葉月の季まぐれノート 花と木と…時々五七五

日々の思いを気まぐれ、季まぐれに綴る。時々自己満俳句やります。

堂籠り

2021年11月30日 | 日記







神迎う 怪しき今朝の 空模様










灯籠の 出番無くす 寒雨無情




    





土砂降りの 雨は清めか 神迎え









堂籠りとは、鎮守社の境内で、火を焚き、出雲大社に集まっていた、氏神さまを出迎える行事。

毎年11月の最後の日に行われる。
筑後地方では、我が地域だけではなく、割とあちこちであるらしい。

今年は、初めての試みで、神社へ向かう道の両端に、子どもたちが和紙に描いた絵を貼った灯籠を、並べるという。
10月末から、我が孫たちにも、じいじからの依頼で、灯籠の絵を描くことになった。

当初ぐずぐずと、あまりやる気もなかった孫たちだったが、11月に入り、締め切りが迫ると俄然、やる気を出し二人で描きはじめた。
ドラえもんと、すみっコぐらし(笑)
じいじ絶賛の、その絵は地区の役員さん達が、灯籠に貼り仕上げ、地区公民館の舞台隅に並べられ、出番を待っていた。

孫達は、この日を楽しみにしていたようだ。
薄暗くなり始めた道沿いに並ぶ、自分たちが描いた絵の灯籠、中に設置した蝋燭に火が灯り、幻想的なその景色を見るのを。
特に小三の孫娘は、ばあば、学校から帰ったらすぐ行こうね!もうご飯なんか、なんでもいいよ。カレーでいいよっ。と、この子なりのシミュレーションをたて楽しみにしていた。

ところが、二、三日前の天気予報で、30日は、午後から100%の雨、となっている。 
それでも外れる可能性もあるし、夕方だけでも、並べられれば…。
願いは虚しく。
朝は、ぎりぎりの薄曇り。でも予報は変わることはなかった。間違いなく雨は降るだろう。
小三の落胆と言ったら…。

灯籠の写真は、撮ってくるからね、と登校する孫娘に言い、見送る。

夫も、写真を撮ってやらなきゃな、と地区公民館に、お昼過ぎ二人で出かける。

公民館の大広間の舞台から、孫たちの灯籠をおろして、激写した。
やれやれ可哀想。あんなに楽しみにしていたのに。

撮り終わり、夫が元の場所に灯籠を戻して、公民館を出た時、もう雨は本降りになっていた。

予報通りの、冬の嵐。風雨ともに強い。時々雷もなったが、孫たちの下校時は、小康状態。

夕方からはまた、雨、風強くなって来た。
孫娘は、写メを見て一応満足したよう。
「来年もあるからね。」と潔い。

こんな天気でも、やはり神社の行事は欠かせない。
堂籠りの儀式は、予定通り行われたよう。
我が家の庭から、神社の火がうっすらと見えた。







30年前のエレクトーン

2021年11月29日 | 日記






久し演奏 ダウンジャケットの母









伴奏は 子の指に添え 冬の夜











甦る エレクトーンの音 冬銀河





小学校の六年間、正しくは五年半。娘(孫たちの母親)はエレクトーンを習っていた。
当時は、ちょっとしたエレクトーンブーム。
ピアノよりエレクトーン、特に女の子はそちらが多かったと記憶している。
ピアノにはグレードでは劣るが、二段の鍵盤、足元のペダルも沢山あったり、さまざまな伴奏もしてくれる。
工夫や練習次第で、流行りの曲が自在に弾ける、という魅力があったのだろう。
我が娘も、友だちに影響され、エレクトーンの方が絶対良い!と習い始めた。
小三の四月に、父親の転勤で大分へ転校する事になったが、そこでは都合の良い教室がなく、やむ無く、先生が家に訪れての個人レッスンとなる。
若い可愛らしい先生と、相性は良かったようだ。
初めての発表会では、先生が舞台裏で、出番までしっかりと手を握っていてくれた。だからあまり緊張しないで出来たよ。と嬉しそうに後日談をしたのを今でも覚えている。

小学校卒業とともに辞めてしまったが、そしてほぼ忘れ去られたようなエレクトーン。
福岡に戻り、いつか又弾く時が来るかもね、といいながら、新居の誰も使わない部屋に置き去り。
そして、数年前、夫がその部屋を我が書斎にすると、模様替えした時、隣の部屋、今孫たちがほぼ一日遊ぶ、フローリングの部屋の片隅に、ポツンと置かれた。
孫娘がたまに弾いてはみるものの、伴奏など、さまざまな装置が使えない。勿論私は、全くわからない。
いつしか埃などもあまり拭き取ることもしなくなり、カバーも外しっぱなし。可哀想だが処分を考えていた。

それが、今夜なぜだが急に、帰宅した娘が子どもたちを呼び、弾きだしたのだ。
電源を入れ、何やらあちこちのボタンを押し、リズムを選ぶ。
これだけは、忘れないんだ、と一曲弾く。(悲しいかな、タイトル分からず(泣))
子ども二人も弾ける、猫踏んじゃったを、三人で。(笑)
いろんなリズムを選び、それぞれ楽しむ。
母娘のこんな無邪気で楽しそうな様子を見るのは、久しぶりだった。

娘が遠い日の、小学生の顔に見えた。
まだ可愛らしい小学生だった頃の。
あの時代が蘇る。すると、あの頃の母や伯母の笑顔もオーバーラップして…。
夏休みやゴールデンウィークに帰省した時の、あの笑顔がふと。 

ひととき、母娘ではしゃぎ、三人で帰宅して行った。
月の出は真夜中だろう。星が瞬く寒い夜。でも久しぶりに聴くエレクトーンの音色。娘、孫の楽しそうな笑顔が心を温かくしてくれた。

やはりエレクトーンはまだこのままここに。
少し綺麗に拭きあげなくちゃ可哀想。ペダルも忘れずに。(笑)







博多へ、クリスマスイルミネーションを見に

2021年11月28日 | 日記







 駅飲み込む クリスマスイルミネーション













コロナ忘れし クリスマスソング 溢るる街





急速に、コロナ感染者が減った福岡。
だがゼロでは無い。しかも新たな変異株が確認され、不安は尽きない。
のだが、これまで禁止や中止されていた催し、行事などが、次々と再開されている。
夫の村の集い、行事、ある程度の時間制限、人の数などの縛りはあるものの、特に飲み会が激増した。
そして、娘の職場も。
元々、移動が多く、ほぼ毎月飲み会はあったようだが、この一年半、全く出来なかった。
丸でそれを取り返すが如く、そして次の第六波を見越して(これは私の勝手な憶測だが)飲み会が毎週ある。
12月になるので、忘年会も、二人ここぞとばかり、予定しているようだ。
夫はさておき、問題は娘。
最終電車間違いなく、帰宅は深夜、なのでその日は、子どもたちだけでマンションに、というのは怖い。だから預かって…
ちょっと荷が重い。重すぎる。
一人と二人は、大変な違い。今思えば、去年からの一年半、孫娘の世話、良くやったなぁ、と思うのだ。
今年は出来ない!本音はこれ。
「孫は来てよし帰ってよし」
全くそうだと実感する。理想である。

本日は、この話はおしまい。

クリスマスイルミネーションを見に。
であった。
去年は、不要不急の外出禁止だったが、こっそり出かけた。😅
今年は堂々と、しかし最大限の用心をして出かけようと思っていた。
なるべく平日。
だが、それは不可能になった。
月曜から金曜は、孫たちの夕飯を作り食べさせて帰さなければならない。後片付けが済んで八時から八時半?
そんな遅くからは無理。
最悪、土日?がこれも、以上の理由で危うくなった。
孫たちを連れて行けば良い?
ちょっと疲れる。孫たちのウィルス感染リスクも大きくなる。いろいろ考えると、これだけは一人が良い。
いや、一人にさせて〜(笑)
自由時間、一人時間の日が今丸でないのだ。
で、今夜決行しました。
夫は、又今夜も飲み会。本日は何やら市会議員の方を囲んでの飲み会。
孫娘も、本日は昼過ぎ帰宅した。
今日を逃す訳にはいかない。(笑)

博多は去年とほぼ同じ、綺麗な壮大なイルミネーション。今年は舞台も賑やか。歌やダンス、司会者も生き生きしている。

当然見物客、人手は去年の数倍。数十倍かも?
少したじろぐ。大丈夫?
皆マスク姿ではあるが、この混み具合。一人で来てるのは私くらい?
まぁそんな事もないが、カップルやグループで賑わう博多駅周辺。
ここ「光の街・博多」は九州で二番目の、人気クリスマススポットらしい。綺麗だけど…
元のように戻るのは皆が望んでいる事だけど…。

うーん。私は去年の少し静かな控えめな方が好きだった。
天の邪鬼である。

写メを沢山撮り(だけどほぼ去年と同じ写メ。人がわんさか居るという違いはある。)早々に、博多の街を後にした。











小三の音読は

2021年11月27日 | 日記






音読は 涙悟られぬよう 背で聞く冬


(かなり字余り🙇‍♀️)






いっしょうけんめい    新川和江


いっしょうけんめい 泳いだら
いつか魚になれますか
尾ひれが生えて すいすいと 
沖まで泳いでゆけますか


いっしょうけんめい はばたいたら
いつか小鳥になれますか
つばさが生えて ゆうゆうと
広いお空がとべますか


いっしょうけんめい せのびをしたら
いつかポプラになれますか
みどりの葉っぱを そよがせて
風とおはなしできますか


いっしょうけんめい 咲こうとしたら
いつかお花になれますか
ひかりと水に愛されて
わたしもきれいにさけますか





孫たちの、宿題の音読。
上の孫の時から、随分聞かされて、小学校の国語の教科書の偉大さ(笑)に感動させられてきたが、今は下の小三の孫娘の音読を専ら聞く。
「十一月の詩」と題された中のひとつ。
新川和江さんの、「いっしょうけんめい」
心にささる。
大抵、ばあばが夕飯準備の頃、音読をする子。
感動して思わず、込み上げてしまう時はちょうど良い。
調理をしながら、背中で聞いて、いい詩だね、とか言いながら平静を保ち、一呼吸おいて振り向き、音読カードに、二重丸を付けサインをする。


孫娘たちよ、一生懸命咲こうとしたら、きっと綺麗な花になるよ。
と、つぶやく。
十一月ももう終わる。 




恐怖体験

2021年11月24日 | 日記






昼間なので、書こうかな、と思い立った。
22日の「小雪」の補足。

夢見の悪さ…

早朝3時44分に目覚めた。
トイレに行き、暫くぼぉっとし、水をコップ半分ほど飲み、布団に潜り込む。
孫娘は、基本木曜日しか泊まらなくなり、気楽で一人のびのび…のはずが。

なんだか眠れない。それでも10分程したらなんとなく、眠りそうな感じ、と思う間もなく、足元から不穏な気配を感じる。寝ている私の左側、クローゼットと押し入れの前を、小走りに通る子ども、(5〜6歳の男の子と思われた)通り過ぎ部屋の角で止まった。私の頭の斜め上。
出たよ、金縛り、かなり久しぶり。この歳で、なんて余裕は勿論この時はない。
目が開けられたその時見えたもの。
部屋の隅、出窓の下に1メートル弱の細い丸い、薄い黄緑色の発光体。
怖い!!
体は当然動かない。大声を出して、隣の夫を呼ぶも、声にならない。
知らぬ間に、母を呼んでいた。
「お母ちゃん助けて!」何度も。
ははーこの年になってもまだ(笑)
体が漸く動き、光も消えた。
でも暫くは、悶々とする.今のはなに?
若い時は割とあった金縛り。大抵は音とか声、気配だけだったけど、見えたのは初めて。あの色はなんだろう?男の子って誰?なんか意味が?
考えて眠れなくなった。朝まで、ずっと悶々と。
いや6時頃、うとうとしたよう。
夢を見た。この部屋に友達が来て、じゃ一緒に寝るよ。と言ってくれた夢(笑)

金縛りは、ノンレム睡眠、レム睡眠どっちゃら(笑)で、心霊現象関係なし。全て夢らしい、とのことは、かねて知ってはいることなのだが。
多くは、10代20代の若い人に起こりうるらしいし、なので、後一年三ヶ月で、70代に突入する私が、金縛りって…。

調べると夜遅くまで、スマホなど見てたり、などもその原因となるらしい。
実は孫娘が我が家にずっと居た一年半程は、いつも孫が眠った後に、ブログをアップしていた。時に深夜2時近くになる事もあった。
だが、この九月からは、孫たちが夕飯を終えれば我が家へと帰って行くので、あと片付けが済めば、私は自由時間、だいぶ早くにブログは書き終えている。
つまりスマホもタブレットも、以前よりずっと早く閉じているのだが…。

でもまぁ、不安材料はいくらでもあるなぁ。
そんなことも、影響するらしい。
仰向けで寝るとおきやすい…。
知ってるから、私はいつも横向き。(肩が痛いという理由の方が大)
なんだがねぇ。

なんとなく、意味深に考え一日、鬱々。なにより寝不足で、一日中眠かった!

でも再度、スマホで金縛りを検索して結構安心した。
ジタバタしないで落ち着いてる方が、解けやすいらしい。
うん、スマホって便利.なんでもわかる。
だからって、夜遅くまで見るのは控えましょう。
スマホ依存みたいな不良婆さんってなんだかねぇ。孫に示しがつかない。

ちなみに、この話、娘にはしたが(笑)孫娘にはしてない。多分一生しない。


上の絵は、15年前、我が弟が描いた絵。
なんと鏡に、描いた絵とか。
タイトルは「素っ頓狂」
怖い絵でも、おどろおどろしい絵でもない。
なんとなく色合いと、雰囲気で、使わせて貰った。無許可で🙏🙇‍♀️








暖かさは今日まで。明日から寒くなるらしい

2021年11月21日 | 日記
最近、ドリップバッグのコーヒーに、ハマっている。
一人分のあれ。
洗い物も少なくて済むし、今色んな種類のものがあって、選ぶのが楽しい。
パッケージが綺麗だったり、可愛らしかったりしたら、目がいってしまう。
スタバのコーヒー豆を、ドリップ用に挽いてもらったりしてたが、ある時、ドリップバッグを買ってみた。「オリガミ」という名前で仕様も仰々しい上に、値段も割高。ゴミも嵩張る。
一方タリーズ、スーパーに置いてあるのはお手軽。スタバより少し安い。
一番気に入ったところは、ドリップバッグのフック部分。カップにかけるところが丸い。可愛らしい上に、安定してる。カップにピタッと収まる。
おおかたのは、四角くて時に、カップから外れて大惨事。なんてことが時々あったが、これは良い。ただしおおかたのと比較するとやはり、ちょっとお高い。
で、探した。この形のフックのやつで、もうちょっとコスパが良いのを。

ありました!
下の写真の「オーガニックドリップコーヒー」
ところが次に、この商品お店に行ったらもう無いのである。
だが、またまた見つけた。
鎌倉焙煎珈琲。オーガニックとスペシャルの二種類。
まずはオーガニック。
あー良いねぇ。丸いフック。思わず嬉しくなる形。アメリカンなのも良い。金額も手頃。
その名の通り、鎌倉の会社、鎌倉で製造されたもの。

鎌倉は、浅からぬ縁がある。
我が弟が、数十年も通い続ける地。若い時に縁のあったアメリカ人の方に、頼まれそれ以降、ずっとその方の住む鎌倉へ、いわば職場となり週何回か通う…。
いろいろなエピソードがあったろう。
その地の事を、元に書いた絵や、絵本。ストーリーを私も少なからず知っている。

何より、自分自身も、独身の頃、日帰り旅行を楽しんだ地。
長谷寺や江ノ島は、中学校の遠足でも行った所。

帰省の度に、行きたいけど、時間がなくて、行けない。
弟の住む、東京の端っこの街から鎌倉へは、福岡〜東京より、どうかすると時間がかかるのだ。(笑)(ちょっと大袈裟、それ程ではない。)
帰省は、いつもせいぜい四、五日だから。
いつか、まだ自分の足で歩けるうちに行きたいもの。って外国じゃあるまいし(笑)
うーん。来年か再来年、行くか!
(凄い!話が横道にそれたー。(笑))














鎌倉に 淡き縁あり 冬温し










まろき珈琲 ゆっくり冬に 入りにけり








月食

2021年11月19日 | 日記
本日も、朝から雲ひとつない、小春日和だった。
青い空が眩しい。
すっかり葉の落ちた、桜の木から見る空や、数枚残った枯葉を撮ったり、綺麗な色の花は、この辺りにはないけど、こんな美しい空は、今日明日くらいまで。来週は見られそうもない。
週明けの月曜日は降水確率100%、気温13度!グッと寒くなるらしい。
そんな訳で、2〜3日前まで覚えて楽しみにしていた事を、すっかり忘れていた。

6時半、夕飯を食べ始めた夫が、「今日、月食なんだな。」
あっ!と思ったら、小六の孫娘すかさず「そうだよ。140年振りの、ほぼ
皆既月食に近い部分月食なんだって。」
あらーそうだった!見なくちゃ!
行儀悪い家族一同、夕飯食べかけたまま、勝手口からはばあば。じいじと孫二人は、玄関から走って外へ。(笑)
もう、月の食は進み、最大を過ぎ少しづつ見え始めた状態…だった。
大きなお皿のよう。
私の携帯ではやはり、正しく綺麗に撮れない。
孫娘がカメラで撮ったものを見る。
あっいいね。ばあばに写メ撮らせて。
と、カメラの画面をスマホで撮る(笑)という。

本日買った特売のポインセチアの前を行ったり来たりの、孫娘とばあば。
因みに、下の孫とじいじは一回見て、もうそれで十分とばかり、食事に集中。
ばあばと小六の孫、140年振りの月食、しかと眺めました。
7時過ぎ、帰宅の娘、孫達の母親ときたら。
「えっ?月食?
はー、今日は変な月だなぁと思ったぁ。」

母娘が帰り、後片付けを終え、外に出て確かめると、かなり上空に昇った月、丸い形に戻っていた。真っ白に冴え渡り美しい。
晴れた夜にしては、そこまで冷え込んでない。寒がり屋にはありがたい暖かさは、そろそろ終わりかな。
昨夜泊まった孫娘は、今夜は我が家へ帰っていった。
久しぶりに頭痛も、喉痛もない。ワクチン接種の腕の痛みも消えた。のんびり夜更かししようかな…。  








疫病の 地球(ほし)に呑まるる 冬の月







月蝕観んと ポインセチアを 行ったり来たり













小春

2021年11月17日 | 日記





雨戸繰れば 初冬の朝日 眩しかり










電話しない 哀しみもあり 小春空











小春風 母郷へ薔薇を 贈らんと





時々思い出す、淡いピンクの薔薇の花束。
何十本の花束だったろう。小さな薔薇なのだが、不思議な存在感があった。

四月に他界した伯母の、お別れ式の際、沢山の手向けの花束やアレンジメントが届いた。
それはそれは豪華なものから、庭から切って来ましたという心づくしの小花、初めて見る二人静、など。
その中で何故か、心惹かれた小さな薔薇の花束。
伯母の好み、だとか伯母のイメージだとかとは多分違う、送って下さった方の伯母に対する気持ち…なのだろう。とても印象に残った。

こうして時々思い出すくらい。
ひと月前くらいから、その思いが強くなり、今度は私が送りたい。
伯母の、あの可愛らしい笑顔の遺影の前に、飾って欲しいと思った。

とはいえ、タイミングが難しい。
多忙を極める弟は、留守が多い。
私も、夏以降、貧乏暇なし的な暮らしが続いている。
でも、気がつけば11月中旬が過ぎていた。
伯母の誕生日が近い。

先延ばししてる場合じゃない。
漸く、弟に昨夜電話した。
舞台公演も間近。仕事も立て込みやはり忙しそう。
それでもなんとか、隙間時間(笑)に送るから、と日にちを決める。
そして、弟の住む街の、馴染みの花屋さんに、本日電話をした。
久しぶりの、宅配注文の電話だったが、覚えていて下さった。
あ、お供えですか?と言われる女主人。
「いえ、明日届けて頂きたいのは、家に普通に飾るものに。
それから12月2日のものも、お供えじゃなく、誕生日仕様にしてください。」
こちらの事情や私の好みなど、とてもよく理解してくださる。
ただ、明日はピンクの薔薇がなくて、今日新しく来たばかりの、オレンジ色の薔薇になりますが…。
と言われる。わがままは言えない。
じゃあそれでお願いします。と言うと、「お誕生日の時は、ピンクを用意しますので…。」
良かった!
伯母が、弟が喜んでくれると良いなぁ。

暖かな一日だった。
こんな日は、伯母に電話をしたくなる。
もうしなくて良い安否確認。しなくていいって…ふと涙が溢れる。

「上天気よー。そちらは?」
伯母の声を聞きたい。