ないしは離心周転円と離心円におけるエカントの 間に認められる不完全な等値に
◎ 第5章 エカントもしくは第2周転円を用いたこの軌道の配列も実際には同一(な いしほぼ同一)でも惑星を平均太陽もしくは視太陽との衝で観測するのに応じて同一の時点でどの程度まで異なる外観を呈しうるか
◎第6章 惑星の第2の不整を論証するプトレマイオス、コペルニクス、およびブラーエ説の理論上の等値 また3説を太陽の視運動と平均運動に適用したときの相違
第2部 古人の説にならった火星の第1の不整について
◎ 第7章 どんなきっかけで火星論に出会ったか
◎ 第8章 ティコ・ブラーエが観測し算出した火星と太陽の平均運動の線との衝の 表およびその表の検討
◎ 第9章 火星の黄道上の位置をその円軌道に還元する
◎ 第10章 ティコ・ブラーエが太陽の平均位置と衝になる時点を求めたさいの拠 り所である観測結果そのものの考察
◎ 第11章 火星の日周視差
◎ 第12章 火星の交点の探求
◎ 第13章 黄道面と火星軌道面の傾斜の探求
◎ 第14章 離心円の面がぶれずに平衡を保つ
◎ 第15章 夜の始めと終わりに見えた位置を太陽の視運動の線に還元する
◎ 第16章 第1の不整をうまく説明するための仮説を探求する方法
◎ 第17章 遠地点と交点の動きの一応の探求
◎ 第18章 発見された仮説による初更の12の位置の検証
◎ 第19章 大家たちの見解に従い初更の全位置により確証されたこの仮説に対す る初更の緯度による論駁
◎ 第20章 初更の位置以外での観測結果による同仮説の論駁
◎第21章 誤った仮説から正しさの生じる理由とその正しさの程度
第3部 第2の不整すなわち太陽もしくは地球の運動の研究 あるいは運動の物理的原因に関する多彩にして深淵な天文学の鍵
◎ 第22章 周転円ないし年周軌道は運動を均一化する点(エカント)の周囲に均一 に位置しない
◎ 第23章 地球から太陽までの2つの距離と獣帯上の位置および太陽の遠地点を 知って太陽(ないしはコペルニクス説の地球)の行路の離心値を求める
◎ 第24章 周転円もしくは年周軌道がエカントの点から離心していることのより 明白な証拠
◎ 第25章 宇宙の中心から太陽までの3つの距離から獣帯上の位置を知り遠地点 と太陽もしくは地球の離心値を求める
◎ 第26章 周転円が固定点つまり軸から、年周軌道(太陽を回る地球の軌道ないしは地球を回る太陽の軌道)も太陽ないし地球の本体の中心から、ティコ・ブラーエが太陽の運動の均差によって発見した値の少なくとも半分は離心していることの、同じ観測結果による証明
◎ 第27章 初更の位置ではないが同じ離心位置にある火星の別の4つの観測結果 から、地球軌道の離心値、遠日点、獣帯上の火星の離心位置と合わせて地球の各位置での軌道相互の比を論証する
◎ 第28章 獣帯上の太陽の位置だけでなく離心値1800から地球と太陽の距離も 想定し、同じ離心位置に来る火星をかなり多く観測することによって、太陽から火星までの距離と離心位置とがあらゆる所で一致するかどうか見る この議論により、太陽の離心値がちょうど1800であり、想定の正しかったことが確認される
◎ 第29章 離心値を知り太陽と地球の距離を定める方法
◎ 第30章 太陽の地球からの距離の一覧表およびその用法
◎ 第31章 太陽の離心値を2等分してもティコの提示した太陽の均差は感知でき るような混乱をきたさないこと、および4つの均差算出法
◎ 第32章 惑星を円運動させる力は源泉から離れるにつれて減衰する
◎ 第33章 惑星を動かす力は太陽本体にある
◎ 第34章 太陽の本体は一種の磁石であり、自らの占める空間で自転する
◎ 第35章 太陽に由来する運動も光のように遮蔽によって惑星に届かないことが あるか
◎ 第36章 太陽から発する運動を司る力は宇宙の広大さによってどの程度弱めら れるか
◎ 第37章 月を動かす力はどのようにして得られたか
◎ 第38章 惑星には運動を司る太陽の共通な力のほかに本来の固有な力が具わっ ている また個々の惑星の運動は2つの原因から成る
◎ 第39章 惑星に内在する力が、エーテルの大気中の惑星軌道を一般にそう信じ られているような円にするには、どういう経路と手段で運動を起こすべきか
◎第40章 物理学的仮説から均差を算出する不完全な方法 ただしこの方法は太陽もしくは地球の理論には十分である
第4部 物理的原因と独自の見解による第1の不整の真の尺度の探求
◎ 第41章 すでに用いた太陽と衝になる位置以外での観測結果から長軸端、離心 値、軌道相互の比を調べる試み ただし誤った条件を伴っている
◎ 第42章 火星が遠日点の近くに来るときの初更の位置以外での若干の観測結果 と近日点の近くに来るときの別の若干の観測結果とにより最も確実な遠日点の位置、平均運動の訂正、真の離心値、軌道相互の比を求める
◎ 第43章 惑星軌道が真円になると想定したときに離心値の2等分と三角形の面 積から立てられる均差の欠陥
◎ 第44章 第1の不整を切り離して無視し、ブラーエとプトレマイオス両大家の 説で第2の不整に由来するその螺旋の連鎖も理論的に除外しても、エーテルの大気中を通る惑星の道は円ではない
◎ 第45章 惑星が円からこういう形で外れる自然な原因について 最初の説の検 討
◎ 第46章 第45章の説によれば惑星の動きを表す線はどのようにして描けるか またその線はどのようなものになるか
◎ 第47章 第45章で得られ第46章で描こうとした卵形面の求積法試論 および それによって均差を出す方法
◎ 第48章 第46章で描いた卵形円周の数値による測定と分割を介した離心円の 均差の算出法
◎ 第49章 先の均差算出法の検証と第45章の見解による卵形軌道の構成原理に もとづくさらに整備された方法
◎ 第50章 離心円の均差を立てるために試みた他の6つの方法
◎ 第51章 各半円上で遠日点からの離隔が等しいときの火星と太陽の距離を調べ て対比する 同時に代用仮説の信頼性も調べる
◎ 第52章 惑星の離心円は太陽の周転円の中心あるいは太陽の平均位置の点では なく太陽の本体そのものの周囲に配置される また……
◎ 第53章 初更の位置の前後の連続的な観測結果によって火星と太陽の距離を調 べる別の方法 ……
◎ 第54章 軌道相互の比のいっそう精密な検証
◎ 第55章 第51、53章の観測結果と第54章の軌道相互の比から第45章で性急 に取りあげた仮説が誤りであること および……
◎ 第56章 以前に掲げた観測結果から火星の太陽からの距離はいわば周転円の直 径によって測り取るべきことを証明する
◎ 第57章 どういう自然の原理によって惑星はいわば周転円の直径上で秤動する ようになるのか
◎ 第58章 第56章で証明し発見した秤動も不適切に使用するとどのようにして 誤りが入り込み、惑星軌道が豊頬形(buccosus)になるか
◎ 第59章 周転円の直径上で秤動する火星の軌道が完全な楕円になること およ び円の面積が楕円周上にある点の距離の総和を測る尺度になることの証明
◎第60章 物理学的仮説つまり最も真正な仮説から均差の各部分と真正な距離を立てる方法 これまで代用仮説ではこの両者を同時に行えなかった ……
第5部 緯度について
◎ 第61章 交点の位置の検証
◎ 第62章 軌道面の傾斜の検証
◎ 第63章 緯度についての物理学的仮説
◎ 第64章 緯度による火星の視差の検証
◎ 第65章 太陽と合および衝となるときのそれぞれの側における最大緯度の探求
◎ 第66章 脇への最大のずれは必ずしも太陽と衝になるときに起こるわけでない
◎ 第67章 交点の位置と火星軌道面の黄道面に対する傾斜から、火星の離心値の 起点が平均太陽の位置を示す点(あるいはブラーエ説における太陽の周転円の中心)ではなく……
◎ 第68章 火星軌道面と黄道面の傾斜角は現在もプトレマイオスの時代も同一な のか および……
◎ 第69章 プトレマイオスの3つの観測結果の考察 および……
◎第70章 プトレマイオス時代の緯度と軌道相互の比とを調べるための、プトレマイオスが用いたる……
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