小関順二公式ブログ

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2018年夏の甲子園大会ベストナイン

2018-08-24 18:05:54 | 2018年高校野球

 甲子園大会が終わった。ベストナインは人気投票にならないように「ドラフト的視野」を持って実力本位で候補を選出(最後に紹介)。候補の数が多かったのは右投手だ。全員145キロ以上投げ、吉田、柿木、奥川、井上は150キロ超え。この中から選出したベスト3が吉田、渡邉、西。球が速く投球フォームがきれいで変化球に一級のキレがあるというのが選出理由で、さらに1人選べば前評判の低かった金足農を準優勝に導いた吉田になる。左腕は3回戦で大阪桐蔭を8安打、3失点に抑えた山田。春までは腕の振れない未完の大器という評価で、既に東京の社会人に内定しているが、この大阪桐蔭戦はキレのいいカーブとスライダーで投球を組み立て、藤原を2三振、根尾を1三振に斬って取った。近江の林はカーブとスライダーが魔球。大阪桐蔭を倒す伏兵と思っていたが、準々決勝で金足農に2ランスクイズを決められ、逆転サヨナラ負けを喫したのは残念だった。

 捕手はイニング間2秒未満の強肩が続出して驚かされた。こういう現象はこれまでなかったのではないか。その中でもバッティング、インサイドワークにもよさがある6人を選び、この中からさらに小泉、有馬、杉森に絞った。有馬は技巧派の林、佐合大輔、金城登耶のよさを存分に引き出す好リードに加え、金足農戦では9回表、先頭打者としてライト前ヒットを放ち、吉田の肝を冷やした。それでもベストワンは優勝校、大阪桐蔭の小泉で決まり。毎試合、イニング間で二塁送球が2秒を切り、打っては大会屈指の好投手、渡邉、吉田からヒットを放ち、チームを助けた。

 内野手は一塁手・野村、二塁手・斉藤、三塁手・北村という顔ぶれになった。野村は投手が主体なので横浜の2年、内海にしようかと思ったが、鳴門戦、横浜戦のレフトスタンドへのホームランが決め手になった。ツボを持っている選手はやっぱり強い。三塁手の北村もほぼ同じ理由で選出。二塁手は安定感で横浜の斉藤にした。遊撃手は好選手が目白押しだったが、それでも私の中では圧倒的な差をつけて小園が独走した。その最大の理由は深い守備位置。1回戦の聖光学院戦でのこと。小園は土と芝で分かれている内・外野の境界の、何と外野側で守っていた。聖光学院の好遊撃手、田野孔誠とくらべれば最大2メートルくらい深かっただろう。フィールディングや肩の強さでも根尾、奈良間、松田より上。この大会を見て、ドラフト1位で指名されると確信した。

 外野手は左翼、中堅、右翼で分けてみたが、最終的にはそれと関係なく3人を選んだ。やはりいい選手はセンターに集中してしまう。結果を先にいうと、藤原、蛭間、松本で決まり。藤原は長打力、確実性、俊足、守備力のどれを取ってもナンバーワン。とくに見事だったのがドラフト上位候補に躍り出た浦和学院の渡邉から内野安打(一塁到達4.06秒)、ライトスタンドへのホームランを放った場面。チームメイトの根尾と〝大物くらべ″されることが多いが、バッティングに関してはワンランク上と断言していい。松本は藤原以上の俊足(つまり大会ナンバーワンの俊足)で目立った。2回戦の八戸学院光星戦の第3打席、2球目のバントがファールになるのだが、このときの一塁到達がなんと3.50秒という速さ。このレベルの俊足もなかなか出現しない。蛭間は走攻守3拍子の高さで選出した。


2018年甲子園大会ベストナイン候補>

 ◇右投手

吉田輝星(金足農3年)、渡邉勇太朗(浦和学院3年)、柿木蓮(大阪桐蔭3年)、木村颯太(佐賀商3年)、西純矢(創志学園2年)、衛藤慎也(聖光学院3年)、小寺智也(龍谷大平安3年)、根本太一(木更津総合2年)、奥川恭伸(星稜2年)、井上広輝(日大三2年)、廣澤優(日大三2年)

◇左投手

山田龍聖(高岡商3年)、及川雅貴(横浜2年)、林優樹(近江2年)

◇捕手

小泉航平(大阪桐蔭3年)、有馬諒(近江2年)、角田康生(横浜3年)、小池悠平(前橋育英3年)、杉森圭輔(敦賀気比3年)、畑敦巳(浦和学院2年)

◇一塁手

野村佑希(花咲徳栄3年)、内海貴斗(横浜2年)、小野寺優斗(大垣日大2年)、野尻幸輝(木更津総合3年)

 ◇二塁手

斉藤大輝(横浜3年)、矢野功一郎(済美3年)、黒川史陽(智弁和歌山2年)

◇三塁手

北村恵吾(近江3年)、井林泰雅(高岡商2年)、西脇大晴(愛工大名電3年)、金子凌(日大三3年)

◇遊撃手

小園海斗(報徳学園3年)、根尾昂(大阪桐蔭3年)、松田憲之朗(龍谷大平安3年)、奈良間大己(常葉大菊川)、韮澤雄也(花咲徳栄2年)

◇左翼手

宮﨑仁斗(大阪桐蔭3年)、三浦光翔(鳴門3年)、東健太郎(八戸学院光星3年)

◇中堅手

藤原恭大(大阪桐蔭3年)、蛭間拓哉(浦和学院3年)、松本渉(龍谷大平安3年)、万波中正(横浜3年)

◇右翼手

井上朋也(花咲徳栄1年)、大谷拓海(中央学院3年)