とね日記

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発売情報: 世界の見方の転換 1~3: 山本義隆

2014年04月21日 21時13分23秒 | 物理学、数学

世界の見方の転換 1 ―― 天文学の復興と天地学の提唱
世界の見方の転換 2 ―― 地動説の提唱と宇宙論の相克
世界の見方の転換 3 ―― 世界の一元化と天文学の改革

内容
『磁力と重力の発見』『一六世紀文化革命』、そして。「なぜ、どのように西欧近代において科学が生まれたのか」を解き明かす、近代科学誕生史“三部作”の完結篇。

1巻:レギオモンタヌスら人文主義者がその体系も復元し、数学や観測による天文学を自然哲学への有用なアプローチと位置づけることで、変革への最初の一歩を刻む第1巻。
2巻:後の天文学の劇的な展開、ひいては宇宙論と自然学の変革への助走となった、コペルニクス地動説との格闘の軌跡。16世紀が孕んでいた近代科学の胎動を活写する第2巻。
3巻:宇宙観と自然学の転回点にケプラーが登場。変革の物語はついに、物理学的な地動説と天体力学の形成にいたる。最終巻、近代科学誕生の謎を解く壮大な史観が像を結ぶ。

著者について
山本義隆
(やまもと・よしたか)
1941年,大阪に生まれる.1964年東京大学理学部物理学科卒業.同大学大学院博士課程中退.現在 学校法人駿台予備学校勤務.
著書『知性の叛乱』(前衛社,1969)『重力と力学的世界――古典としての古典力学』(現代数学社,1981)『熱学思想の史的展開――熱とエントロピー』(現代数学社,1987:新版,ちくま学芸文庫,全3巻,2008-2009)『古典力学の形成――ニュートンからラグランジュへ』(日本評論社,1997)『解析力学』I・II(共著,朝倉書店,1998)『磁力と重力の発見』全3巻(みすず書房,2003,韓国語訳,2005:パピルス賞,毎日出版文化賞,大佛次郎賞受賞)『一六世紀文化革命』全2巻(みすず書房,2007,韓国語訳,2010),『福島の原発事故をめぐって──いくつか学び考えたこと』(みすず書房,2011,韓国語訳,2011)ほか.
編訳書『ニールス・ボーア論文集(1)因果性と相補性』『同(2)量子力学の誕生』(岩波文庫,1999-2000)『物理学者ランダウ――スターリン体制への叛逆』(共編訳,みすず書房,2004).
訳書 カッシーラー『アインシュタインの相対性理論』(河出書房新社,1976:改訂版,1996)『実体概念と関数概念』(みすず書房,1979)『現代物理学における決定論と非決定論』(学術書房,1994)『認識問題(4)ヘーゲルの死から現代まで』(共訳,みすず書房,1996)ほか.
監修 デヴレーゼ/ファンデン ベルヘ『科学革命の先駆者 シモン・ステヴィン──不思議にして不思議にあらず』中澤聡訳(朝倉書店,2009)ほか.


山本義隆先生の三部作が先月刊行された。物理学徒ならば必ず読んでおきたい3冊だ。

与えられた環境と限られた命の時間という制限を持ちながら、人間はどのように自然や宇宙を解明してきたのだろうか?宗教や文化、技術は科学の発展にどのような影響を与えたのだろうか?

現代物理学だけに偏りがちなポピュラーサイエンス本の読書から一歩進んで、自然科学史への理解を深めてみよう。出版されては消えていく多くの科学教養書とは違って山本先生の著書は後世に読み継がれていく名著ばかりだ。

一般向けの科学教養書としては中級レベル以上なので、学ぶことに貪欲な方に特にお勧めしたい。自分がいかに無知であるか思い知ることになるだろう。


以下、先生の既刊本も含めて紹介しておこう。


一六世紀文化革命 1
一六世紀文化革命 2

内容
本書の主題は活版印刷の草創期、一六世紀ヨーロッパの科学と技術と芸術。大学アカデミズムや人文主義者を中心としたルネサンス観に対し、商人や技術者の実践に焦点をあてる。文書偏重から経験の重視へ、ラテン語から俗語による出版へ、教会による支配を中心に厳然たる差別構造があった時代に、いったい何が起こり、どのような結果を次の世紀にもたらしたか。綿密な文献を読み込み新たなルネサンス像を提示した本書は、われらの時代への批判でもある。全2巻同時刊行。

1巻: 大学アカデミズムや人文主義者を中心としたルネサンス像に抗し、16世紀ヨーロッパの知の地殻変動を綿密に追う。『磁力と重力の発見』から4年、画期的書き下し。

2巻:文書偏重から経験重視へ、ラテン語から俗語による出版へ。技術者・商人・外科医・芸術家たちの実践と17世紀科学革命の関係を明し、その時代と可能性を映す。


磁力と重力の発見〈1〉古代・中世
磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス
磁力と重力の発見〈3〉近代の始まり

内容
1巻:古代以来、もっぱら磁力によって例示されてきた“遠隔力”は、近代自然科学の誕生をしるしづける力概念の確立にどのように結びついていったのか。第2巻では、従来の力学史・電磁気学史でほとんど無視されてきたといっていいルネサンス期を探る。本書は技術者たちの技術にたいする実験的・合理的アプローチと、俗語による科学書執筆の意味を重視しつつ、思想の枠組としての魔術がはたした役割に最大の注目を払う。脱神秘化する魔術と理論化される技術。清新の気にみちた時代に、やがてふたつの流れは合流し、後期ルネサンスの魔術思想の変質―実験魔術―をへて、新しい科学の思想と方法を産み出すのである。 「遠隔力」の概念が、近代物理学の扉を開いた。古代ギリシャからニュートンとクーロンにいたる科学史空白の一千年余を解き明かす。西洋近代科学技術誕生の謎に真っ向からとりくんだ渾身の書き下ろし。

2巻:古代以来、もっぱら磁力によって例示されてきた“遠隔力”は、近代自然科学の誕生をしるしづける力概念の確立にどのように結びついていったのか。第2巻では、従来の力学史・電磁気学史でほとんど無視されてきたといっていいルネサンス期を探る。本書は技術者たちの技術にたいする実験的・合理的アプローチと、俗語による科学書執筆の意味を重視しつつ、思想の枠組としての魔術がはたした役割に最大の注目を払う。脱神秘化する魔術と理論化される技術。清新の気にみちた時代に、やがてふたつの流れは合流し、後期ルネサンスの魔術思想の変質―実験魔術―をへて、新しい科学の思想と方法を産み出すのである。 脱神秘化していく魔術と、理論化される技術。ルネサンス期に「遠隔力」概念を担った「実験魔術」とは? 新知見ときめ細かな論証、ダイナミックな歴史の描出。西洋近代科学技術誕生の謎に真っ向からとりくんだ渾身の書き下し。

3巻:近代物理学成立の真のキーは力概念の確立にある。そこから“遠隔力”概念の形成過程を追跡してきた長い旅は、第3巻でようやく近代科学の誕生に立ち会う。霊魂論・物活論の色彩を色濃く帯びたケプラーや、錬金術に耽っていたニュートン。重力理論を作りあげていったのは彼らであり、近代以降に生き残ったのはケプラー、ニュートン、クーロンの法則である。魔術的な遠隔力は数学的法則に捉えられ、合理化された。壮大な前=科学史の終幕である。近代自然科学はどうして近代ヨーロッパに生まれたのだろう。つきせぬ謎に挑むケース・スタディとして、力概念の形成過程を追跡した心躍る「前」科学史。西洋近代科学技術誕生の謎に真っ向からとりくんだ渾身の書き下ろし。


古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ

内容
「ニュートン力学」と称される古典力学は、ニュートン以後のヨーロッパの数学者たちによる協同作業で形成されていったものであった。最新の科学史学を踏まえた、近代自然科学理論生成の物語。


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