誕生日

朝の月　誕生日の子　見送れり

幼さの　少し残る笑み　涼新た

藪蘭

藪蘭の　うすむらさきに　秋陽射し

庭隅の　ヤブランなりの　自己主張

曖昧な　未来なりけり　九月来る

---

夏惜しむ

秋の日や　明る過ぎたる　凌霄花

ペンタスの　星めく午後や　秋暑し

日々草　未だ咲く庭の　つくつくし

投稿から4か月

---

投句落選　実力ですと　夏が逝く

法師蝉　夕影長く　長く引く

秋色

今朝の秋　子に笑わるる　大寝坊

ポテサラと　チーズトースト　秋の色

もれくる音は　バレエスタジオ　秋日傘

踏み切りを　越えたあたりの　青蜜柑

二学期

二学期や　つまらなかった　夏休み

秋隣　子の「推し」を買う　マリトッツォ

孫の書道教師の元へお手本を受け取りに。出会った草花

雑草の中　露草の藍　麗し　

発熱の師　早や癒えたり　鶏頭花

猫じゃらし　風に遊ばせ　野の仏

夏休み最後の日

晩夏光　桃を食ぶ指　大人びて

子へ持たす桃　香り濃き　大き方

鳴く虫の　名を聞き眼閉ず　夜半の月

緊急事態措置の楽しみ方は

給油して　ランチそそくさ　残暑なお

サプライズ花火　六分の高揚

揚げ花火　LINEで遊ぶ　余韻かな

朝の夢と草の花

浅き夢　妣微笑みぬ　式部の実

実むらさき　風にあおられ　雨雫

己が名を　好きと言う子や　草の花

揺れながら　自己主張せり　草の花

秋の夜

秋の夜や　似顔絵ごっこの　LINE来る

隣家の灯　ニ階に点り　虫の声

虫の声　止む真夜　窓を叩く雨

処暑…暑さ戻り、なぜか眠くて堪らない一日

葡萄三粒　つまんで食べて　また眠る

昼寝覚め　魂の未だ　浮遊中

水滴の　コップに励まさるる　処暑

桜紅葉

ムーミン観て　宿題やって　夏休み

また雨らし　桜紅葉はじまりぬ

子ら帰り　小雨止む夕　遠ひぐらし

秋暑し

秋暑し　古きポストの　丸さかな

ハイビスカスの　縁汚れたる残暑　

図書館に　長居のできぬ　自粛の夏

迷宮

母娘して　迷宮に入りし　晩夏