シリーズ Ｉターン 第21回

ついに今日、ラストラン。
ラストの今日は酒々井～印旛日本医大駅を１１往復する仕事。
思い返せばこの会社に入る前、バスの運転士になって初めての路線が日医大駅～臼井で、
この会社での独車デビューは今日の路線と一部重複する酒々井～印旛学園台でした。
千葉での我が運転士人生、印旛に始まり印旛に終わる、
といったところです。
そんな今日は学園台の方は２コ上の先輩が走ってて、お昼の休憩時間にはもう一人の２コ上の先輩が休みだってんで遊びに来て、
お昼休みはなんだかワイワイガヤガヤやってるウチに終了してしまいました。
お昼休みも終わって１往復して酒々井に戻ってきたら、
その遊びに来てた先輩が待ってて、
１往復乗って行きました。
さしずめ「お名残乗車」といったところでしょうか。
本人あまり実感がありませんが、こーゆーのがあると、
別れは刻々と迫ってきてるんだなぁ…。

そのあと２往復やって、酒々井で50分の休憩。
酒々井に着いて運転席でボーっとしていると、反対側から先輩のバスがやって来た。
先輩は学園台へ行くとコレで今日の仕事は終了、あとは車庫へ回送で戻るだけ。
先輩のバスがボクの真横に差し掛かったとき、先輩が窓を開けてきた。
何か言われるのかなぁ？と思ってボクも窓を開けた。
「何すか？」と聞こうとしたその時、
先輩は身を乗り出す感じで手を伸ばして出してきた。
「おつかれさん」
ボクも笑顔で手を伸ばして、握手した。
先輩のバスが去って、ボクは昼寝しようとバスの一番後ろの席に寝っころがった。
だけどちっとも寝付けない。
握手をしてくれたこと、先輩にはいろいろよくしてもらって世話になって、そんなこといろいろ考えちゃったら、
なんかこう、込み上げて来るものがあって…。
恥ずかしながら、今もこうして打ってても、涙が出て来てしまいます。
そんなんで結局50分の休憩は昼寝できずに終了してしまいました。

残すトコ今日のそしてこの会社での仕事もあと３往復。
１往復２往復とやって、
３往復目の往路が終わって印旛日本医大駅に到着すると、佐倉行きのバスが停まってた。
このバスの運転士さんとはボクが前の会社で「臼井行き」を運転してた頃からよく話してた人なので、
最後にとあいさつをしてバスに戻った。
すると会社の仲良くしてくれてる１コ上の人から、
「お疲れ様！今日でバス業務終了だな!!長い間大変お疲れ様でした!!先輩 回送中 涙で視界がわるかったみたい…」とメールが来て、
実はさっきの休憩で…という返事を送ると、
「そうかそうか!!一人でいると今まであった楽しいことや辛いこと思い出しちゃったかな？泣きたい時はおもいっきり泣いたらいい!!」なんて言うから、
「やめて！ボクも回送中に大泣きしそうだからあんまり変なこと言わんで！」と送り返すと、
「うちらの前でおもいっきり泣いていいぞ!!そんな隠すような仲じゃないんだから！」と…。
印旛→酒々井のラストラン。
そんな返事をもらってしまい、このメールのことやら今までのいろんなコト振り返ったり考えたりしちゃって、
なんかもう途中でウルウル来てしまって…。
お客さんが乗ってなかったからよかったけど、乗ってたらコレはヤバかったです。
そしてお客さん０のまま終点・酒々井に到着。
ココから車庫へ回送で戻るんだけど、
もうその回送中は、…ちょっと大変なものでした。

このままではマズいと思い深呼吸して、
そしてとうとう車庫に到着。
車庫に着くと事務所にはボクと同じ名字の副所長がいて、
その人の顔を見たらなぜかホッとしちゃって、
いつもの自分を取り戻しそしていつもの自分どおり、
今の会社での仕事を終了いたしました。

　　　寂しがり屋、一人でいるとダメですね・・・